NHK総合 2024.2.1
大工不足で秋田の浸水被害の修繕工事進まない これは全国的なことで、工場で生産 現地組み立てをしたり 3Dプリンターで作ることで大工不足に対応。
若手を「道場」の見える化したカリキュラムで育成しているところがある。ドラマで若い人に大工の仕事を見せたい。外国人に竹中大工道具館が人気。日本の木組みの技術も海外の人に高く評価されている。
【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】尼神インター 渚、大工 えりのまき、建築エコノミスト 森山高居【語り】吉田鋼太郎
大工不足で秋田の浸水被害の修繕工事進まず
2023年11月 秋田県では 記録的な大雨で店舗家屋およそ1万棟が浸水した。70cmの床上浸水にあった 建てて6年のお宅、水につかった壁や床を取り外したまま 順番待ちで4か月が経った。同じようにブルーシートで覆われた、修理されず放置されたままの家が至る所に。秋田市によれば災害支援制度を利用して 修理の申請をした家は738軒。そのうち去年11月時点で修理が完了したのは 209軒。
修理中の現場で聞いてみると 大工の絶対数が足りない。慢性的な人手不足で手が回らないのだという。ここで働くのはベテランの大工さんばかり 一番の若手が43歳。こちらの工務店では これまで5人の新入社員が入ってきたがすぐに辞めてしまったという。建築の仕事 1~2年で全部マスターできない どうしても下積みがある。「見て覚えろ」的なところがあって続かないという。
建設業の労働環境に詳しい 芝浦工業大学 建築学科 蟹沢宏剛教授の話
大工の数は40年間で3分の1に減少し(ピークの1980年94万人、2020年29万人)、しかも60歳以上が4割を占め 2050年には 7万人にまで減少すると予測している。この先 家が建てられなくなるかもしれない。
大工不足に工場で生産現地組み立て・3Dプリンター
尼神インターの渚さんは芸人になる養成所の入学金をためるため 建設現場で働いていた。
住宅のリフォームなどを手がける 女大工のえりのまきさん。
「11年前に この大工の世界に入った。私は65歳の親方やったんですけど、やっぱり世代の差で 教育に対する考え方が違う。「見て覚えろ」の世代なので教えてもらえない。
(所)若い子たちはね どうしても すぐにうまくなりたいとか すぐ成功したいとかっていうのがあるから 失敗したくないっていう人たちだもんね。すると なかなか そこは続かないですね。
大工の人手不足で、こんな取り組みが出てきている。
■骨組みや壁は工場で作り、トラックで現地に運ぶ。家を建てる場所に到着したら基礎に接着させて 水回りなどの内装を完成させます。
■最先端の3Dプリンターを使って家を建てていきます。大工の代わりに作業の管理やオペレーターと呼ばれる技術者が担い、完成まで45時間。建物は十分な安全性も確保できているそうです。
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(所)大工さん不足になってこういうのは助かるとは思いますけど これで いいんでしょうかね。
建築エコノミスト 森山高居
大工さんが不足してるから こういう工法が出てきたのではなくて、住宅価格を下げる なるべく早く作る目的だったが、大工さんいらずの工法が続いてきて、結果 現場で大工さんの立場が弱くなってきた。それで 古い建物なんかを直すときに 大工さん いないじゃないかっていうことが起きている。大工さんは家全体を把握していて 古い建物、中古住宅を生かしていくには 大工さんの知識と技術は必要。
若手を「道場」の見える化したカリキュラムで育成、ドラマで大工の仕事
大工の人手不足の背景には 若手が技術を身につける前に辞めてしまうという現実。
栃木県那須塩原市 社員50人程の建設会社 株式会社メガステップ 多くの 20代から30代の若者が定着して働いているいる。 その訳は?「道場送り」にしているという。
「職人道場」という 育成に特化した研修施設で、新人研修やキャリアアップの際に ベテラン職人が技術指導している。
