あしたも晴れ!人生レシピ★時間栄養学で代謝アップ!体ポカポカ▽こんな話

Eテレ 2023.2.24
いつ・何を食べると栄養の効果があるかなどの「時間栄養学」。体内時計を毎日リセットする 朝日と朝食で代謝高める。食後の体がポカポカする 温活 朝オススメの 「温活豚汁」3品。夕食は寝る前の3時間前までに 消化の良いものを食べる。朝・昼食をしっかり食べる。午前中の間食でタンパク質を補うことも。

【ゲスト】渡辺満里奈 【講師】早稲田大学 先進理工学部 教授 柴田重信
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

体内時計を毎日リセットする 朝日と朝食で代謝高める

時間栄養学の研究者 柴田重信さんです
時間栄養学の「時間」というのは体内時計のことで、2017年に体内時計がノーベル医学・生理学賞になりました。体内時計と食・栄養の関係を調べるのが 時間栄養学です。
今まで食事は量と質が重要視されてましたが「いつ何を食べるか」を大事にします。まずはその時間栄養学をもとに 体の代謝を高める食べ方朝昼夕に分けて お伝えします。

朝食は時間栄養学で最も大事とされます。
時間栄養学では 朝食は食べるタイミングが大切なんです。朝食は起床後2時間以内で食べて頂きたい。できたら1時間以内。そうすることによって体内時計をリセットできる。体内時計により脳や内蔵などの活動の時間帯が決まっている。
脳の中 目の奥の辺りにある 視交叉上核(しこうさじょうかく)にある体内時計を「主時計」。内臓などにある時計は「末梢時計」と呼ばれます。脳の「主時計」は 内臓の「末梢時計」のリズムを調節している。こうした体内時計を毎日リセットすることが大切なんです。
一日の周期は24時間ピッタリですが 体内時計のほうは24時間より30分ほど長い。生活時間と体内時計には30分ほどの「ずれ」があります。
体内時計は ずれやすく その乱れが肥満・心疾患・脳出血・うつなどにも影響を与える。
体内時計をリセットする2つの刺激。
1.朝日を浴びる
目から入った光の刺激が 脳の視交叉上核に届き 主時計が朝を認識。全身の末梢時計に朝が来たことを知らせて全身の時計をリセットする。必ずカーテンを開け朝日を浴びる
2.朝食を食べる
おなかに食べ物が入ることで血糖値が上がり インスリンが分泌されること体内時計がリセットされる。
だから 時間栄養学的には朝食抜きはあり得ない。
朝食をとると低かった体温が上昇します。これを「食事誘発性熱産生」といい 消化・吸収のため エネルギーを消費し 体温が上がり代謝がアップします。朝食は 夕食よりも 約4倍 消費エネルギーが高い
朝の炭水化物はエネルギーとして消費されやすく たんぱく質は筋肉の維持増加につながる。マウスの実験で朝に たんぱく質を多く摂取したマウスは筋肉が増えました。

朝オススメの 「温活豚汁」3品

朝 体の熱産生を高める「温活豚汁」を教えて頂く スープ作家 有賀薫さん。スープのある豊かな暮らしをSNSなどで発信しています。

サツマイモの豚汁

材料(2人分) サツマイモ (中) 1本 300g、豚バラ薄切り 100g、長ネギ 1/2本、みそ大さじ2
炭水化物が豊富な さつまいもは腸内環境を整える食物繊維も豊富で エネルギー代謝に必要なビタミンB6も含んでいます。ねぎに含まれる硫化アリルは血液サラサラ効果が期待できます。
2~3cmぐらいの幅で切ったさつまいもを約5分水に1つけあくを抜く。
ネギは斜め切り 青い部分も。豚肉は食べやすい大きさ 4~5cmに切る。
さつまいもは水(カップ3)から ゆで中火で沸騰させます。みそを半分だけ入れます。10分ほど弱火で煮込んだら、ネギを加えさらに10分ほど弱火で煮込む。さつまいもに くしが通るくらいやわらかくなったら 残りのみそを入れます。だしいらず、食材から出るうまみだけで作る豚汁の完成です。

