Eテレ 4月3日(金)午後 8時00分~ 午後8時45分 「人生ささげて こだわりの食卓」
【ゲスト】料理研究家 土井善晴
【司会】賀来千香子,小澤康喬
京都市内に暮らす98歳の男性、パンを焼くオーブンを作るエンジニアをしていたが、おいしいパン作りにこだわるあまり原料から研究を始め、今もその研究に情熱を注ぎ続ける。原点となった味や、亡き妻とのエピソードも紹介!また、奄美群島の与論島で薬草を毎日の食卓にとりいれている女性も登場。今、若い世代がその薬草料理を新しい形で観光客に向けて発信しようとしている。人生がぎゅっとつまったこだわりの食卓を紹介!
出典:NHK HP
御年98歳のパン研究家 竹下さん 今も工夫を続ける
全国から参加者が集まる人気のパン教室。
教えているのは、御年98歳のパン研究家、竹下晃朗さんです。
竹下さんは京都市内で息子夫婦と暮らしています。
大正10年 父親の仕事の関係でオーストラリアで生まれた竹下さん。
毎朝、荷車で売りに来る 焼きたてのパン。それを食べるのが 何よりの楽しみでした。
日本に帰国し 40代でパンメーカーに入社。オーブンなどの修理や改良を行うエンジニアになりました。数年後に独立。
ところが 50代の時大きな転機が、機械の見本市で ドイツを訪れた時、朝食に出されたのがブロッチェンと呼ばれるパン。それが幼い頃 食べたパンの記憶を呼び覚ました。
パンの原料探しから、選んだのは古代小麦。(驚いたことに、手で脱穀してました。)
小麦の表皮まで含む、全粒粉で、製粉機は使わずに、石臼でひいていきます。
石臼でゆっくりとひくことで、摩擦の熱が減り、小麦本来の風味を残すことができます。
生地づくりのポイントは とにかく優しく。生地に触れながら、微妙な水分量を調節します。40年以上かけて培った感覚です。
竹下さんが、最も情熱を注ぎ込み、試行錯誤の末、完成させたのが、石窯。
生地を入れたあと、小さな穴から水を注入し、蒸気を発生させるのです。
水蒸気を発生させると、電熱オーブンよりも、温度が急速に上がります。
パンの外側だけではなく、一気に中まで熱が届くことで、風味や食感が良くなるのではと考えました。
石窯に入れてから およそ20分で、パンが焼き上がります。
中身が ぎゅっと詰まった、食べ応えのあるパンです。焼いたパンは 家族と一緒に頂きます。この日は娘夫婦、息子夫婦 そして孫もそろいました。
かす汁や カブの漬物などと、一緒に頂くのが竹下流です。
去年 亡くなった妻 信子さんがパンの研究に明け暮れる竹下さんを見てどこからか引用して書き記しました。
「人類の生命の糧なるパンを作るもの、使命が崇高であり、その任務は重大である。
如何にして パンを作るかでなく、誰が パンを作るかである。」
杉山佳子さんです。趣味で パン作りを楽しんでいましたが、竹下さんと知り合いになり、3年前 この石窯まで作ってもらいました。
原料の配合から生地の扱い方まで、指導は2年にも及びました。
蒸気を使った焼き方も、先見の明がありました。
焼きたてよりも、置いた方が美味しい食パン
98歳になって なお止まらない情熱。その原動力はどこから来るのでしょうか?
