あしたも晴れ!人生レシピ★見つけたい!私らしい働き方▽こんな話

Eテレ 2023.9.1

自治体の女性の再就職を支援するサービス☆
なりたい自分見つける3つの視点「好きなこと・経験・社会のニーズ」☆
女性再就職サポートプログラム☆オンラインでの面接 注意点☆
自宅をサロンに知識を生かして教室サロネーゼ☆
元気なうちは働き続けたい 75歳で初めてアルバイト

【ゲスト】羽田美智子 【講師】キャリアコンサルタント上田晶美
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

自治体の女性の再就職を支援するサービス

東京 飯田橋に都が運営する就職を支援する施設「女性しごと応援テラス」があります。2014年に開設された 家庭と仕事の両立を目指す女性を支援する窓口です。施設にはキッズスペースがあり子連れでも安心して利用ができ、託児サービスも行っていて小さな子どもを預けることもできます。
都内で仕事を探す人であれば誰でも無料で利用することができ 年間およそ2万人が訪れています。

女性しごと応援テラス 事業責任者 村上美都里さん
結婚や出産、育児、介護等で離職した女性など、家庭と両立して働きたい方の再就職を応援する専用窓口です
就職のサポートは個別に対応し、利用者の置かれている状況や希望を 丁寧に聞くことから始まります。その専任の就職支援アドバイザー 伊東百合子さんは開設当時からのベテランで、これまで およそ2000人もの女性の相談に乗ってきました。利用者の多くは 働きたいという思いはあるものの 何をすればいいか分からないといいます。
(伊東)何でもいいので仕事に就けばいいということではないですよね。女性は やはり いろいろな周りの方の状況や環境にも影響があったり、ライフイベントも多いですので 今自分はどうしていきたいのか? 自分の人生どうだったらいいのか?そこを大事にしながら進めて頂ければいいと思います。

第一歩は なりたい自分を考えること。これが自分らしい働き方につながるのです。他にも結婚や出産育児や介護によって仕事を離れ ブランクがあることに悩んでいる人もいます。
(伊東)仕事のブランクはあっても 人生のブランクはない、子育てをしながら いくつものことを同時に進めたり、家族のスケジュール全部把握している。そういった能力も いろいろなところに目が届くということなので ご経験が生きてくる仕事もあるので、ご自分のことを振り返り こんなにいろんなこと やってきたんだということをお聞きすることで、自分にとって何が楽しいか・大事か 気が付かれたりしますね。

女性しごと応援テラスを利用して希望の職場へ再就職をした女性がいます。
中村奈都さん(46歳)の仕事は社会保険労務士で、社会保険や労働関連の法律の専門家です。資格を取得したのは大学在学中。卒業後 社会保険労務士として働いていました。しかし 25歳で結婚し出産を機に退職します。10年後キャリアを再開したいと考え就職活動をしますが なかなかうまくいきませんでした。
(中村)やはり業界離れて結構たってるというところもあるので、ルールとかシステムとか いろいろ変わってきてるところがあったので ついていけるのかなという不安はありました。
女性しごと応援テラスの存在を知り相談に出向きました。
孤独になりがちで、書類選考通らなかったり、面接で落ち続けると 自分を否定されたみたいになる。アドバイザーさんに相談し、すさんだ心が穏やかになり 気持ちの整理がつけられた。何を次にやればいいか分かり 前向きに取り組めるようになりました。
相談を始めて2か月ほどで社会保険労務士の仕事に就くことができ、現在独立して活躍しています。

(羽田)お休みしてた時のことも糧になるという言葉というのは すごく励みになりますね。

なりたい自分見つける3つの視点「好きなこと・経験・社会のニーズ」

人材コンサルタントの上田晶美さん人材コンサルタントとして30年、今までにおよそ2万人の相談を受けてこられた。

(羽田)さっき言ってた なりたい自分を想像するのって すごく難しいなと思うんですけどそれは どうやってやるんですか?
(上田)どういう仕事に就こうかと考える時に、3つの視点で考えましょう。
自分が「好きなこと」。仕事やふだんの生活で得た「経験」。「社会のニーズ」

ちょっと具体的に挙げますと 50代女性は子どもと関わっているのが好きだわ。やってきたことは事務をやってきたり PTA活動でもパソコンを使ってきた。社会のニーズとして 待機児童がいないように保育園を拡充していくと。この3つを考えた時に 保育園の事務や経理とかが よいのかなと思います。

