Eテレ 2024.2.23
猫背 骨盤のゆがみや筋肉不足、姿勢の悪さ、運動不足が招いていた。
不調を改善して姿勢を整えるエクササイズ 横隔膜・股関節・肩甲骨・首など。
インナーマッスルを鍛え 正しい姿勢を保つことが大切。それを楽しんでできる社交ダンス 。
【ゲスト】平野ノラ 【講師】整形外科医・スポーツドクター 中村格子
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄
猫背 骨盤のゆがみや筋肉不足、姿勢の悪さ、運動不足が招く
ゲスト平野ノラさんです。
猫背で巻き肩ですし 育児で だっこしたりとかしますし もう首 肩 腰 絶え間なく痛いです。
神奈川県で会社員をしている石原加奈江さん(45歳)。仕事は デスクワークがメイン。30代の頃から背中や肩の痛みに悩まされ 痛みが気になり仕事に集中できないこともあるそうです。肩が内側に入っている いわゆる巻き肩で首も前に傾いています。ヒールのある靴を履き 重いかばんを持って 移動することも多いため それが また姿勢の悪さを生んでいます。
都内のクリニックで整形外科医・スポーツドクター 中村格子さんにアドバイスをして頂いた。
・ 姿勢のバランスやこりの状態をチェック。
あおむけに寝た状態で、理想は腰の部分に手のひらが入るくらいのスペースだそうです。石原さんは背中の上にまで手が入るスペースができているようです。腰から背中にかけての筋肉の強い緊張で 縮こまり広いスペースができ、横隔膜や肺が圧迫され深い呼吸ができなくなります。
腕の状態、手のひらが天井を向けば良いのですが 背中や肩まわりが強くこわばって 腕の可動域も狭くなっていました。さらに左右のバランス、足の指の向きは左右で傾き方が違います。足の開き具合ももう少し倒れているのが理想的。上を向きすぎているので股関節も固まっているようです。
・腹横筋をチェック。腹横筋は姿勢と呼吸に関わる筋肉です。ろっ骨と骨盤の間にある脇腹の下辺りには腹横筋という筋肉で 本来は指4本分の長さがあり、 衰えると縮こまり 短くなって、だんだん年を取ってくると1本も入らなくなってきたりします。
石原さんの不調は浅い呼吸、腹横筋が弱い、股関節が硬い のが要因と考えられる。
(平野)全く同じですね。もう本当に呼吸も すごく浅くなりますし、リラックスしてるという感覚がないんですよね。正しい姿勢の位置も分からなくなってしまって もう迷子です。
整形外科医・スポーツドクターの中村格子さんに来て頂きました。
(賀来)いい姿勢でいようと意識は するんですけど、気が付けば 悪い姿勢になってることが多い。
(中村)姿勢って 習慣からできてくることなので、いい姿勢を習慣づけていくということが、日々の生活で一番大事なんです。ふだん自分のお尻のほっぺたの面積が右と左でどれぐらい椅子に触ってるか、前側にのってるか後ろ側にのってるかと 考えて座ったことないと思う。ちゃんと真ん中ら辺にのってるか意識するだけでも変わっていくので。一瞬なら いい姿勢が できるんだけれども 長くは続かなくて 結局 悪い姿勢になってしまうという方が多いんですけれども。
トップアスリートでも一般の方でも 運動を習得する4段階という基本的な考え方がある。
無意識的無能(意識していないし その動きなかなかできない)
意識的無能(意識しても その動きなかなかできない)
意識的有能(意識すれば その動きできる)
無意識的有能(意識しなくても その動きできる)
気を抜くと悪い姿勢が出るということになるんですね。
壁を使ったセルフチェック
壁に かかとから頭までつくように立って どこが どれぐらい浮いてるか 平野ノラさんをチェックします。
・背中と壁の間のすき間…拳を横にして一つ入るぐらいの大きいスペースあります。
・手の位置…太ももの前で、横に来るのが理想で 巻き肩の状態が強いことが分かります。
・頭とお尻つけたまま 左右片足上げ…スムーズに行くかどうかでお尻・股関節周りの 筋肉・体感の状態をチェックできます。
不調を改善して姿勢を整えるエクササイズ 横隔膜・股関節・肩甲骨・首
■胸を緩めて深い呼吸をするエクササイズ(横隔膜をリラックスさせる)
仰向けになってで まず まっすぐ前ならえして息を吸いながら ぐ〜っと万歳。で 後ろにも空気 入れていきます。いっぱい入れて。吐きながら前ならえに戻して。 ふ〜っ。もう1回 鼻から いっぱい息を吸ってぐ〜っと柔らかく。全部に空気を入れて。吐きながら前ならえ ふ〜っ。
息を吸いながら腕を頭の上に、吐きながら戻す動きを30秒。
■股関節をほぐすストレッチ…いい姿勢を楽に保ちやすくします。
あおむけのまま頭の後ろで手を組んで、リラックスして 足 少し開いてぶらぶらぶら…。股関節から柔らかく動かしていきますね。
リラックスして足をぶらぶらすること15秒。
■右手で右足のつま先をつかみ 5秒静止。左足も同様に行います。
■肩甲骨をしっかりと動かすエクササイズ…猫背や巻き肩の改善を目指します。
肘を脇腹につけ、息を吐きながら手を外側に。吸いながら戻す。吐いて 吸って 戻して。脇にタオルか何かが挟まってて落ちないつもりで 脇 締めて行いますね。
■首のエクササイズ…前に傾きがちな首の位置を修正