「焼き上がったときうれしい。工夫することが面白い」
竹下さんのパン、3つのパターンをご用意しました。
料理研究家 土井善晴さんといただきました。
何もつけないパンと千枚漬け、バターと わさび漬けの組み合わせです。
素朴な力の強いパンですね。これ 飽きませんよね。
バターと わさび漬けの組み合わせはいかがでしょうか? 相当おいしい。
土井さんが提言していらっしゃる、食のスタイル、一汁一菜。
ごはんと、具だくさんのみそ汁、おかずの代わりになる一品になるし。
見えてるだけでも ベーコン ニンジン シイタケ ブロッコリー。
ブイヤベースみたいなもんじゃないですか。
与論島の山悦子さん 薬草の知識が誰かの役にたてばと
鹿児島県奄美群島の与論島、人口は およそ5, 000人。
年間7万人が訪れるビーチリゾートの島です。
この島で生まれ育った 山 悦子さん、79歳です。
島のどこに どんな薬草があるのか知り尽くしている山さん。
ノアザミの根は 利尿作用があるといわれ、漢方薬にも使われています。
この薬草は 島では昔から せき止めなどに用いられています。
山さんの自宅は よろず相談所。島の人たちが次々に訪れます。
自宅の庭でも薬草を育てています。
ゲットウは抗酸化力の強い薬草で、煮出すと爽やかな香りのお茶になります。
クワの葉は、カルシウムや鉄分が豊富で、漢方薬や お茶に使われています。
山さんにとって薬草は 野菜のように、毎朝 収穫して使う食材なのです。
この日は3種類の薬草を混ぜて、お茶にしました。沸騰すると、爽やかで甘みのあるお茶に。2種類の薬草をミキサーにかけて、グリーンカレーを作りました。
くせの強い薬草が スパイスのようになり、コクを出してくれるそうです。
気を付けているのは、一度に同じ薬草を大量にとらないこと。
バランスよく使うのが コツだそう。
バナナとリンゴを入れ、飲みやすくしたスムージー。
クワの葉やアシタバの天ぷら。
野草は自然の恵みそのもの、自然をまるごと頂くことだと、山さんは考えています。
昭和16年 与論島に生まれた山さん。昭和30年代まで、島には診療所はありませんでした。
祖父が薬草に詳しく、体の具合が悪い時には、せんじて使っていました。
母親も豊富な知識を持ち、子供の頃から、その種類や使い方を教わっていました。
山さんが薬草について 本格的に勉強する、きっかけになったのは 30歳の頃。
結婚し2人の子どもを育てていた時、大病を患ったのです。山さんは薬草を、摘み取ってジュースにするなど、積極的に取り入れた食事を心がけ、回復したといいます。
「この自然が薬草を育み、自分を生かしてくれている」
勤めていた役場を辞め、島の薬草について、30年かけて仕上げたのが、冊子「与論島薬草一覧」。
島に自生する100種類もの薬草の使い方などをまとめ上げました。薬草が自生している場所の地図も作成しました。さらに100種類近くのレシピを考案。
理学療法士の資格も取得。診療所で島の人たちの健康を、支えたこともあります。
これまでに培った、薬草の知識を生かし、多くの人の相談にも乗っています。お茶やお風呂に入れる薬草のアドバイスを受けていました。島以外の地域からも年に300人近くが訪ねてくるそうです。
自分の知識が誰かの健康に役立てばと考えています。山さんが 50年以上かけて培ってきた薬草の知識、受け継ごうとしている人がいます。
4年前に東京から移住し、ガイドなどをしている、佐藤伸幸さんと妻の留美さん。
この春 薬草を使った料理を出すカフェを開く予定です。
ヨモギなど3種類を生地に混ぜ込み、香りよく仕上げたパンケーキ。
インゲンのスープに2種類の薬草を加えて、味に深みを出します。
ロールケーキにはクワの葉が使われています。
オープンを前に 山さんに、料理の試食をしてもらうことに。…当たりです。
薬草を観光資源として生かそうという動きも始まっています。
この日 女性グループが試作していたのはヨモギのオイル。
島では昭和50年代まで、出産後の母親や赤ちゃんが、ヨモギのお風呂に入っていたそうです。
ヨモギオイルで、山さんの体をもみほぐします。これまで多くの人の相談に乗ってきた
山さんへのお礼です。
与論島の薬草を使ったお茶をご用意しました。
ゲットウの葉を煮出すと、きれいな色のお茶になります。葉の香りから。
ええ香りしますやん。懐かしいというか。
▽まとめ&感想
98歳のパン研究家、竹下晃朗さん。
原料にこだわり、古代小麦を石臼でひいた全粒粉を手で優しくこね、石窯に蒸気を加えて焼きます。現在も、焼き上がったときうれしい。工夫することが面白い。
株式会社筑摩書房から、出版されていました。
「98歳、石窯じーじのいのちのパン」定価:本体1,600円+税
ここをクイックして、筑摩書房のページへ
与論島の79才の山悦子さんは「薬草仙人」と呼ばれ、薬草を毎日の食卓にとりいれている。「人々の健康のために」「与論を知ってもらうために」
株式会社KADOKAWAから、出版されてるようです。
「与論島の山さん 薬草に捧げた人生と幸せな終末へのメッセージ」
ここをクリックして、株式会社KADOKAWAへ
年を重ねても、打ち込めるもの。工夫することが面白いと言えること、
うらやましいですね。何か見つけ出したいものですね。