にらと卵の豚汁

材料(2人分) ニラ (1/2束) 70g、豚バラ薄切り 80g、卵1個、みそ大さじ2
にらは目や皮膚の健康に欠かせないβカロテンを多く含む野菜。たんぱく質が豊富な卵も朝にオススメです。
まずは沸騰させたお湯(カップ2)に豚肉を入れ火が通ったらみそを全部入れてください。みそを溶いて 沸いてきたらここに にらをまとめて入れてしまいます。煮立ったら中火のまま溶いた卵を加えます。少しずつ加えると きれいに仕上がります。朝は余裕がないという方にオススメの超簡単豚汁。ごはんと召し上がれ。

トマトの豚汁

材料(2人分)トマト 400g、豚バラ薄切り 100g、ごま油 大さじ1、みそ 大さじ2
トマトと みそ意外と合うんです。トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用が高く免疫力がアップ。リコピンも朝に吸収されやすい。ミニトマトはヘタを取り半分に。普通のトマトは 6~8等分にくし切りに
フライパンを使い 切ったトマトをごま油で炒めます。ここで一手間。トマトの切り口を下にして炒めます。トマトが しっかり温まると 押すと簡単につぶれるので 半つぶしくらいに、トマトが柔らかくなってきたら 豚肉を加え 色が変わったら水2.5カップを加えます。5分ほど弱火で煮込み最後に みそを入れてひと煮立ちしたら完成です。トマトの爽やかな酸味が効いた一品で パンでどうぞ。 

温活 Q&A

(小澤)朝の豚汁 糖質とたんぱく質を両方とれる。しかし 糖質 敬遠される方もいらっしゃるかと思うんですけれども?
(柴田)朝はエネルギーが非常に必要な時で、すごくエネルギーになりやすい糖質は絶対とって頂きたいと。たんぱく質も一緒にとると。ちょっと難しい話なんですが、糖質をとるとインスリンが出て 時計遺伝子 ピリオド のスイッチを押す。糖尿病系になったり インスリンが効きにくい時 タンパク質を一緒にとっとけば タンパク質が代わり インスリンに よく似た(IGF-1)を作ることができ その両方で合わせられます。
ピリオドと呼ばれる遺伝子を最初に見つけた人たちが ノーベル医学・生理学賞をとられ そのあと たくさん遺伝子が見つかり 「Bmal1」はピリオドと 反対のような遺伝子で、そういう組み合わせで我々の時計が出来上がってる。
豚汁以外で時間栄養学的に 朝オススメは納豆とツナ。ツナには DHA EPAもたくさん入っていて、ツナサンドを作るとかですね。
温活とは、体を温めて基礎体温を上げ、体調不良などを改善することです。例えば 子どもたち 学校に行くと何か体温上がらなくて じっとして何か ボーッとしてるみたいなことを言ったりします。
一年を通じて 体温がある程度高いと体調がいい。例えば筋肉動かす時でも 朝練で 体温上がってなくてまだ活動してない時に一生懸命に体を動かすと断裂したりとかいろんな問題起こりますね。

(渡辺)朝ごはんは基本的には ちゃんと食べなきゃいけないとは思ってるんですけど 時間がないとか バタバタしているとか、何か家族をまず食べさせてとかって思うと結構 後回しになっちゃったりするので 自分は不規則になったりするんですよね。
(柴田)間食がいいとです。特に午前中の10時ぐらいに 朝 足りなかったものを足す。例えばチーズとかヨーグルトとか 大豆製品のお菓子やスイーツをとるといいと思います。
体内時計をリセットしないと 倦怠感、肌荒れ、老化、がん、肥満、糖尿病高血圧のリスクとか上がってきます。あるいは シフトワークを長く続けてる人は がんの発症が高めになるとか いろんな研究がありますね。
(小澤)シフトワーク夜勤で日中と違う時間帯に活動しなければならない人は どうやってリセットしたらいいんですか?
(柴田)その人にとって寝始めたら そこから夜になるわけですね。寝て 起きますよね。そこが朝食ですから ちゃんとごはんを食べて 光としてもしっかり浴びる。
夜勤の方は 白色灯がよくて、白色灯の中に青色光という青っぽい色が体内時計をよく動かすんですね。

