所さん!事件ですよ☆子どもの教育どう支える? 親たちの葛藤▽こんな話

NHK総合 2023.10.19
子どもの将来のために家を売って中学受験の塾☆
子どもにできるだけの武器となる教育を受けさせたい☆
受験生の親向けの塾・子どもの強み見つけて伸ばす☆
娘と母親がマレーシアに教育移住 しかしうまく行かないケースも

【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】村上 知子、エコノミスト 崔 真淑、石田勝紀【語り】吉田鋼太郎

子どもの将来のために家を売って中学受験

身元を明かさずに 都内の大手企業に勤めているという男性が、3年前に35年のローンを組んで新築のマイホームを買ったが売ったという。事の発端は4年前に小学5年生の長女が私立の中高一貫校を目指し 勉強を始めたこと。中学受験を勧めたのは 男性で本人も中学受験をしていた。入塾テストの合格基準は高かったが娘は見事に突破。ところが塾の授業料が毎月5万円、夏期講習代としておよそ10万円が家計を直撃し、ちょっと大きめの車を手放した。
その次の年、弟も 就職活動も激戦なので、子どもの将来を考え同じ塾に通わせることを決めた。
「月々2人で10万円を超えます。春・夏・冬の長期休み中の講習費用。正月特訓や日曜特訓などの授業代もかさんで 2人で200万超えてますが、子供達を応援したいと思ってます。毎日休まず塾に塾に通っているだけでも偉いのに、毎朝6時半に起きて勉強し その後身支度して学校に行くとか偉い」
そして 男性は家を売ったらなんとかなると決断した。

(所)いいじゃん。 勉強 大好きなんだね。

SNSを調べてみると、子どもの塾代に悲鳴を上げる 親とみられる投稿が数多く見つかった。
「夏期講習の引き落とし金額を見ると吐きそう」
「夏期講習入れてたわ。ボーナスの残り消えました」etc…

今回 取材に協力してくださった男性、ご自身が就職氷河期に就職活動をしなきゃいけなくて、就職にかなり苦労していた。
(木村)ちょうど私ぐらいの年ですよね。みんな すごい大変そうだった。
だからこそ 子どもたちに同じ思いをさせたくないということで、生活費 少し減らしてでも 教育費は減らさないっていう道を選んだそうなんです。
森三中の村上さん、共感できる部分とかってありました?
娘は小学4年生、今 将来何になりたいかって、幅が広すぎて、私たちが小さかったときは、公務員とか安定してる職業がいいとされていた親達だった。今は全然違う、別に勉強ができなくても仕事をして、たくさん お金稼いでる人もいますし、お金が少なくても楽しんで仕事してる人はいますし。何が本人に合っているのか、助言できない。
(所)何 手伝っていいかが分かんないんだよね。
(村上)育てていき方が分からないというか。すごい今悩んでます、そういう意味では。
(木村)うちの子 すごい変わった子で。「宿題あるの」っていうと「この宿題はやらなくていい宿題」って よく分かんないこと言うんですよ。
(所)子どもはそういうことを言うよね でもね。
(木村)だから もう それで…。ああそう。
(所)ああそうじゃない やりなさいでしょ 親は!

エコノミストの崔 真淑さん
私も 去年夏に出産したのでひと事じゃないなと思ったんですが。首都圏の中学受験率の推移のグラフなんですが、8年前から右肩上がりに上昇してるんですね。2015年 20.31%が 2023年は22.95%と首都圏の小学生の4人に1人近くが 中学受験してるっていうことなんです。
なぜ これだけ増えてるかというと、やはり背景には 社会に不安を感じている親が多い。日本の国際競争力の低下 しかも 少子高齢化・新型コロナ・災害・戦争があったり、いろんな社会の閉塞感があって、それだけ親の心配の度合いが深まっているのを示しているのかもしれない。

