Eテレ 2024.3.22
今回は自らの感性に従い暮らしを作っている2人の女性 黒谷友香さん、スタイリングディレクター 大草直子さん。大草さんは自らの資金で手がける雑誌を発行。スタイリング術、シャツの着こなし方を教わる。
【ゲスト】黒谷友香、大草直子
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄
東京と千葉の二拠点暮らしをしている黒谷友香さん
俳優の黒谷友香さんは30年にわたり芸能活動の第一線で活躍、ずっと東京と千葉の二拠点暮らしをしてきました。1975年 自然に恵まれた大阪の郊外で生まれ育った黒谷さん。20代で千葉に自宅を購入 愛馬ヨモちゃんと過ごしています。
(黒谷)東京はこうしてお仕事をさせて頂く場で、千葉は素の自分を取り戻すリセットの時間、チャージの時間で また帰ってきて仕事に頑張るという 。千葉の乗馬クラブに愛馬 ヨモちゃん預けていています。乗ってる間 私とヨモちゃんだけの世界が生まれていると すごく感じられるので もう一心同体というか すごく感動できるんですね。千葉の暮らしでゆったり人間らしい暮らしを過ごすということも 大事ですけど、東京でこうして仕事させて頂いて いろんな最先端のものに触れるというのも私の中では大事です。
伺ったのは黒谷さんの秘密基地ともいえる千葉の自宅。この空間こそが黒谷流の生き方を実践する拠点です。使われなくなった元保養施設を地元の仲間と協力し3年前からリノベーション。仲間で集える場所としてよみがえらせています。黒谷さんは ガーデニングを担当。花壇の設置から草花の植え付けまで全て手作りで行っています。草花に向き合い 没頭する時間は 忘れていた自分らしさを取り戻すことにつながっているといいます。
東京の自宅には 家族型ロボット、名前は ジンくんとセイちゃんで「ジンセイ」で人生から取らせてもらって。私が ジンくんをだっこしてますと セイちゃんは やきもちをやいて 私もだっこして〜というふうに言ってくるんですね。そういうのもかわいくて
(賀来)ありがとうございます。この番組は「あしたも晴れ!人生レシピ」です。
リノベーションの作業後に仲間とバーベキュー、 職業や年齢も さまざまな人たちとの交流が刺激になります。デビューした頃からの友人もいます。
(黒谷)乗馬クラブのオーナーさんで70代の方は本当に多趣味で すばらしい道を究めてらっしゃる方が多いんです。馬のオーナーさんでもある80代の方は香道をやってらして、私も ちょっと炉を買ってみたりと、私の世界が少しだけ 広がったことがすごくうれしかったです。
スタイリングディレクター 大草直子さん
独自のスタイリングで女性から圧倒的な支持を得ています スタイリングディレクター大草直子さんです。
(大草)スタイリスト スタイリングというのは あるものをアレンジしたりとか ちょっと虫の目至近距離の視点になるんです、で ディレクターというのは 結構物事を上から見て大きく舵かじを切るという ちょっと鳥の目なんです。両方ないと嫌だなと思って。
雑誌やネットメディアなどで独自のスタイリングを発信。広い層の女性から絶大な支持を集めています。読者からは感謝の言葉が続々と寄せられます。スタイリングの極意は 女性の身の丈に合った リアルな美しさを引き出すこと。
(大草)自分の体型、なりたい女性像、そういう所を対話しながら けっして昔に戻ろうとしない。それが一番大事。20代の頃には戻らない。けっして他人と比較しない。
この日はアパレルブランドの撮影。モデルを務めるのは 大草さん本人。プロのモデルとは違う標準的な体型の大草さんが伝えることで 等身大のおしゃれを感じてもらうのが ねらいです。
もう一つブランド服に必ず私物のアイテムを組み合わせます。
(大草)私物は自分の体型 バックグランド 好みに合わせて選んでいる。真新しく自分のものでない洋服を自分に引き寄せるため私物と合わせている。
(賀来)「人と比較しない。もう一つ昔に戻ろうとしない」という その金言も頂きました。
(大草)服って こうやって着ているのって 自分の中身とか あと体型も含めた「包装紙」である。私たちを包んでくれるものであってだから私たちが変わっていく。
年齢による変化について、例えば肌の質感 髪の質感変わっていくんですよね。決して悪いことではないんですが変わっていくことに対して少し戸惑う。比較すると やっぱりとらわれてしまうんだと思うんですよね。自分の軸を持って 自分は自分でいいんだというふうに。
原点はそれは自身が生きづらさを抱えもがき続けてきた半生にあるといいます。常識・世間体・年齢 すごく つらさ窮屈を感じて 苦しんでいた。
1972 年に3人姉妹の長女として東京で生まれ育った大草さん。小学校は国立の名門校に入学。居心地の悪さに一時は不登校になったことも。もやもやとした違和感はぬぐえず高校生の時に自分を変えたいとアメリカへ1年間の留学を決断。
(大草)そこはあちこちから人が集まっていて いろいろな価値観の集合体, カラフルに見えた。気持ちが楽になって 新しい自分で生きていこうと。