昼食

協力頂いたのは新宿区にある54階建ての高層ビルにある社員食堂です。こちらの食堂で力を入れているのが日替わりの健康メニュー。今日は チキン南蛮。体を温める食材 たまねぎ 香辛料のしょうがを使った温活メニューです。食事中の皆さんのメニューを柴田さんが時間栄養学の観点からチェック!理想の昼食メニューか判定!。
・オリジナルカレーにロースカツをトッピング し 野菜も小鉢でプラス ⇒ギリギリ「可」、副菜と称する野菜類 小鉢じゃなくてしっかり野菜をとってほしい。
・シンプルなラーメン⇒「不可」、とにかく野菜系が入ってない。昼食は揚げ物やラーメンなど好きなものを食べても大丈夫ですが 食べすぎには注意。その分 野菜をとりましょう。
・さば焼と黒米のごはん キャベツとツナのあえ物 大学いものピーナッツあえ。⇒「優」、さばは青物なのでDHA EPAも多く 夕方より朝昼のほうが吸収がいい。主食の黒米は食物繊維が多く腸内活動を活発にしてくれます。
・けんちんそば⇒「良」、根菜類 結構入ってるし タンパク質も鶏肉入ってます。いわゆる生野菜が足りてない。
・タンタンメンとチャーハンとねぎチャーシュー丼。⇒「不可」、ねぎチャーシューでいいけど丼は やめて ねぎチャーシューに もうちょっと野菜入ってるようなのを選ぶといい。

食後の体がポカポカする 温活、昼間もエネルギー必要で 体温も上げるため しっかり食べると。熱産生としては 昼間の食後から夕方まで一番交感神経が高まる時間帯。
交感神経 特に肩甲骨の後ろに褐色脂肪を刺激すると発熱して体あったかくなる。脂肪燃焼する交感神経が上がりやすい食べ物は キャプサイシンが入ってる トウガラシ系
■昼食のポイントをおさらい。
主菜…揚げ物、炒め物。脂質や糖質が多いものも可
副菜…塩分を排出するカリウムを多く含む野菜。ほうれん草、小松菜、ジャガイモ、サツマイモ、きゅうりなど

先ほど出てきましたピリオドBmal1 という遺伝子を話しました。Bmal1 は脂肪をため込む性質があるが、昼から夕にかけてその性質が低くなる。 Bmal1が働きにくいから脂肪になりにくいだろうと。
夜は もともと体内時計のせいで ナトリウム(塩分)を出しやすい。昼間は そうじゃない時間帯なので カリウムをとりましょう。
昼食を食べる時間帯、大体朝食とって5時間ぐらい、7時にとれば12時ぐらいに。いろんな研究で あんまり遅い3時ぐらいは あんまりよろしくない。遅めに食べちゃうと空腹時間が長くなり 血糖値が上がりやすい問題も出てくる。
食事のタイミングを一つの仕切りとして そうやって体 覚えさせていく。

