あしたも晴れ!人生レシピ「ステキに再生!使い続けたい大切なモノ」▽こんな話

Eテレ 2022.5.13
なんと縄文時代から行われていた 壊れた陶磁器を修復する「金継ぎ」 手間暇がかかるけれど 愛着がわきます。なかなか着る機会がない着物をふだん使いできるものにリメイク。ダーニングと呼ばれるヨーロッパ発祥の衣類の修繕方法で 痛んだものが おしゃれな唯一のものに。
【ゲスト】篠原ともえ 【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

壊れた陶磁器を修復する「金継ぎ」

今回は 大切な「捨てるに忍びないもの」に 手を加えてすてきに生まれ変わらせる方法を見ていきます。
(賀来)実は 私も祖母の着物を いとこに トートバックにと傘入れに リメークしてくれました。何か 祖母も喜んでるかなと思って、私自身も祖母の存在をまた感じられ 形として残せて とても うれしいです。

ゲストはデザイナーとしても活躍されています 篠原ともえさんです。

東京・台東区にある漆工芸の教室で 行われている 漆を使った金継ぎです。
金継ぎとは 割れたり欠けたりした 陶磁器などを漆を使い修復 金などの金属粉で装飾する日本古来の伝統技法。

家で使っていた器を自ら修復したいという人が増えているといいます。
初参加の志岐朋子さんです。
持ち込んだのは 6点の器。 祖父母宅で ふだん使っていたもので 長年 使っていて 欠けてしまったところがありました。そこで 金継ぎで直したいと考えたのです。

講師は松田環さん
まずは素地調整 欠けた部分をきれいにする作業。 形を整え さらに漆をつきやすくするため 欠けた部分に やすりをかけます。
次に その部分に不乾性の油を混ぜ 薄めた漆を塗っていきます。漆が直接 皮膚に当たると アレルギー反応が起こり かぶれる危険性があり 必ず手袋などをしたうえで作業します。
漆にご飯粒や木粉などを混ぜ合わせ 欠けた部分を埋め2週間程度 乾燥させます。

砥石の粉を混ぜた漆を塗り、表面をなめらかに 整える。4~5日乾燥させる。

砥石を使い表面がなめらかになるように研ぐ。
次に始まるのが 塗りの工程。色を付けた漆を補修箇所にはみ出さないよう 薄く均一に塗ります。
4日程度 乾燥させ 砥石で研ぐ。きれいに仕上げるため この工程を繰り返すことも ある。

そして最後の工程。
薄く漆を塗った後、金属粉を薪乾燥させる。再び漆を塗り 余分な漆を拭き取り 乾燥させたら ようやく完成です。

それぞれ大切な器が味わい深いものになっています。
この日 初参加の志岐さん。完成は早くても月に3回 通って半年ほど かかるそうですが…。

この教室に通い始めて2か月になる田中さんが直していたのは お気に入りのコップです。4年ほど前に 父親へのプレゼントとして買った 作家の一点物。大切にしていましたが 飲み口が欠けてしまいました。
田中さんはこの日が最終仕上げの日で、粉固めという 修復箇所にまいた金属粉の上から漆を塗る作業のをしました。
「時間がかかった分 愛情も増しますし、元通りではなく あえて傷が判るのもいい」

美術評論家の森 孝一さん
縄文時代の遺跡から漆を塗った土器が出土している。つまり当時から漆が使われていた ことが分かっている。その後 金継ぎは室町時代 茶の湯文化とともに広がって 繕った部分をあえて見せる「景色」と称して そこに美しさを見いだすようになったそうなんです。
江戸時代には 破損した磁器を 継ぎ目に釉薬をつけて接着したあと 焼いて くっつける 「焼き継ぎ」という手法で修理する習慣が広まった。それを専門にする職人も現れたそうなんです。

着物を ふだん使いできるものにリメイク

長野県に暮らす和田さんと母親の孝子さん、去年 亡くなった祖母の八千子さんは着物などを自分で縫うほどの腕を持ち 30着ほど持っていました。
ピンクの着物は 母が お嫁に来る時に 祖母が持たせたものです。家庭科の先生をしていた八千子さんは 祝い事などの時は好んで着物を着ていて 自分の娘には お手製の晴れ着を着せていました。

しかし ふだん なかなか着る機会がないためリメイクすることに決めました。
それが こちら、薄墨色の柄物 黒の留め袖 明るい花柄 青色の着物に 八千子さんお手製の子ども用の晴れ着です。
せっかくだから ちょっと やってみようかっていうことで妹と、埼玉県 三郷市にある 着物をリメイクする会社 Saikai no I に 着物を送ってみました。
ブランドプロデューサーである 大方知子さんと クリエーティブディレクターの 宇波滉基さんです。
2人は着物の生地を今の時代に着られる ファッションアイテムに作り替える試みを 7年前から始めました。
生地の特性や柄を生かしたデザインなどを考え すてきに アレンジしているんです。
小紋柄のワンピース シルクの柔らかい生地の特徴を 生かしたため 着心地のいいものに仕上がりました。
「銘仙」と呼ばれる古い着物を スカートにリメイク。大胆な花柄が鮮やかな印象に。