大学卒業後、出版社に就職 憧れていたファッション誌の編集者になりました。ところが5年後 仕事に慣れてきたものの 何か満ち足りなさを感じ 突如会社を辞めて中南米へ。ラテンダンスのサルサにはまって 半年間 放浪しながら踊りまくった。帰国後は フリーランスの編集者として活動を始め 程なく結婚 長女を出産します。すれ違いから2年で結婚生活は破綻。今度はシングルマザーを経験することに。その後 ベネズエラ人の夫チャーリーさんと再婚を 3人の子どもを育ててきました。
(大草)数年間 私が働いて 彼が子供の面倒を見ると役割を決めた。それはいつ変わっても良くて その時考えよう というようなことで話はしてました。
(賀来)窮屈さをそんなことを抱えてらしたなんて本当に意外でした。
(大草)結構 WE(私達)で考える人が多いが、私は常にI(私)で考えるようにしています。
家族と夫婦のご関係も習慣とか常識とか世間体あるんですけど それも実は大きな枠に過ぎないので、自分たちが よければ それでいいというふうに常に考えていまして。
(賀来)大草さん 拝見してるといつも渇望していらっしゃるというか、ファッションとか人生自分のなさりたいこと 目標だったり 常に いい意味で渇望されてるのを行動に結び付けて広がってる感じがしたんですけど。
(大草)渇望って 自分でも今まで考えたことがなかったんですけど…。やりたいことが本当に たくさんあって、もう やりたいことを目がけて走っていくという感じなんですよね。
大草さんが 今 取り組んでいるのが自らの資金で手がける雑誌。出版不況といわれる時代に出版社も広告も入れない異例の雑誌です。『AMARC(アマーク)』を立ち上げました。
「今月はクライアントにお金を出していただいている。こうした記事を作ってくださいというのがイヤだなと思った」
広告が入ることによる制約 何ものにも縛られず明確に自分のメッセージを伝えたいという 大草さんの思いが込められています。
多くの女性を魅了する大草さんのスタイリング術、そこには日々の訓練があるとか。
訪れたのは アパレルショップの新店舗。商品のセレクトは自分の感性のみ。藍染めのスカーフ 大草流の視点で見ると素人には見当もつかない このスカーフの特別な価値が分かってきます。 曇りですごく寒い日 or 晴れてドライな日 染めると全然 色味が違う。いろんな縁と偶然が重なって出来て面白い
もう一つ 店舗全てに目を凝らすのも大草流。例えば 素焼きっぽい感じの床とか、ニュアンスのある ウッド系のじゅう器だったり、窓の枠の美しさとか、大きな鏡を壁いっぱいに立てかけるとか。
こうしたリサーチ活動で感性を磨くことが大草さん独自のスタイリングを生み出しているのです。
(大草)流行 例えば今シーズンのトレンド 本当に分からないんです。流行は流行であってトレンドで流れなんです。その中で自分に合うもの 日本人女性のライフスタイルに合うもの。体型も含めてなんですけれども 合うものというのは実は一部しかないんだと思う。
例えば今年 黒が はやってますと言われても、自分が そこにビビッと気持ちが動かなければ着ない。感性を大事にする
大草さんのスタイリング術
・直線的なラインを取り入れている。シャツでいうと前立て、襟、カフス。ジレでいうと 前立て、スリーブの部分。おしゃれ更年期にさしかかるとフィジカルな更年期の時期でもあるので、やっぱり肩先が丸くなって肉質が変わってくる。そういった丸みを帯びた体を美しく見せてくれるのが直線なんです。トップスに直線的なラインを取り入れるとシャープな印象に。
・大きめのサイズにするとウエストやヒップなど 気になる体型をカバーしてくれる。
・肌に近いところは天然素材。お肌が ドライに傾いてきてすごい敏感肌になったりするので、トップスの肌に触れる部分はウールシルク、コットン、リネンにしています。
シャツの着こなし方
・シャツはボタンをきちんと閉めずに、開け閉めすることでシルエットとかこの辺のニュアンスが変わるので、中にタンクトップを入れてボタン1個だけ留める。そうすることで ウエストが締まって 少し裾が広がるようなシルエットになる。
・襟は自然に沿うように立てます。1回ちょっと手で崩して、少しクタッとするように1回なじませて 首の後ろだけ立てます。そうすると首の後ろが長く見えます。
・袖を肘の部分が見えるぐらいまでまくって頂くと 1キロぐらいほっそり見えるんです。反対をグッと肘まで まくって 体の内側をもう一折りしてもらうと 右と左でだいぶ抜け感が変わるかなと思います。
カフスがシャツのすごくきれいな部分でもあるので カフスを折り込まないように カフスが生きるような形で着て頂くといいんじゃないかなと思います。
さらに襟元にスカーフを活用。目線を上に集め 縦長の効果でスマートな印象に。気になる体型をカバーしながら美しさを引き立てます。
さっきと また全然ちょっとイメージが変わるかなと思います。
(黒谷)Iというのを久しぶりに思い出した気がして。「わたし目線」というのを改めて考えて これから いろんなことを選択していけたらいいなと感じました。
(小澤)お二人のお話を聞いてて やっぱりシンプルに感じますね。自分らしい生き方というのは、つまり自分で感じて、自分で決めて、自分で動くということなんだなと分かりました。
▽まとめ&感想
自らの感性に従い暮らしを作っている2人の女性 黒谷友香さん、スタイリングディレクター 大草直子さん。大草さんは自らの資金で手がける雑誌を発行。スタイリング術、シャツの着こなし方を教わる。
大草さんの枯れることのない渇望、これから注目していきたいです。