食の起源 第4集「酒」 飲みたくなるのは進化の宿命▽まとめ感想

NHK総合2月2日(日)午後 9時00分~
お酒を「主食」にするエチオピアの民族デラシャ。 人間が地球上で「最強の飲んべえ」になった。酒は人と人を結び、文明や社会を築く特別な力となり、酒は付き合い方によって、まさに天国と地獄。ノンアルコールでも“酔いに似た快楽”を味わえる。

お酒を「主食」にするエチオピアの民族デラシャ

アフリカ・エチオピア南部、標高約2000メートルの山岳地帯に住む民族「デラシャ」の 、「パルショータ」というドロドロの液体は、デラシャ伝統の「酒」だ。
パルショータは、モロコシという穀物をすりつぶして壺の中で発酵させて造られる。アルコールの度数はビール程度だが、 主食 として、1日に5リットルも飲む。その他に食事はほとんどとっていない。子どもまでアルコール度数を抑えたものを食事として飲んでいる。

不思議なことに、みんなたくましい体つきの健康体。生態人類学者の砂野唯さんが調査を行って、成分分析し、必須アミノ酸や、ビタミンなどが多く含まれていることが分かった。

「第1の大事件」 人間が地球上で「最強の飲んべえ」になった

およそ1200万年前、木の上で暮らしていた私たちの祖先の体の中に、突如とても強いアルコール分解遺伝子が出現。それがその後、ゴリラ、チンパンジー、人間といった一部の類人猿にだけ受け継がれた。

およそ1200万年前のアフリカ大陸で、私たちの祖先は果実などを、食べていたが、地球規模の気候変動で大地が急速に乾燥化し、果実も減り、食べる物がなくなってしまった。
地面に落ちた果実は、実に含まれる糖分が自然発酵し、アルコールに変化してしまった。
ある時一部の祖先の遺伝子に突然変異が起き、アルコール分解遺伝子が偶然とても強力になった。「酒になった果実」を食べられるようになった祖先だけが生き延びて、数を増やしていった。

その遺伝子を受け継いで「地球上で最強の飲んべえ」となったのが、私たち人類だ。これほど強力なアルコール分解遺伝子を手に入れたのは、まったくの偶然だっただろうと、東京大学・太田博樹教授は語る。

「第2の大事件」 人類が酒に脳を乗っ取られる

中東の国・トルコで、およそ1万2000年前に人類が農耕を始めた

その一角に、人類史上最古といわれる 世界遺産ギョベックリ・テペ遺跡が発見された。直径およそ300メートルに、高さ5メートル以上ある巨大な柱が立ち並ぶ。
そこで、160リットルもある大きな石の器がいくつも発見され、「シュウ酸塩」(小麦を発酵させたときにできる物質)が検出された。1万年以上前の人々が、この石の器で大掛かりに小麦から酒を造っていた可能性が浮かび上がってきたのだ。

人々を結びつける「酒の不思議な力」。それには、アルコールが脳にもたらす特別な作用が関わっていることが分かってきている。脳は、表層の部分に「理性」を生み出す働きがあり、初対面の人に緊張感や警戒心を抱く

では、酒を飲むとどうなるか?アルコールによって理性の働きが弱められたのだ。そのおかげで警戒心が解けて、気分が開放的になり、人と打ち解けやすくなると考えられる。

大神殿で造られ始めたと考えられる、大量の酒。これを皮切りに、酒は「人と人を結び、文明や社会を築く特別な力」として、欠かせない存在になっていくのである。

およそ5000年前の古代エジプトでは、ビールが労働者の賃金として支給されるまでになっていた。ブドウを育ててビールより度数の高いワインも造られ始めていた。

脳の中には「ドーパミン」という快楽物質を放出する細胞がある。アルコールが脳内に増えるにつれて、この細胞が興奮状態になり、歯止めなくドーパミンを放出。すると快楽が暴走し、飲みたい気持ちを止められなくなるのだ。いわば「アルコールに脳を乗っ取られてしまった」ような状態だ。

アルコールが脳にもたらす「酔いの快楽」に魅せられて、酒からアルコール分を取り出して、より度数の高い「蒸留酒」を造り始めた。ブランデーに焼酎、ウォッカなど…少量でもすぐに酔うことができる、まさに「快楽をもたらす酒」とも言える。

「第3の大事件」 日本人、わざわざ酒に弱くなる!?