大方さんは ファッションの勉強をする中で 大量消費 大量廃棄のサイクルに疑問を感じるようになったこと。そこで古着の生地をアクセサリーなどに使うようにしたのです。
着物のリメイクを始めたところ 多くの着物が送られてくるようになりました。依頼件数は月に 30~50ほど。

どのように リメイクしているのか作業を見せて頂きました。
箱から取り出したのは長野の和田さんの着物。糸を取って洗い生地の状態にしたものです。
着物から服に リメイクする時 大変なのは 生地のとり方。 細長く分量が限られた生地をどのように組み合わせ服の継ぎ目や柄を違和感のないものに仕上げていくのか。
柄合わせを終えると出来上がりイメージを作ります。
柄をどこに配置すれば 一番きれいに見えるのか デジタル技術を使い 試行錯誤を重ねます。
扇の模様は ワンピースの下に 配置することにしました。
和田さんの服のイメージ図が出来上がり、生地は縫製の専門業者に送りそこで縫ってもらいます。

着物を送ってから およそ1か月。依頼者の和田さんのもとにリメイクした品物が届きました。
こちらは和田さん用のワンピース。
もともとが わりと 着物っぽくない柄だから なおさらかも しれないけど 花柄と明るい色合いが 印象的な仕上がりに。ゆったりと流れるように形づくられ 袖口は肩のラインがきれいに見えるという フレンチスリーブになっています。

黒留め袖も ワンピースに大変身。娘2人から母への還暦のプレゼントでした。
何か 生地だけ見た時は フォーマルに着ないといけないかなって 思ったけど いつでも着れそうです。
カラフルな晴れ着は 肩掛けバッグやハンカチなどの小物になりました。
ふだん 使うことができるように 生まれ変わった着物。使うたびに八千子さんを思い出すことができます。

着物の生地を使った さまざまな小物をです。
風呂敷 色合わせを工夫するとすてきな仕上がりに。
あずま袋は 生地を2か所 縫うだけで 簡単に仕上がります。
・帯の生地を使った コンパクトなバッグ
ネクタイ蝶ネクタイも すてきです。髪をたくし上げるターバンにもなります。
バブーシュと呼ばれる モロッコの伝統的な履物です。「ザ・着物という柄ですよね。だけど この大胆な変身で。何か エスニックな感じしますよ。」

篠原さんにも リメイク作品をお持ち頂きました。
おばあちゃんの帯で作ったカバンと着物の はぎれを使ったマフラー とても気に入ってるそうです。
アンティークさが 着物ってあるので 結構 派手なものを組み合わせても派手すぎない。

ダーニングと呼ばれるヨーロッパ発祥の衣類の修繕方法

ふだん使いの衣類について すり切れたり 穴が開いたりしますと どうしても処分してしまいがち
ですけれども ある技を使って直しますと特別な一点物に変わるんだそうです。

こちらは都内で開かれている教室。
受講生が学んでいるのはダーニングと呼ばれるヨーロッパ発祥の衣類の修繕方法です。
英語で「繕う」という意味があるダーニング。
穴が開いたり 傷んだりした部分を 縫うことで見えないようにしたり 逆に あえて見せるために カラフルな糸で 装飾を施したりするものです。

指導しているのは 野口 光さん。日本のダーニング人気の火付け役と言われています。野口さんは 生地の素材を選んだり 柄をデザインするテキスタイルデザイナー として活躍する一方で
マフラーや手袋といった オリジナルのニット製品なども手がけています。

そんな野口さんに お気に入りの ダーニングアイテムを見せてもらいました。
カシミヤのソックス。もう こちらは8年近く はいてるものなんですけど まだ はける。 まだ はける。
靴下との せめぎ合い? もう少し はけるぞ。 まだ繕って また もう1年はいてやるぞっていう。
育てる楽しさもありますが、単純なスケッチを施すことで もう着れないと諦めていたものが 着れるようになった」

そんな野口さんが ダーニングと出会ったのは 10年ほど前。仕事を通じて イギリス人のレイチェルさんと知り合いになり 彼女が営む手芸店を訪ねた時、 「ダーニングマッシュルーム」と呼ばれるものが 目に入ったのです。 お繕いをする時の道具なの デモンストレーションをしてくれ その時のセーターというのが もう何年もかけてダーニングをしてるものでした。
大工仕事が趣味のレイチェルさんが 作業する中で傷んできたところを 繕い続け オリジナルのセーターに育て上げていました。

