あしたも晴れ!人生レシピ「シニアのミュージック・ライフ」▽こんな話

Eテレ 2021.8.20
リハビリを目的にウクレレをはじめた夫婦 二人でいた方が心強い。
集中力を高め 生活が充実 人間関係のつながりを強める音楽の力。
50代後半でアコーディオンを始めた由美かおるさん 気持ちが前向きに明るく。
人生のエピソードがつまった「思い出の一曲」脳の細胞を活性化。
小松菜も モーツアルトで成長良好、音楽の力を物語るエピソード・音楽ってイイモノ!

【ゲスト】 由美かおる 【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

リハビリを目的にウクレレをはじめた夫婦 二人でいた方が心強い

今回のゲスト 由美かおるさんです。
由美さんは まさにミュージック・ライフを体現していらっしゃるんですよね。

そうですね 私も 50歳の後半からアコーディオンに出会いましてそれで もう魅せられて5年ほど前から もう一生懸命 アコーディオンをやっております。
音楽というのはね 何か こう毎日のエネルギーを生み出してくれる
嫌なこととか 悲しいこととかある時に本当 音楽というのは 寄り添ってくれるっていうか 本当に癒やしてくれるものだなって思います。

まずはシニアから音楽を始めたことで生き方が変わったという人たちです。
川崎市のウクレレサークル。参加しているのは 音楽経験のない60代から80代の男女およそ20名。ほとんどの方が シニアになってからウクレレを始めました。
「ウクレレやる以上ね やはり きちんと上手になってみんなの前で弾けるように。ハワイに行ってやりたいですね」
ウクレレ講師 深代朋子さん
2年前から参加している樫原昭一さん。サークルのムードメーカーです。
演奏するのは エルヴィス・プレスリーのカバーで有名になった ハワイが舞台のラブソング「ブルー・ハワイ」。この曲の難しさは リズムが突然 変わる三連符。
リズムの取り方が難しい この曲。皆さん まだ思うように弾けません。
困っているメンバーを樫原さんは積極的にサポートします。

樫原さんは このサークルに、妻の洋子さんと一緒に参加しています。洋子さんもリズムが変わる三連符に苦戦中です。
この日は夫婦で三連符のおさらいです。
「人さし指で1回 弾いて次 親指で弾いて 人さし指。これがね 非常にスムーズにいくんですね。」
アドバイスを聞いて もう一度 挑戦。洋子さん なんとか弾き切りました。

練習をリードするのは樫原さんですが、ウクレレを先に始めたのは妻の洋子さん。
2年前 自転車で転倒、左手を骨折して リハビリに はじめました。
最初は動きが ぎこちなかった左手。きちんと コードが押さえられるまでに回復しました。

実は そのころ樫原さんも長期のリハビリ中でした。屋根から転落し 骨盤や肩など4か所を骨折する大けがをしていたのです。
それで お医者さんからは よくなっても車いすだろうと いうことで、普通に歩くっていうのは まず難しいんじゃないの…という話を聞いてました。

3年間のリハビリ中悲観的になることも多かった樫原さん。ウクレレにチャレンジする洋子さんの姿に元気をもらいました。
で 嫁さんに 「俺 ちょっと右手 不自由なんだけど一緒にやっても大丈夫かな」って言ったら「いや リハビリできるから一緒にやったらどう?」っていうのが きっかけでしたね。

楽器を奏でるという共通の趣味ができ、共に過ごす時間が増えました。
それが夫婦の関係に思わぬ変化をもたらしたそうです。
以前は 何か自分の考え方が違っちゃうと 相手のことを考えず けんかになっていました。
同じ部屋にいてもバラバラだったんですけども。

ウクレレはね やはり同じものを目指してる 目的が一緒じゃないですか。
弾いて上手になろうっていう感じで。
「ええ 前より優しくなったと思います自分自身が」
「結構ね ガミガミ言うんですよ 私に。何かあるとね ガアガア ガアガア言ってくるんですけど。でも それが だいぶ なくなりましたね。」

