あしたも晴れ!人生レシピ★わたしの理想を実現!移住でセカンドライフ▽こんな話

Eテレ 2024.2.2
自分のこの先の暮らし方を考え地方に移住した人です。
一人は沼田市に移住体験施設を利用し地域おこし協力隊に加わり 移住したご夫婦です。
もう一人は庄内地方に移住した女性は 住まいと地域との交流を進めるプロジェクトに参加。

【講師】柳 順一
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

沼田市に移住体験施設を利用 地域おこし協力隊に加わり 移住したご夫婦

群馬県沼田市 谷川岳を望む 里山での暮らしに憧れて 4年前夫婦で移住した 高津修さん(57) です。東京で生まれ育ち、栃木県に住んでいた祖父母の暮らしに憧れ、いつか田舎暮らしがしたいと考えていました。きっかけは沼田への日帰りバスツアーで、観光名所のラベンダー畑も訪ねましたが 何気ない里山の風景に心引かれた。
東京の賃貸物件を引き払い 今は中古で購入した一軒家に妻の幸子さん(48)と暮らしています。
沼田市の移住窓口にも相談、市が提供する移住体験施設「トライアルハウス」は移住希望者であることを条件に最長で4泊5日無料で宿泊できるので 5~6回利用した。トライアルハウスには 24時間 掛け流しで いつでも入れる温泉がついている。
沼田市は過去15年で人口のおよそ5分の1に当たる1万人が減少。(2008年54,181人⇒2023年44,361人)。なんとか移住者を増やしたいと 移住・定住を促進する支援制度を設けてきました。
沼田市 観光交流課 地野さん「移住コンシェルジュや市職員の面談を設けているがそれ以外は観光地を回ってもらってもらったり、まずは沼田を好きになってもらうのが第一」
高津さんも この宿泊施設を利用しながら何度も沼田を訪問。美しい自然や継承されてきた伝統文化などを知っていった。300年の歴史がある造り酒屋で 店主との日本酒談議で その味のとりこに。
移住する前の高津さんは工務店を経営し、IT関連の知識も豊富でした。しかし沼田でどんな仕事をすればいいのか移住前には決まっていませんでした。
そんな時 役所の人から声をかけられたのが「地域おこし協力隊」。過疎化が進む地方で1年から3年の任期で給与を得て地域を盛り上げる活動に従事。将来的にその地域への定住を促進しようという取り組みです。
高津さんは耕作放棄地となっていた棚田を再生させるプロジェクトで活動を始めました。当初はなじめず浮いた状態でしたが、得意な技術を生かし ドローンで棚田を撮影してインターネットで発信。さらに ネットの生中継で棚田の田植えを配信。冬場にはライトアップイベントを企画 魅力を県外にも大きくアピールしていった。
2022年に農林水産省が選定する「つなぐ棚田遺産」に群馬県で初めて選出された。そうしたことの積み重ねで地域の人たちとの関係を築いていった。協力隊の3年の任期を終え今も交流を続けています。
幸子さんは新幹線で東京に通勤 駅まで車で送られ会話の時間になっています。新幹線の定期代には沼田市から3年間 毎月2万円の補助を活用しています。
高津さんは今市役所の一角にあるスペースにオフィスを構え、株取り引きのアプリ開発をしています。社員はまだ1人だけ。自宅でもできる作業ですがあえて 若い人にこういう起業もあると知ってもらい 沼田で働く人を増やしたいと考えたからです。

田舎暮らしに関する雑誌の編集長 柳順一さんです。
移住への関心はコロナ禍で またグーッと高まりましたね。リモートワークの環境も整ってきました。
今は自治体が 受け入れ窓口になっている。有楽町にある ふるさと回帰支援センターがやってる年に一度のふるさと回帰フェアに 昨年 来場者数 2万1429人で過去最多でした。
移住をスムーズに進めるため移住体験施設」を多くの自治体が準備してます。田舎暮らしに興味があるとか移住に興味があると、 真剣に移住を検討してないとだめとかの条件は いろいろなんですけど、工夫をしていて そういった施設が 無料とか とても安く長期間借りられるんです。そういったものを利用して まず行ってみるということは 失敗しにくいと思う。
(賀来)地域おこし協力隊という取り組みは実際に移住の促進につながってるんですか?
(柳)とてもうまくいってる制度です。2009年にでき 令和4年で 6447人 任期終了後に大体65%ぐらいの方が定住している。1年から3年というのが任期で、お試しの移住期間にもなり 16万円から22万円の一定額のお給料がもらえる。 生活の安定になり その間に暮らしの足場を作ることもできる。
移住者が来てくれることで地域が盛り上がり シビックプライド(地域に対する誇り)が持て 地域が元気になると思いますね。