(賀来)そうですね。3つあると本当に重なる部分ありそうですね。

女性しごと応援テラスの 女性再就職サポートプログラム

女性しごと応援テラスでは 他にも「女性再就職サポートプログラム」があり、職種別に就職に役立つ知識や実習など およそ12日間のプログラムを無料で受けることができます。
・「事務職入門コース」Word/Excel /Power Pointの基本が学べます
・「経理基礎コース」経理の基礎知識や会計ソフト・仕訳実務が学べます
・「医療事務入門コース」医療事務の基礎から、レセプト演習が学べます
・「DX入門コース」デジタルツール(オンライン会議ツール等)の操作を学べます

中でも人気なのは「経理基本コース」です。リモートではなく対面で行うことに意味があります。
(村上)働く勘を取り戻す。イメージする。仲間がどんなことを考え・希望しているのか 聞くことによって刺激を受け、だったら自分もここまで希望してもいいかもとか、自分はこうしたいとか 自分に向き合える時間を提供してるような感じです。

参加者の一人 山本さん
求人見てると、これが使える人 これを触ったことある人みたいなこと 出てるんですね。やったことないなって 応募すらできない。こういったところでソフトを触らせて頂いたり、もう一回勉強したりすることで 向いているか 向いていないのか 出来そうか 指標にもなる。

経理の仕事をしていた池尻さん。子育てが一段落し再就職を決意しましたが10年間のブランクを不安に思い受講しました。
「あっ 思い出してる 思い出してる」と思ってすごくうれしいですね。小学4年生の息子さんも頑張るお母さんを応援しています。ただ息子は すごく喜んでます。「ママ頑張ってね」って「勉強してるんだね」と喜んでます。ここで学んだこと、プラス自分でもう一回勉強し直して 是非経理の仕事に就きたいと思ってます。

(村上)特に女性の場合人生の中で優先したいことが 入れ代わる瞬間があると思う。介護が始まりました。転勤がありましたとか、そういうさまざまな ご自身の人生のライフイベントの時に、仕事を両立していく時に「まだ私 本当に働けるか判らない」そんな方にも利用して頂きたい。

(羽田)自分で シミュレーションできるのが すごく強みですよね。

(上田)息子さんが応援してくれているという話がありましたけども、1人で働こうという気持ちすごく大事ですけれども、早い段階から家族と共有しておくことです。今 夫婦で家庭を運営していく収入も2人で考えていく、そういう時代ですので 夫婦でお互いに一緒に協力して考えていけるようにしたいですよね。
2つほど私が関わっています例をご紹介します。富山県 高岡市の女性人材バンク というものを作って 女性が働きやすい職場を紹介していけるシステムを作って活動。もう一例 香川県は県を挙げて女性の就労促進を図って 女性活躍が進んでいる企業の経営者さんたちが事例を発表など行っている。

オンラインでの面接 注意点

最近 増えているオンラインでの面接、そのポイント
カメラの高さ…どんなものを使ってもいいから安定させて 目線の高さにカメラを持ってくる
背景白い壁があればベスト、カーテンでも とにかく後ろがごちゃごちゃしていないことが重要。今 オンラインで 合成 背景をぼかすというのもありますが、手が上に出たような場合 ぼやけて影が出たりぼやぼやしてきますので、リアルなもので白いところを選んでほしい。
明るさライトがあるほうが明るい印象を受けます。自宅にある卓上ライトなどを活用。
(羽田)絶対に必要、下に白い紙・テーブルクロスでもいいので敷くと 効果的ですよ。
話し方…ふだんの会話と違い 話者交換が難しくかぶっていく。ですから しっかりお話をゆっくり 分かりやすくして、一呼吸置いて 相手とやり取りをする。
目線…相手の顔を見ようと画面を見てしまうと目線をそらしているように見えます。カメラを見ることで相手と目線が合います。