これまで家のことは洋子さんに任せてきた樫原さん。ウクレレをきっかけに家事もするようになりました。
今日は初めてのハンバーグ作りです。料理のコツは 洋子さんに教わりながら。
樫原さんが初めて作ったハンバーグでハワイ料理の「ロコモコ」。なんとか完成しました。

お互い2人いないと 何かこう不安な感じする時が多くて やはり何やるんでも やはり自分1人でやるよりは 2人いたほうが すごい心強いっていうか そういうのが芽生えてきたっていうかね。

(賀来) ウクレレとの出会いが ご主人が家事をするようにもなり それから こんな理想的な夫婦の形にまで変化して とにかく和やかなムードが漂ってらっしゃいますよね。

(由美) 楽しく生きる原動力になっていて 趣味が一緒っていうのは 本当にいいですね。

音楽の力:集中力を高め 仕事などはかどり 生活が充実 & 人間関係のつながりを強める



専門家に加わって頂きます。埼玉医科大学短期大学名誉教授で音楽療法を実践していらっしゃいます 和合治久さんです。よろしくお願いします。
今 樫原さんご夫婦はですね ゼロからのスタートでしたが 音楽を始めるということは 心身にどんな変化をもたらすというふうに?

(和合教授) まさに音楽の力が全部入っていると思いましたね。一つは リハビリの効果があったり、それから ご夫婦の絆が強くなったり、それから コミュニケーションが促進して円満になったり、これは もう音楽が持ってる力なんですよね。
ウクレレは サイズも小さいですし 手軽ですしね。
それから楽譜が読めなくても3つのコードで弾くことができますから、どなたでも練習した暁には達成感とか充実感を得やすいんですよね。
それで4つの弦がありますよね弦楽器として。そうすると 奏でると川のせせらぎのような音が出ましてね それが心を落ち着けさせるんです。
自分の好きな曲を自由に弾いて 集中力を高める
そして その結果 脳の中では ドーパミンという脳内物質も出るんですけれども この延長線上には 例えば日常の仕事だとかあるいは お勉強だとか そういうものが はかどる。そして生活も充実してくるんですね。

夫婦の仲が より深まってるというふうにもね 感じるんですけど それは どういう作用でそんなふうになったって思われます?

音楽というのは人と人との絆 あるいは人間関係のつながりを強めるんですよね。だから同じ曲を皆さん一緒に歌うという歌唱するとですね 一致団結力が高まりますよね。それは もう 小学生でも中学生でも分かりますけどね。
だから この作用をうまく利用しますと 今 高齢者施設で 音楽療法という言葉があるんですけれど、実際に昔懐かしい文部省唱歌だとか 叙情歌を歌って頂いて 皆さん 初めてお会いした同士も すぐ仲良くなるんです。

50代後半でアコーディオンを始めた由美かおるさん 気持ちが前向きに明るく

(賀来) 由美さんは 50代後半からアコーディオンを始められたというのは ちょっと びっくりしたんですけれど どんな変化を感じられましたか?

(由美) 元気に生きる活力を 何か音楽からもらえるような 気がして 体じゅうが ワクワクと本当に細胞が喜んでる。アコーディオン弾いて 歌うことによって 気持ちが前向きに明るくなりますね。

「水戸黄門」を長くやらせて頂いて それが終わった時に、パリに旅行に行ったんです。街角ですてきな女性が アコーディオン弾いていて感動したんです。
私も やりたい!と思って始めたんです。でもやってみたら本当にとても難しいことが分かりまして。だからなおさら私はアコーディオンが好きになりました。

由美さんの生演奏すべてにメルシー

人生のエピソードがつまった「思い出の一曲」脳の細胞を活性化

「あしたも晴れ!人生レシピ」初リクエストコーナー
思い出の一曲を街で聞いてみました。

飯田久彦「ルイジアナ・ママ」 この歌を日本語で歌ってくれて プロボーズされた。
ビーチボーイズ 「サーフィン u.s.a.」 一緒に遊んでいた悪友を思い出す
アース・ウィンド & ファイアー 「レッツ・グルーヴ」 70代男性 現在終活中 葬式に流して欲しい
小田和正 「言葉にできない」元気のない時に そうだな頑張らなきゃ 
「水戸黄門」主題歌「あゝ人生に涙あり」 一歩を出すのが大事
村田英雄「花と竜」 お父さんがカラオケで準優勝した曲で 葬式の時流れたという母娘