繕ったところを いかに 見せないようにするっていうものが 繕いだと思ってましたから 繕ったところを隠す必要のない すごく楽しい針仕事 なんだなということが分かりました。

そんな時 父親にプレゼントしたマフラーが ほつれているのを発見。マフラーにダーニングを施しました。自分の手でダーニングをすることで「がっかりが うれしいになる」という経験をして これって もっと
いろんな人に知らせたいと思いました。

野口さんに ダーニングの技を一つ紹介してもらいました。
生地が薄くなったところなどを補強していきます。
用意するのは ダーニングマッシュルーム・ 糸と針・糸通し・ヘアゴム。 糸は自分の好きな色や太さで構いません。
ダーニングマッシュルームの中心に 傷んだ部分が来るように生地をかぶせます。代わりに おたまを使ってもいいそうです。
動かないよう ヘアゴムなどで縛ります。この時 生地を引っ張りすぎないようにしましょう。
1回に使う糸の長さは腕1本分 およそ50センチです。
「皆さん 糸って長くしがちなんですがこんがらがる原因になりますから。」
糸は2本どりではなく 1本どりで使用し 傷んだ部分の5ミリから1センチ 外側までを縫っていきます。
ではですね ここに右左 右左 右左と ゴマシオダーニングというステッチを
やっていきたいと思います。
縫う範囲の3センチほど外側から針を刺し刺し始めのところへ糸を通します。この時糸を10cm位残しておきます。
次に糸が出ているところから1ミリ程度 進行方向とは逆の位置に刺し 5ミリから1センチ程度 先に出します。(ゴマが1個できました。)あとは同じように 戻っては進みを繰り返しながら端まで縫い進めます。
「はい 次の段にいきます。 ぐるりと回して。糸が出ている1ミリ程度上のところに一針目を刺し
5ミリから1センチ程度 先に出します。あとは1段目と同じように縫いましょう。
1段目にできたゴマの すぐお隣に刺す必要はありません。
バラバラという表情のほうがかわいかったりしますので。 糸の残りが短くなったら、3cm程に外側に糸を出す。途中で糸の素材や色変えてもOK!
縫い始めは最初と同じように3センチ 外側から針を刺し 縫い進めていきます。あとは この作業を全体を縫い終えるまで 繰り返すだけです。縫い始めから およそ20分後。5色の糸を使い ステッチが終了。

残すは糸の始末です。ダーニングマッシュルームを外します。
裏面にできる模様を表面にしても いいそうです。
糸の始末は 外側3センチのところから出した 糸の端を裏側に入れ込みます。その糸を針に通し 縫い目に4~5回 くぐらせ 余った糸を切れば終了。玉結びにしても構わないそうです。
これで ゴマシオダーニングの完成です。

その他にも縦糸と横糸を交互に通す バスケットダーニングや、伸縮性のある生地でも使えるという
ハニカムダーニングなど およそ30種類のテクニックがあると いいます。

ダーニングの魅力を伝えたいと 教室を開いている野口さん。
大切にしているのは 細かく指示を出さないことです。
ステッチのしかたは もう お好みで、服って 素材も色も あと傷み方も 千差万別で 一つの答えが絶対ないんですね。
で 皆さんに これには どういう糸がいいか どういうステッチがいいか というふうに考えて 自分で考えられる力を付けてもらいたい。
私の やってるダーニングは いつでも初心者。いつでも上級者。
オリジナリティーあふれる生徒の作品を 見るのは 何よりの楽しみです。
「すごい小さいレベルで 自分らしさを実現してみたり そんな工夫ができるので 自分の手で そういうことができるんだな という自信というか …に つなげてもらいたいと思います。」
すてきにハンドメイド に6/2に出演予定です。

もう穴が開いた すり切れたら もう それで おしまいって なりがちですけど、このダーニングの観点からすると そこからが スタートになるわけですよね。

(篠原)このマフラーも実は ちょっと穴が開いてきちゃったりするんですけど ワッペンを付けて 実は穴を隠してるんですね。 自分の そういう お気に入りのアレンジの しかたとか 大切なしかたっていうのは
あると ちょっと いいなと思いますね。

野口さんには 夢があるそうでして このダーニングを 小学校で教科として教える。そういったことが 実現するといいなと。

今は簡単に物が手に入って つい買ってしまいがちなんですけれども 家にあるものを アレンジして 自分で オリジナルでちょっと手を加えてあげて 長く使って愛せる。
もともと昔は そういう 使い方とか 作り方してたんだよな というのを改めて教えてもらえましたね。

▽まとめ&感想

ものは大事に使いたいと思っていますが 老眼が進んで 根気が続きません。
手元も怪しく もう少し 若いときならやれたかなと思ってます。