調査によると、欧米やアフリカ系の民族には、飲んですぐ顔が赤くなるような「酒に弱い体質」の人がほとんどいないが、日本や中国、韓国などには、「酒に弱い人」が非常に多い。

酒を飲むと、アルコールは体の中で分解されて、「アセトアルデヒド」という物質に変わる。飲むと顔が赤くなるのは、このアセトアルデヒドのしわざだ。それどころか、体中の細胞を傷つけて、がんなどの病気のリスクを上昇させる危険な物質でもある。

6000年以上前の中国。稲作に適した水辺に多くの人が集まってたが、食べ物に病気を引き起こす悪い微生物付着することが多かった。
アセトアルデヒド分解遺伝子の働きが弱い祖先が酒を飲むと、体内には分解できない猛毒のアセトアルデヒドが増えていく。しかし、その毒が悪い微生物を攻撃する薬にもなった「酒に弱い遺伝子を持つ人の方が、感染症に打ち勝って生き延びやすかった」というのが、有力な仮説の一つだ。

つまり私たちの祖先は、酒がもたらす毒まで利用して病気から身を守るという切実な事情から、「わざわざ酒に弱くなる道を選んだ」可能性があるのだ。この「酒に弱い遺伝子」が、やがて稲作文化と共に日本列島に渡来し、今では日本人のおよそ4割が「酒に弱い遺伝子タイプ」になったと考えられる。

3000年ぐらい前に日本列島に稲作を持った人たちが入ってきた。それ以前から日本列島にいた縄文人は“酒に強い遺伝子タイプ”の人たちが多かったと考えられますが、大陸から渡ってきた“酒に弱い遺伝子タイプ”と交わり、酒に弱い日本人が増えていったんじゃないか。」(太田さん)

現代の私たちは衛生環境も良くなり、悪い微生物におびえる必要はなくなり、アルコールから生み出されるアセトアルデヒドは、もはや「毒」でしかない。

調査によると、アセトアルデヒドを分解する遺伝子の働きが弱い人は、飲酒で頭頸部がんになるリスクが3.6倍、食道がんは7.1倍にもなるという。

酒に強い人も、「アセトアルデヒドが体の毒」であることは全く同じだ。個人差はあるものの、1日に飲むアルコールの量が20gを超えたあたりから、病気になるリスクが上がっていくという最新のデータが発表されている。

「アルコール依存症になりやすいのは、酒に強い遺伝子タイプの人なんです。それくらい人間は、“酔いの快楽”への欲求をなかなか断ち切ることのできない生き物になってしまった。

ノンアルコールでも“酔いに似た快楽”を味わえる!?
体は過度の酒を毒として拒む一方、脳は“酔いの快楽”に魅せられて、際限なく飲みたくなってしまう。「人間はノンアルコールでも“酔いに似た快楽”を味わえる」ことが分かってきた。

「過去に本物の酒を飲んだときに体験した、“酔いの快楽”の記憶」が ノンアルコールでも起こる。

人類と酒の切っても切れない関係は、まさに人類進化の宿命。

まとめ&感想

酒だけで生きている人がいる事に驚きました。
人類進化 と酒の関係 ややっこしくなってきました。
1日に飲むアルコールの量が20g(ビール500cc位)を超えたあたりから、病気になるリスクが上がっていくそうで、缶ビール1杯くらいは、大丈夫そう。
ノンアルコールビール飲んだとき、アルコール0のはずなのに、少し酔った気がすると友人と話してました。 酔いの快楽”の記憶 が有ったんでしょうか?