(由美)本当に皆さんの それぞれの何か物語 人生を感じますね。あ〜そんなふうにして生きていらしたのかって。もうそれぞれが皆さん魅力的ですばらしいですね。

(賀来)人生の一部を語って下さるってなかなかないです。もう歌われる方もいらっしゃれば、人生を説いちゃう方もいらっしゃれば その歌の力ってすごいんだなっていうのを。あと それぞれの皆さんにやっぱり名曲あり ドラマがあるんだなっていうことを感じました。

(和合教授)私たちは昔懐かしい曲に 耳を傾けますと すぐに郷愁に誘われます。
昔これを口ずさんでくれた 父や母の顔が浮かんできたり、おじいちゃん おばあちゃんの顔が浮かんできたりしますよね。
そういう歌というのは その時代時代に目に入ってきた視覚的な要素 それから耳から入ってきた ある言葉そういうものが 大脳の記憶細胞に 同時にストックされてますから ある音楽を聴けば その情景がパッと浮かんでくる。 だから高齢者の方々でも昔のことはもうよく覚えてますよね。
そのように思い出の曲というのは脳の細胞を非常に活性化させる作用があると思います。

(賀来)由美さん 「水戸黄門」出てきましたね。んご自身は あのテーマ音楽についてはどんな感想をお持ちなんですか?
(由美)「人生楽ありゃ苦もある」いい歌だなと思いますね。英語バージョンで やっても楽しいかなと。


(賀来)私が主演をさせて頂いた ドラマ 「ずっと あなたが好きだった」の主題歌の サザンオールスターズの「涙のキッス
何かね 本当に キュンとするんですけど。自分が主演をさせて頂くと。
それで主題歌が サザンオールスターズに決まったって。私にとってサザンオールスターズって本当に 青春とともに あった方たちなので。
あと あの時のロケの雰囲気。みんなの熱量で作ってたあのことも思い出されて。
で そのドラマの続編が ユーミンさんに やって頂いた「真夏の夜の夢」だったんですね。
私にとって サザンユーミンさんと いったら 自分の青春を彩って下さった方たちなので 光栄な気持ちとともに音楽があります。

由美さんの思い出の1曲ドリス・デイの「ティーチャーズ・ペット」、テレビでデビューした時に歌って踊ったんですね。
その時 関わって下さったスタッフの皆さん すごく大事にして下さって、その優しさが 今でも この歌を聴くと思い出して本当に ありがたいなって いつも感謝を… よみがえってくるんですね。
この歌で自分の人生が ガラリと変わって本当に原点ですね。 初心に帰ります。

小松菜 モーツアルトで成長良好

(和合教授)これ 私が以前 研究していたものです。
小松菜の種を36個シャーレの上に置きまして スピーカー 両方に置いてあるモーツァルトの曲を1日2回 午前30分 午後30分 流して 発芽と発根にどういう影響を与えるか 研究した時の装置です。
右のほうはモーツァルトを聴かせたもので、非常に茎の長さが高くなります。音楽を流さないよりも 流したほうが 茎の長さが平均5ミリぐらい長くなります。

それは なぜモーツァルトなんですか?

モーツァルトは他のクラシックの作曲家と比べまして 音響学的に面白い性質があります。
一つは人間の耳が一番敏感に感じ取れる 4,000ヘルツという高い音ですけれど、そういうところを非常によく使ってるということが一つ。
それから和音が豊富なんですね。ドミソ ファラド ソシレ。複数の音が同時に鳴りますから音と音が空中でぶつかりますよね。そうすると より高い音が生まれるんです。
それから小川のせせらぎとか 風のそよぎ音とか 揺らぎが ものすごく豊富なんです。
そういうものを聴くと、私たちの体の中にも いろんなことが起こるんです。植物も そうなんです。

音楽の力を物語るエピソード・音楽ってイイモノ!