子どもにできるだけの武器となる教育を

親が子どもの教育に 駆り立てられる理由は将来への不安のほかにもあることが分かってきた。
しおん君 3歳、両親は日本人なんですけれども 中国語をそらんじながら歩いているんです。こちらの家族を取材しました。しおんくんが読んでいるのは算数を学べる図鑑。
(木村)立方体… 3歳で? ええ〜!
地図の青森県も、そして 漢字も、月 火 水 木 金 土 日。
まだ小さいうちから学ぶことに慣れさせているのは お母さんの鈴木ちえさん
出産したのは43歳のとき、不妊治療の末の出産だった。一人っ子で、高齢な分 息子に接することができる時間は短いかもしれない。その思いから全力で息子の教育に取り組んでいる。
「今後 中国語も必要になると思うので 今のうちから慣れさせようとはしてます。夫はやり過ぎというけれども、今のうちに子供にいっぱい武器を与えてあげたい。」

(木村)私なんて正直 子どもが生まれて2〜3か月で仕事復帰してしまったので、自分の仕事で精いっぱいでした。全然 こんなこと できなかったです。
(村上)やりたくても あそこまで できない お母さんが多いと思う。あそこまで寄り添って、お母さんが楽しそうにやっているからこそ、子供が吸収してくれる。ただ教えるだけ、「やりなさい」といっても子供はできないし、多分楽しいから 知識が入ってくる。
(木村)確かに 楽しくないと絶対無理ですよね。
(村上)ずっと笑顔だったじゃないですか。だから お母さんと遊ぶ感覚で全部入り込んでると思うんですよね。

これまで1万人以上の親から 子どもの教育についての相談を受けてきた 教育のスペシャリスト石田勝紀さん
今まで たくさんの保護者の方と お会いして 感じたことなんですけど、親目線でどうしても子供を見てしまう。親として こういう子にしたいとか、こういうスキルを身につけさせたいとか そういった親の考え・理想は悪くはないと思うんですけど、 子供が「親の理想」と合っていないケースがある。うちの子がどんな子なのか?どんな性格の子なのか?何をやってるときに目がきらきらするのかとか、そういった所の子供視点を入れて育てていくと、豊かな状態で進んでいくと思う。

受験生の親向けの塾

数多くの塾がある 東京 四谷で、受験生の親向けの講義をオンラインで行う 江藤真規さん
2人の娘を東大に合格させ 自身も大学院で教育学を学んだ。その子育て方法を教えてほしいと多くの依頼が舞い込み 悩める親たちを対象に講演会などを開いている。現在は幼児教室を運営しながら親向けの塾を開いている。
今回の授業のテーマ「どう声をかければ、子供達は勉強するか」
(ある父)やる気を出しなさい。やる気何%?といったとき、0% とか5% と言われたら80%にしなさいと言ってしまう。
(ある母)子供にイライラガミガミ、怒っても子供は動かない

江藤さんは、魔法の言葉はない。それでも 子どものやる気を引き出す方法はあるという。
子供の強み10個書き出す
「こんな強みがあるじゃない」「ここがいい所じゃない」って言ってあげることができるようになる。そうすると「自分はできる」という気持ちを自己効力感と言って 受験生にはとても大事。
授業は 一回90分で8,800円。ほかにも 2か月で2万2000円のコースなどがあり これまで500人以上が学んできた。
わざわざ 塾に来てまで学ぶのか、話を聞いてみるとイマドキノの悩みがあった。
SNSに、塾の模試の成績を載せている人が結構いて うちの子の勉強量足りないのかな?」
「もう 小学低学年のころから毎日やることを、ものすごい緻密な分析と計画とを実行されてる ご家庭がありまして、…」
ネット上には 子どもの優秀な成績や、親がみっちり教える家庭学習の様子が数えきれないほど投稿されている。それを見るたび自分の子どもと比べてしまい 不安を募らせているのだという。