壁に後頭部をつけたまま 足は1歩前に、左右にふらつかないよう意識して右手を上げ下げ、左手も。 続いて足踏みを5回。最後に手と足を同時に歩くように5回。
ここで体を起こして立って 歩きます。姿勢格段に良くなっていますね。頭が正しい位置になり 肩こりもとれてきます。
(中村)首の後ろを鍛えるエクササイズは 非常に効果 期待できるエクササイズで不。頭は5〜6キロあって、ちょっとでも傾くと1度 1ポンド(約450g)って言うんですが、それぐらい肩に負担がかかってくる。ですので頭の位置を 体の一番上にというのがすごく大事です。
(平野)特に長い時間 移動とかで座りっぱなしが すごくありまして、腰・背中・肩が もうバキバキになってしまうんですけど 。
(中村)ひじ、腰、ひざの3つの⾓度が 90 度になるように意識して座ります。90度以下だと股関節の前がかなり縮こまって非常に不快で、骨盤立てることが難しい。ちょっとクッションなどを入れて 横の角度が110度ぐらいになるように工夫してください。そうしますと長く骨盤を立てて座るということができ そんなに きつくならないです。
■背中と肩甲骨まわりをほぐすストレッチ
息を吸って手のひらを外に返してグーッと上に広げて、吐いて 手の甲を合わせて背中 丸く伸ばしていきます。もう1回 息を吸って。吐いて。
さらに手を後ろに伸ばして。ドアノブを回すように手をひねる動きをします。肩甲骨を内側に寄せる効果があります。
■骨盤まわりとひざをしっかり伸ばす。
イスの背もたれをつかんで、脚を前後に開いてかかとを落として、しっかり伸ばす。意識するポイントは ひざの裏と股関節の前側。 片足ずつ5回〜10回隙間時間を利用するのが おすすめです。
(中村)悪い姿勢が続いたまま年を重ねると、バランスが だんだん悪くなって、転倒・骨折のリスクが高まり、運動不足が重なるとサルコペニアといって。サルコが「筋肉」で ぺ二アというのが「少ない」という造語で、体を支えることができなくなったり、歩行にも支障が出て、要介護 寝たきりにつながっていく。
予防するには、インナーマッスル 姿勢を保つ筋肉から鍛えていく。
■腹横筋のエクササイズ。
メジャーや ひもなどを胸の下に巻き、大きく呼吸しメジャーが動くのを感じます。後ろ・横・360度 広がるつもりで広げて 吐いていきます。5回から10回 続けてやってみてください。
■上半身と下半身をつなぐ腸腰筋のトレーニング。姿勢を正して座ったら上半身や腰を動かさないで脚を太ももの力だけで上げます。左右のお尻が均等に椅子にのっていることを意識。股関節もですが 上で支えてる おなかのインナーマッスルも使ってます。
(平野)これだったら なんとか できそうですね。テレビ見ながらとか。移動の時とかも できそうですね。
70歳を過ぎて社交ダンス インナーマッスルが鍛えられ姿勢が良くなる
料理研究家の藤野真紀子さん(74歳)。月に数回 洋菓子をメインにした教室を開いています。藤野さんは「きょうの料理」などにも出演数多くの料理本も出版してきました。藤野さんは若い頃から猫背で、人からも指摘されたり、体に不調を感じやすくなっていました。
あるパーティーで 加藤タキさんに 10年ぶりに再会、その立ち姿に、お元気で はつらつとして お若いと驚き、背中・姿勢が「キレイ!」と思った。社交ダンスをしていると 聞いて、体験レッスンに行って、すぐに 魅力にはまったそうです。
それから4年、いまでは週に2〜3回通うほどで、ステップを踏みながらの優雅な身のこなし。この躍動感のある動きができるようになるまでに4年かかったそうです。
ダンス講師 市川久さんは「ダンスの動きには固まっている体の部位をほぐし筋肉を伸ばして可動域を広げる効果がある」と考えています。
体をほぐすことに意識的になった藤野さん自宅でのストレッチも始めました。
まずは準備から、足首とふくらはぎを動かし、次は腕を思い切り伸ばし壁を使って脇を伸ばします。準備を終えたらゴムバンドを使い 肩 背中肩甲骨まわりをほぐすストレッチ。さらに棒を使って肩甲骨を後ろに寄せるストレッチも。ダンスの曲をかけながら一つの動きを3分かけて行います。
ダンスを始めて4年 パートナーと近くで動きを合わせるため意識も変わり お化粧や髪型など身だしなみにも気を使い始めた。
藤野さんが励みにしているのは発表会、目標があることでやる気が保たれ、自分へのいい刺激になるのだといいます。今では肩こりも解消。毎日 スッキリと過ごすことができるようになっていました。
(賀来)70歳から美しい姿勢も手に入れたし、70歳でトライしようという お気持ちもすてきですね。
藤野さんは スーパーのレジで待っている間などに 脚と腰とおなかに力を入れて立つということを意識してらっしゃる、習慣づけてるんですね。
(中村)ダンスは全身運動で手と足を動かしていきますので、筋膜が滑りやすくなって 体が動きやすくなる。軸の上に乗るので、非常にバランスもよくなって姿勢の改善にもつながると思います。
姿勢をきれいに保って 不調も改善したいという方 自分の体の状態を自分でフィードバック、自分の頭がお尻の上に乗ってるかな?お尻は左右均等に椅子に乗ってるかな?左右の肩の高さは大体一緒かな?とか。自分の呼吸も気持ちも落ち着いてできてるかな とか気にして頂くと心身共に健康でいられるんじゃないかなと思います。