夕食は寝る前の3時間前までに

カルシウムというのは骨に非常に大事ですが、実は体内時計のせいで 骨を作るのは夜です。
カルシウムを多く含む食材を使った 体を温める薬膳料理を 国際薬膳師の資格を持つ タレントの麻木久仁子さんに教えてもらった。
■「かきとキムチと豆腐の卵とじ」の作り方
材料(2人分) ニラ (1/2束) ,にんにく 小さじ1/2、ショウガ 適量、キムチ 60g、カキ 加熱用 150g、豆腐 1/2丁
かきは夜に吸収率が高くなるカルシウムを豊富に含む食材。肌に潤いや張りを与えるミネラル亜鉛も たっぷり。かきは加熱用を使ってください。
ニラを5cmほどに切る。薬膳はできるだけそのままなので しょうがは皮ごと使います。
できるだけ薄く切って さらに細かく細切りに。こうすると火を通した時に辛みがマイルドに、量は お好みで。
かきをプリプリにする下処理をします。かき 意外と周りに汚れが付いてて アクになったり 雑味になったりする。かきに大さじ2のかたくり粉と 塩を小さじ1かけ 全体にまぶしたら、かきが浸るくらいの量の水を加えて指の腹で優しく洗う。汚れが出てきたらきれいな水に かきを移して かたくり粉を落とすようにやさしく洗います。これを3回ほど繰り返し、しっかり水分を取ります
ごま油でしょうがを炒めます。しょうがにじっくり火を通すと 胃を温める効果が期待できます。ここに めんつゆをカップ2注ぎます。目安として そばつゆより薄く かけつゆより ちょっと濃く。味見を!
沸騰したら豆腐をすくって入れます。今日は木綿を使いましたが絹ごしでもOK。弱火で豆腐に火を通します。火が通ったら中火にして かきを入れます。火を通しすぎるとかきが小さくなってしまうので ここからは手早く調理。卵の半分 キムチ にんにく を入れ にらをトッピング。およそ3分ほど煮込み かきに しっかり火が通ったら 残りの卵を加えます。お好みで ねぎや えのきなどの野菜を加えるのもありです。
(渡辺)すっごく おいしいです。めんつゆで作れるという手軽さがすごくいいなと思ったんですけどかきのうまみがものすごい しみ出ていて とっても うまみの深い おいしいお鍋です。 
(柴田)薬膳鍋は時間栄養学から見て、かきと豆腐共にカルシウムが豊富な食材です。にんにくとか にらアリシン系は温まります。キムチもトウガラシ成分で、キャプサイシンも血流をよくして まさに温活の夜の分では非常にいいと思います。
タンパク質とろうとした時に 飽和脂肪酸が多いと やはり体に よろしくないので お肉を 鶏肉に変えてみるのも 一つの手段です。それ以外に 緑茶のカテキンを夕方とると高血糖を下げやすい
夕食の時間、12時間で頑張ろうとすると朝8時に食べると。そうすると夕方8時までに食べ終わる。それから3時間たって11時に寝ると。一般的には寝る前の3時間前までに食べましょう
(渡辺)私いつも夜は がっつり系なんです。揚げ物とか そういうのを食べちゃうのでそれ 気をつけないとですね。
(柴田)やっぱり温活に適した食材とか、栄養素をうまく組み合わせると。この食材 温活の食材だったらより朝に持っていこう。こっちだったら夕方に持っていこうとか 少しずつ分かるようになってきたと思います。温活をやることは、要するに代謝を上げるわけで 基礎代謝も上がる。ちょっと こういう知識があるだけで ひいては肥満防止になってくる。主体は やっぱり朝昼を頑張って頂くというのが大事かなと思いますね。
(渡辺)今まであんまりそういうことを考えてなくて 朝はあまり食べられないからちょこっとだけ、夜がっつり食べるみたいなことをしてた。それをちょっと ずらしてずらしていかないとなって思いました。
(賀来)夜型で2食だったんです。だから今日伺って 本当に体が冷えていたら当然寒い。寒いと動きも鈍くなり 効率的に生活を送れないなと思いましたし。もっと自分の体を大事にしてあげないと。

▽まとめ&感想

いつ・何を食べると栄養の効果があるかなどの「時間栄養学」。はじめて知りました。
朝は 昔から 仏前に供える 菜食のものばかりでした。「ナマクサ」は食べない地方でした。
元気な高齢者 肉を食べるというテレビを見て驚いていましたが 理にかなっていますね。
夜はしっかり食べていました。いけませんね。朝・昼食をしっかり食べ 足元がふらついて 転ばないようにしなければいけないと思いました。