自宅などをサロンに 知識を生かして教室を開くサロネーゼ

趣味と特技を生かして 人気の教室を運営している 都内に住む須鑓すやり美幸さんは自宅で和菓子の作り方を教える教室を開いています。準備はアシスタントと一緒に。やって来たのは海外から観光で来たお客様。この日は タイとアメリカから2組の家族が参加。
2時間以上かけて3色だんごやいちご大福 練り切りなどの作り方を 一つ一つ丁寧に教えていきます。見事 色とりどりの和菓子が完成。
このように自宅などをサロンにして知識を生かして教室を開く女性を「サロネーゼ」というんです。英語が得意な 須鑓さんは20代の頃海外を飛び回り 営業の仕事をしていました。結婚して出産してからは専業主婦として過ごしていました。仕事をしようと思ったのは47歳の時 子どもが小学生になった頃でした。大好きな料理を自宅で教えられないかと考えたのです。子どもがまだ小学校に上がったばっかりで 帰ってきた時に家にいたい、午前中だけ教室をやると考えました。
得意の英語も生かして 日本に住む外国人向けに和食の教室を始めました。練り切りを趣味で習ってSNSに投稿したら 東京に住んでる外国のフォロワーさんが教えてほしいと。「趣味で習ってるので とてもじゃないけど教えられません」と言ってたんですけど 何度も連絡が来て、試しに和菓子のワークショップを開催すると思いのほか好評。
そこで須鑓さんはちゃんと和菓子を勉強、講師の資格を取り自信を持って教えられるようになりました。多くの人に教室に来てもらおうとSNSに教室や和菓子の写真を載せ、さらに観光客も呼び込もうと海外の旅行サイトにも写真を掲載。こうした工夫で今では月に100人ほどのお客さんが教室に来るようになりました。
一生使える技術を身につけて、ちゃんとした収入源になるので 楽しく出来るので すごくいい仕事だと思います。趣味だからとか楽しいからということから こんなに広がって。

(羽田)仕事って ある どの仕事に自分を当てはめるではなくて 自分ができることを仕事にしちゃうっていうのって すごく強いんだなと思いましたね。先ほどの三角形の中でニーズがあったところというのを ブラッシュアップしたってことですよね。
(上田)私の知り合いに体を動かすのが好きでジムに通い始め、トレーナーの人たちを見てできそうって思って トレーナーになった方いらっしゃって。もう一つお花のフラワーコーディネートの分野も とても人気です。まだあまり日本では広まっていない ヨーロッパの木の実を使った 木の実デコールの教室をやっている サロネーゼの知り合いもいます。
最初は あまり収入が見込めませんよね。スタートしてある程度軌道に乗っても やっぱり不安定だということですよね。そこは少しお考えになったほうがいいのかなと思います。

屋号のオンラインショップを始めた羽田美智子さん

羽田美智子さん。4年前に女優のかたわら オンラインでセレクトショップを始めた。きっかけは宮大工をしていた実家の屋号 「羽田甚はだじん」を残していきたかった。小さい頃から近所の方に「羽田甚のみっちゃん」って言われていて 5代150年続いた屋号を 終わりにしたくなかった。
仕事を始めて 知らないことが多すぎたと気付いた。海苔がどうできるのかとか 当たり前すぎて 知ることがあまりなかったんですけども、ものができる裏側の背景を知ると、本当にその努力がとか ご苦労が分かってありがたく感じます。それを必要なところに必要なものを届けるというのが 一つ役目としてあるなとなってます。

元気なうちは働き続けたい 75歳で初めてアルバイトを始めた女性

人生100年時代といわれ 元気なうちは働き続けたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2022.2月にご紹介しました(こちら)75歳で初めてアルバイトを始めた 東京都に暮らす山田勝子さん。
長年 認知症の夫の介護をしてきましたが 9年前に夫を亡くしていました。
世界各地に店舗がある 町田市の コーヒーショップでアルバイトをしていて 国内最高齢スタッフです。
働くきっかけは3年前 ボランティアに参加していた時 新しいお店のオープンを控え 多様性を重視した 魅力的な人材の雇用を考えていた店長がスカウトしました。始めた頃は外資系で英語が多く戸惑いもあったといいます。
時折 お店に友人を招き心地よい時間を過ごしてもらうことが 楽しみになっています。
自分を必要としてくれている人がいることが 何よりうれしいと話す山田さん。働くことは思い切った挑戦でしたが新たな世界が広がったと感じています。

(賀来)素晴らしい。年齢を重ねてからも働いていくためには どういったことに気をつければよろしいでしょうか?
(上田)私はもう年だからとか もう私は何もできないって思わない。 やりたいことや何かをいろいろ考えてみる。ただ年齢の問題は 健康上の問題にもつながってきますのであまり無理はせず 人それぞれの生き方ですのでプレッシャーは感じずに、でもストッパーは外して 自分らしく働いてみてほしいなと思いますよね。

(羽田)みんな自分を生かしたい。自分ができることで社会に貢献したいとか、何かそういう時代になったなと思うんですね。根底には 賃金を頂きながら働くというのはあると思うんですけども、それを超えたところに楽しみとか喜びがあって それが生活をする支えになるという循環ができたら、何か最高に幸せなのかなと思いますね。

(賀来)仕事のブランクはあっても人生にブランクはないというのは 私はすごく金言だと思って。

▽まとめ&感想

60代も終わりに近づいて、周囲には介護やボランティアを続けている友人がいます。
私自身 再就職なんて考えられずに のんびりさせてもらっています。