(所)情報がいっぱいあるから比べちゃう。それで不安になるんだね。
(村上)私の場合は友達の中で、ちょっと賢い子というか いつも本が好きで、娘に「一緒に本を読みに行ったら?」と言うと「自分は自分だから」と言われちゃった。比べているつもりはなくても 子供は比べられてるように感じてしまう どういう風に言ったらいいのか、もう こちらも ずっと勉強というか。
(崔)親が子供のために学ぶ講座や教材が増えている。こちらは 親が子どもへの料理の教え方を学ぶオンライン講座。さらには親がキャンプのテクニックを学ぶ講座と、子どもとキャンプをしたい父親たちが火おこし 飯ごう炊さんの方法を学ぶっていう。
何で 学んでるかっていうと、30~40代の親は自分の父親がバリバリ外で働いて母親は社会に進出し始めて 両親が家にあまりいなかった。どうしたら子供とうまく接することができるのか悩んでいる。

娘と母親がマレーシアに教育移住

小学5年生の娘を持つ 神崎雅暢さん、お宅にお邪魔すると、子どもと一緒に暮らしているようには見えない。パソコンを開いた神崎さん。画面に現れたのは 妻の瑞枝さんと 11歳の娘 まるさん
2人がマレーシアに渡ったのは、まるさんが幼稚園を卒園した4年前。夫婦で話し合い中学受験などにとらわれない外国で 育てようと教育移住を決めた。
妻は、サラリーマンの家庭でも海外移住できると調べ、選んだマレーシアには インターナショナルスクールが数多くあり その授業料は日本で塾に通わせることを考えると 決して高すぎることはなかった。住宅費は日本に比べ格段に安く、妻と子が暮らす4LDK 100平米の部屋の家賃は6万円。
夫が日本に残り 働き続ければ、マレーシアで暮らしていけることが分かった。神崎さんは1人暮らしを開始、同じ6万円の家賃で借りられたのは 築50年の2Kの部屋。自分の生活コストを抑えながら暮らしている。
(木村)お父さん 寂しくないのかな。

離れて暮らして5年目、まるさんに心境を聞いてみた。
「寂しいという感情はない。離れて暮らす生活に慣れすぎちゃって、お父さんも寂しいときがあるだろうけど、でも 何か そうやってうちらのために、今この生活をしてるっていうのがありがたいなって思うときもあります。」
移住当初は英語が話せず泣くこともあったという まるさん。しかし 今ではアジア各国から来ているクラスメートとも打ち解け 知らず知らずに国際感覚が身についたという。
まるさん 英語で「マレーシアの好きなところはいくつもあって、おうちにプールがあって好きなときに泳ぐことができるんです。」
父は「子供の成長が明らかに日本では できない成長の仕方をしている。僕としては後悔ないし この選択でよかったなって思ってます」

(所)お父さんは あのひと言で 満足なんでしょうね。一生懸命 仕事して やってくれてるっていうね。
(崔)マレーシアの教育移住 とても人気で、今年 開催した教育移住のイベントに600人以上のですね 親子が参加して 関心が高まってるっていうことなんですよね。

(石田)一方でこういう話も聞いてます。海外に行けば誰でも英語ができるようになると、思っている人がいるが そうじゃない。マレーシアに行ったが 戻ってきてしまうケースも結構ある と聞いている。

(木村)私もニューヨーク住んでましたけど、ずっと現地校に通っていても全く英語がしゃべれない子もいた。全然 拒否反応で。日本語だけでやってました。

(木村)悩みは尽きないですよね。正解がないから。
(所)私は 自分の子どもとか孫には何か あれしなさいって言ったことない。相談を受ければね 相談には乗るけど相談しないよね 俺には。ろくなこと言わないだろうと思って。

▽まとめ&感想

イマドキの話、私も孫のこと思いながら 見ていました。
子どもの将来のために家を売って中学受験の塾☆
子どもにできるだけの武器となる教育を受けさせたい☆
受験生の親向けの塾・子どもの強み見つけて伸ばす☆
娘と母親がマレーシアに教育移住 しかしうまく行かないケースも