庄内地方に移住した女性 住まいと地域との交流を進めるプロジェクトに参加

自分にとっての理想の移住ライフを描いて、去年神奈川から庄内地方藤田篤子さん(57)は移住しました。産直市 場をよく利用旬の物を食べるようにしていて、 特産の赤ねぎをバターで焼いたり します。必ず立ち寄る お総菜コーナーで一品足すのよく買っています。今日はたらこを煎って白滝で和えたものですを選びました。
藤田さんが移住したのは人口9万6000 ほどの山形県酒田市。入居したのは去年 建てられたばかりの移住者用の集合住宅です。東京に生まれ 首都圏で育った藤田さん。30歳の頃に離婚して以来 1人暮らし。8か月前に単身で移住しました。この部屋から 天気のいい日には 雪を頂いた鳥海山が望め 自然を感じる暮らしに憧れていた藤田さんにとって移住の決め手の一つになったそうです。
敷地内の畑で家庭菜園、茎ブロッコリーや苗から育てたミニ白菜も収穫。藤田さんは介護や家事支援の仕事をしていました。「とりたての自分で育てた野菜を食べれるなんてうれしい」といいます。
田舎暮らしへの漠然とした憧れがあったという藤田さんですが、52歳で足を骨折、この先の体力や1人で暮らすことについて改めて考えたそうです。自分の人生の棚卸しをしてブログにも自分の理想の暮らしを書き出しました。
介護以外の仕事もやってみたいと考えていた時 酒田市と生活協同組合 生活クラブが中心となり 移住者と地元の人が共に地域作りを行うプロジェクトを見つけました。
交流施設と移住者用の集合住宅を建設。食に関心のある人には農業などに積極的に関わってもらう仕組みも考えられていました。
酒田市 地域共生課 阿部さん
「プロジェクトのコンセプトが 参加する暮らし、地域に溶け込んで 自分の得意分野を生かし 生きがいにもなる形で参加で切る取り組み」
1人で移住する不安も感じていた藤田さんにとって 理想的な環境でした。交流棟では 石けんについて学ぶ講座などが開かれています。
野菜作りから加工販売まで手がける農事法人 代表 遠藤久道さんは移住者との交流イベントで 藤田さんと知り合い、どんな試食イベントをするか 企画までお願いしようと考えています。観光物産館で在庫の補充から 人気の商品を把握する仕事などを任される予定です。

この日 藤田さんは移住仲間の猪股さんと車で向かい、雪の残る畑で赤カブの収穫を手伝いました。こうした地域の特産品の栽培も大変な作業で、深刻な担い手不足に悩まされているといいます。
移住して以来朝の散歩で 近くの最上川沿いに1万羽もの白鳥の飛来を見ることができ 理想とする暮らしに近づいているようです。

(賀来)いや〜藤田さん 瞬間瞬間生き生きとされてて すごいですね。ご自分の心と向き合って計画性を持って、その中に社会に役立てるかというのがあって、もう地域作りに参加するということで すごいなと思って。あと 何かね 大変を楽しむ。

藤田さんなんですけれども、冬には吹雪などの悪天候によって屋内で過ごす時間が長くなるということで 地元の方から 刺し子という東北で盛んな手芸も始めたそうです。

(柳)これは とても先進的なケース役場と民間の生協の官民連携の事例 ローカルSDGsっていう域内の循環するで持続可能な社会を作るというとても注目されてる施設でもある。

■移住政策に力を入れている市町村を3つ
◎私どものランキング企画で ずっと1位になってる 大分県の豊後高田市
移住・定住の施策がめちゃくちゃ充実して、定住ハンドブックを作ってあり 毎年更新されて 今 185項目ある。例えば 中学生まで無料の塾があり、難関大学を受験するために 高校生の受験無料塾もできました。住宅はいろんなタイプあって 無償分譲地、分譲地っていいながら土地代無料とか、ペーパードライバー教習の補助が出たりとかあります。
兵庫県の豊岡市では 演劇祭をやってる。平田オリザさんがいらっしゃったりして 演劇の人材を求め、うまいことマッチングできて いい人が来てくれるということもある。
◎東京の近くでいうと 茨城県の境町。東京駅と境町を結ぶバスが1日 往復8便も走ってる。通勤 通学に使え 通学定期券の半額補助している。英語教育にすごく力を入れ、参加費無料で外国にホームステイ した、 ネイティブな人が英語を教えてくれるとか、英検の受験料は無料です。

住民の住みやすさにすごく力を入れてると「社会増」転入・転出で転入が多い状況。豊後高田市も境町もそうです。
うまくいかせるためのコツとして、まず自分が何をしたいのかということは明確にしておく。とにかく のんびりしたいというんじゃ 間がもたないんですよ。畑をやりたいとか DIYしたいとか 伝統工芸を学びたいとか やりたいことを明確にしておくことで 移住地選びというのも具体的になります。移住してから「こういうこと興味あるのね。じゃあ あの人 紹介しましょう」みたいなことにもつながっていくので とても大切だと思います。
体験施設を是非 利用して頂きたい。実際に ふるさと納税の返礼品で体験というのもあるんですよ。

■移住前に確認しておくとよいポイント
夏の暑さや冬の寒さ。短い期間でも体験しておくこと。
想定される出費。その地域ならではの出費も把握しておくこと。
近くの医療機関把握。持病のある方は通える範囲に住むのもおすすめだそう。

(柳)取材を通じて 多くの移住した方たちと接して、自然に恵まれて 食に恵まれて 人に恵まれて とっても豊かに暮らしてらっしゃるなと思うし 地域の役に立ちたいという意欲もすごくおありになるので。
こういう暮らしができるという日本って いいなって思います。

▽まとめ&感想

雪国に住んでいて、庄内にいらした方の理想の生活に近い生活をしています。
家庭菜園で作ったとりたての野菜を食べて、足りないときはスーパーの地元野菜コーナーで買っています。今年は雪が少なく 晴れた日が多く 近くの山々がはっきり見えます。雪の田んぼで エサを食べている白鳥も年々増えています。