講習三週間 の鬼澤さん23歳に 窓枠のある壁作りが3日間で課された。
建設会社 取締役 長口修子さん が 作るまでの細かい動作工程を見える化した カリキュラムを与えた。各工程で使う道具と技術を一つ一つ習得していくことで 確実にゴールに到達できる仕組みだ。鉛筆を使い直線を引く動作では太い線が積み重なりズレにつながることを教える。さらに 一つの工具に対して 木材や石こうボードなど 違う材料で練習。そして さまざまな体勢でも使えるよう カリキュラムが組み込まれている。大工として必要な技術を頭と体で覚え込ませる。
鬼澤さんは「現場だと人の家で失敗できないが ここがあってありがたい」
至る所にカメラがあって、鬼澤さんを道場送りにした現場監督が この映像を見ている。 講習を確認 不足部分を伝えている。鬼澤さんは与えられた時間で壁を作り上げることができた。
(森山)大工さんの仕事って「一体どんな仕事なんだろう」っていうのが 若い人とか 子どものときから分かってない。最近は工事現場も覆われてる。見えないし何やってるか分からない。見える化すること大事。ドラマ・映画・漫画の世界で ヒーローの大工さんが出てきて 活躍して、憧れの大工さんがこんなことやっていると知って欲しい
えりのまきさんは SNSを通じて 大工という仕事の面白さも発信。
「私は建築業界に入るきっかけが 10代のころに ちょっとうつ病を患ってて 引きこもってたときに工務店を営む父親から 働け! みたいな感じで現場に連れていかれたのがきっかけで。お客様が 本当にありがとう と喜ばれてもらえることに感動した。建築がすばらしい仕事やって思ってるから、ちょっとでも多くの人に知ってもらいたいなと思って SNSの発信を行っている」
竹中大工道具館が外国人に人気、アメリカ人が開く大工体験のワークショップも大人気
兵庫県神戸市に外国人観光客に人気の 竹中大工道具館、ここには3万点を超える大工道具が展示されている。神社や寺を訪れ 日本の木造建築に関心を持った外国人が 多く訪れるという。特に注目を集めていたのは木組みの技術で くぎなどの金物を使用せず木材を接合することで地震が来ても 揺れを吸収し倒壊しにくいのに驚愕している。1400年の歴史がある世界最古の木造建築 法隆寺にも木組みが使われている。
岡山県の山あいにある築100年の古民家に40歳 アメリカ人のジョンさんが家族と住んでいる。天井裏には客間もある立派な家。大工の棟梁であるジョンさん自身が9か月かけて修復した。玄関のちょうな(手斧)で作った 光によって表情を変える床 は熟練技のたまものだ。
17年前 ジョンさんはアメリカの大学で建築学を学んでいたが 旅行で訪れた 美しい京都の寺や町屋を見て 200年前 … 800年前の建物と聞いてどん引きしたぐらいに感激した。工務店勤務を経て 古民家を再生させる会社に転職。今ジョンさんのもとには アメリカ・ドイツ・インドなどから 2000件も問い合わせがあるという。
これにジョンさんは「木造建設まで 日本がスゴイと気づいたからであろうと」
海外の人気を受け ジョンさんは 定期的に大工体験のワークショップを開催。国内外問わず 大工の担い手が増えてほしいと願っている。
(森山)日本の建築に対するリスペクトがもともとあった。今京都とか東京や大阪にも 数少なく残ってる古民家とかを再生して使おうっていう動きが出てきてるのはとてもすばらしいこと。
(えりのまき)女性も活躍できる職場にするために 服装なんかも気にしていている。動きやすく 全然 引っ掛かんないんで。白い安全靴で、服装も自分で好みセンス出せます。
(渚)大工の担い手が増えるアイデアとして 大工飲み会をする。話だけ聞きたいっていう お酒 好きな方でも 集まれると思う。
▽まとめ&感想
大工不足で秋田の浸水被害の修繕工事進まないには驚きました。全国的なことで ベテランばかり まわりも見渡しても もうですね。工場で生産 現地組み立てをした同じような家 増えています。でも味気ないですね。大工さんの仕事 覗きながら楽しみにしていました。木組みの技術も伝えて欲しいし、若手を上手に育てて 多くの大工さんが出てくるよう祈ってます。