太平記 2話「芽生え」▽あらすじメモ△登子と見合 日野俊基出会い 京へ

高氏は赤橋登子と古今六帖について語り合う

足利尊氏が若き日を過ごした鎌倉幕府では、将軍はすでに象徴に過ぎず、何の力もなかった。
幕府の実権は将軍の補佐役である 執権 北条高時が握っていた。
その執権を更に補佐するために、連署 北条貞顕がいた。いわば副執権格にあたる。
この二つの要職を代々世襲してきたのが北条家である。
その結果、北条本家の家臣の筆頭である内管領 長崎円喜 も時として執権を上回らんばかりの影響力を持っていた。
幕府内では、日々、執権・連署・内管領 達の権力闘争が繰り広げられていた。
そして高氏も否応なくこのような、複雑な権力機構の中で、生きて行かざるを得なかったのである。

直義(高嶋政伸)一色右馬介(大地康雄)に高氏(真田広之)が犬合わせの場で笑い者にされたことを問い詰める。
清子(藤村志保)が、執権殿の代理の方がお詫びに見えた。傷もさしたるものでなく、騒ぐ必要ないとした。
 そのころ、高氏赤橋守時の館で妹・登子(沢口靖子)と会っていた。登子は「この古今六帖には写し間違いがある」と言いだし、高氏にどう思われますと尋ねた。
高氏は、母が借りて、読んでいないと告白。登子の読む歌を、まねて歌を口ずさんでみて、「これは恋の歌だな」と言う。
登子も「はい、恋の歌です」と微笑む。
高氏は古今六帖を読んで見たいと言って借りる事に。

登子達に見送られて赤橋邸を出るときになり、高氏は、嫁にという話は、あの登子だったと解った。

この赤橋家は、幕府の基礎を築いた、2代目執権 北条義時の3男長時を始祖とする名家である。
有力な大名達は、こうした北条一族の姫君を正妻に迎え、北条一族とつながろうとした。足利家も代々そうして、生き延びてきたのである。

高氏 時宗の聖の一団を助け 長崎家の家臣に切りつけ 日野俊基に会う

高氏は、勤め先の将軍御座所で、同僚の宍戸知家(六平直政)に犬合わせの場でのことを「さすが足利の御曹司、じっと耐えている。足利家が世渡り上手。北条方より嫁をもらえば安泰だ。」と言われていた。複雑な顔の高氏。
知家「わしも、小国の守護の嫡子。同じ事をする。お互い、美くしゅうはないの。つまらん世の中じゃ!」

高氏が歩いていると、時宗の聖(ひじり)の一団が念仏を唱えながら歩いてきた。内管領 長崎家の武士達が、止めるが無視しされたので、僧と尼を斬り捨ててしまう。
見かねた高氏は武士達に、かかっていく。様子を見ていた山伏が応援に入り、乱闘になる。
円喜の先触れがやってきて、足利の若殿であることを認め、武士達を引き上げさせる。

高氏は海岸で、山伏に傷の手当をしてもらい、少年の日に見た、腐った「木切れ」のご神体の話をして、「鎌倉は腐りきっている」と嘆く。山伏は京へ行くよう勧め、「醍醐寺の源海」という名前を記し、機会があったらこの者を訪ねるようにと言い残して去っていく。
一色右馬介は「あの顔は…」と気づいて密かにその跡を付ける。
山伏は、日野俊基(榎木孝明)で、密かに新田義貞(萩原健一)と面会していた。

貞氏の怒りを買い、高氏鎌倉を出ることに

高氏が屋敷に帰ると、長崎家の武士達との乱闘が伝わっており、清子(藤村志保)は貞氏がいたく怒っていると伝える。
高氏が貞氏(緒形拳)のところへ行くと、手紙を書いている最中だった。
高氏は乱闘の原因は、長崎家の武士達にあり、長崎にへつらってまで鎌倉にはいたくない、と貞氏に言う。
貞氏は「鎌倉を出て行け!」と言い、書いていた手紙を、京の上杉氏に届けるよう命じる。
貞氏の強硬姿勢に、妻の清子、直義らはうろたえるばかりだった。
高氏は、登子から借りた古今六帖に目を通している。
直義は高氏に「兄上は戦下手、攻める時は攻める、引く時は引く。いくさには仕掛け時というものがござるのじゃ」と父に謝るよう勧める。
高氏はむしろ、鎌倉を出てみたいと考え始めていた。

貞氏は長崎円喜(フランキー堺)に会い息子の不始末を詫び、館から出したと伝える。「そこまでなさらずとも」と言う円喜だったが、貞氏が去ると「足利の稲穂はなかなか刈り取れぬわ…」。
貞氏は侍所を出た時に「これでよい…」とつぶやくのだった。

高氏 京に向かい 花夜叉一座に出会う

高氏は足利家が伊勢神宮から預かっている、荘園の貢ぎ物を上納する一行に加わる形で、鎌倉を離れた。鎌倉を右馬介とともに旅立った高氏は、伊勢の後京へと向かうことを母に言ってあった。
途中、ある神社で花夜叉(樋口可南子)の一座が人々に芸を見せていた。
成長したましらの石(柳葉敏郎)が、武士が矢を放つと同時に全速力で走り、飛ぶ矢を追い、つかみとっては金を取っていた。
見ていた高氏に、石は「二つ引両」の家紋を目に止め、弓と矢を押し付け、さきほどの武士と同じ勝負をするよう求める。
高氏は弓矢を受け取ると矢を放ち、石は全速力で駆け出したものの一歩及ばなかっ た。
石は、もう一度勝負しようと呼びかけるが、応じないので、高氏に弓を向け放つ。
右馬介が駆けつけ、追い払われる。

石が一座に戻り小屋に入ると、藤夜叉(宮沢りえ)が風邪で眠っていた。目を覚ました藤夜叉は、子供のころ石と出会った日の夢をみたと語る。
石は「兄妹になるとはつまらん約束をしたものだ」とつぶやく。
足利の紋を見ると、親の仇とつっかかる石を心配する藤夜叉だった。

元亨4(1324)年9月、高氏は初めて京に入った。みやびな賑わいに、高氏は目を見張るのだった。
日野俊基の言葉を思い出していた。
「地に花を咲かせ、日を登らせ給うものを見たければ京の都へ」
「目には見えませぬが美しいものが、咲き始めております」

▽まとめ&感想

高氏は赤橋登子と古今六帖について語り合う。
高氏 時宗の聖の一団を助け 長崎家の家臣に切りつけ 日野俊基に会う。
貞氏の怒りを買い、高氏鎌倉を出ることに。
高氏 京に向かい 途中、花夜叉一座に出会い、雅な賑わいの京についた。