粟辻泰史さんの人生は音楽との葛藤でした。
8年前まで中学校で音楽教師
をしていた粟辻さん。音楽を点数で評価することに疑問を感じていました。ある日 粟辻さんは うつ病と診断され休職することに。

そんな時 偶然 出会ったのが オカリナでした。もともと好きだった童謡や唱歌になじむ オカリナの優しく素朴な音色が自分に合っていると感じました。
オカリナは 両手で持つと 顔に近く 自分の体の一部のように感じた。
オカリナを吹くと気持ちが前向きになり、これまでにない解放感を感じた粟辻さん。「本当に やりたいことが見つかった」と思ったそうです。
定年を前に退職。プロのオカリナ奏者になりました。コンサートを開くかたわら 病院や福祉施設をボランティアで回り始めました。
普段 外に音楽を聴きに行ったり出来ない人が 「ふるさと」なんか吹いたら 涙流して聞いてくれた。
有るところでは ハーモニカで一緒に吹いてくれた。響き合っている実感がありました。

ピアノの伴奏をするのは 妻の紀子さん大学の音楽科で出会い 演奏を共にしてきたパートナーです
紀子さんは 粟辻さんの変化をずっと見守ってきました。
人見知りでしたが 積極的に変わってきました。

「音楽」に悩みながらも「音楽」に救われたという粟辻さん。
音楽に触れる中で いつの間にかうつ病も改善していきました。

演奏会を重ね 腕を磨いていく中で より多くの人に聴いてもらう機会が訪れます。
イタリアで オンライン開催されたオカリナの国際コンクールです。
演奏したのは 100回以上は見たという大好きな映画 「サウンドオブミュージック」 の中の1曲 「マイ・フェイヴァリット・シングス」
なんと 独奏部門の一つで優勝。音程や表現力などが高く評価されました。

音楽をやって 得られるモノがありました。
音楽によって 世の中がうまく動いていくような 架け橋になればいいな。 音楽っていいですよ

(由美)自分のずっと持っている信念意志を貫いて、そして行動することによって こんなふうに すばらしくオカリナでも 優勝されたり。 まだまだ私たちはいろんな可能性を持っていると思います。
だから本当に もっと細胞を生き生きとさせて 好きなことを どんどん どんどん前向きに捉えてやっていけたらいいですね。

(和合教授) 今日のストレス社会でありますと 人間の意思では 何とも動かすことのできない 自律神経があります。
普通は昼間働く交感神経は 活動モードにしますが 夜寝静まって私たちの体心身を休めるのは副交感神経なんです。
音楽というのは大きく分けまして 精神的な働き 生理的な働き そして社会的な働きがある。それが大体4,000ヘルツくらいの音に非常によく反応してきます。
だから好き嫌いに関係なくそういう音を活用しますと唾液が じわじわっと出てくる。涙ぐんでくる。それから体温が上がってポカポカしてきます。それから血圧 高い人にそれ 聴いてもらうとすぐストンと安定してきます。というように 副交感神経のなせる業を どなたでも感じ取ることができるんですね。

実際に今 いろんな施設で音楽療法士という方が活躍しているんです。
あるいは心身の障害の克服にも使えるということで音楽療法という セラピーの一つとして 位置づけられているんです。

(由美) 楽しく生きていくために 音楽が欠かせないものだなって思いますね。
私も アコーディオンをやってよかったなって思います。でも アコーディオン… 音楽というのは恋人のような存在だと思うんです。
こう 聴かないと 弾かないと とってもちょっと さみしくなったり 聴いて 弾いて 歌ったりすると すごく何かもう いろんなことを思い出して 感動的になって そして音楽はなくてはならないものだと思います。ですから これからも音楽に携わっていきたいと思います。

(賀来)私ね 忘れられない曲とか思い出の曲とか 例えば好きな曲って 何か いっぱいあるなと。
ただ こう パッと音楽聴いて 「あ〜 何かこれ好き」という曲も たくさんあって。

(和合教授)難しいことは考えないほうがいいですね。自分の好きな曲を奏でる。あるいは口ずさむ。あるいは楽器で演奏すると。そういう身近なことから手始めに開始されたら どうでしょうかね。

▽まとめ&感想