太平記 13話 「攻防赤坂城」▽あらすじメモ 尊氏 北畠親子に会い 死闘も 正成 伊賀へ

高氏は都で北畠親房・顕家親子に会い先帝の命を守る約束

幕府軍の次の標的は赤坂城の楠木正成(武田鉄矢)だった。
正成は、長期戦を覚悟していた。一時の勝敗は問題とせず、最終的に負けなければ良しとするのが彼の戦略だった。赤坂城は、切り立った山の斜面を削って平にし、周囲に木の柵や土塁をめぐらした程度だった。
騎馬戦を得意とする幕府軍と、平地で戦えば勝ち目はない。対抗できる山岳ゲリラ戦術だった。

笠置は落城したが、叛乱の炎は諸国に飛び火していた。

足利高氏(真田広之)は都へ兵を引き上げた。
捕らえられた後醍醐天皇(片岡孝夫)も都へ送られて六波羅に幽閉されることになった。都は帝の奪還計画や、幕府軍の暗殺計画など噂され、騒然としている。
六波羅では先帝の後醍醐帝の処置を急ごうという意見も出るが、まずは河内・赤坂城に立て籠もる楠木正成(武田鉄矢)を一気につぶすこととした。

高氏たちは叔父の上杉憲房(藤木悠)邸に滞在していた。北畠顕家(後藤久美子)と名乗る少年公家が一人で訪ねてきて、高氏に面会を求めていた。
憲房は、顕家が後醍醐帝の側近中の側近・北畠親房(近藤正臣)の息子であり、「鎌倉方を敵と公言する方、用心めされませ」と言う。

高氏がみると、庭で大高たち家臣が弓を手に騒いでいる。何事かと高師直に 聞くと、顕家が彼らの弓を見て、あざ笑ったので、腕比べをすることになったのだという。松の枝に糸 でつるした一本の針が的で、大高が三度外した後、顕家が静かに目を閉じ、矢を放ち見事に針を射落とし、大高たちは驚く。

部屋に通して、高氏が顕家に「よく針が見えましたの」と言うと、「見てはおりません」との返事。「どうして矢を当てられるのか」との問われ「お教えすれば父に会っていただけますか」と言う。顕家は父の親房に命じられて高氏を呼び出しに来ていたのだ。師直が改めてと問うと、「神仏のご加護で」と顕家は答えた。

直義(高嶋政伸)は「兄上を、なぜ外に出した。北畠は、笠置派の公卿。幕府に知れたらなんとする」と師直に詰め寄る。しかし師直は「殿が大事ないと仰せられて、執事のそれがし…」と言い訳。「殿は足利家の惣領。いちいち弟君のお許しをいただかねばならぬ、いわれはございませぬ」と師直。その言葉に血が上る直義だったが、師直は早々に立ち去ってしまう。

 高氏顕家に案内されて北畠親房の屋敷に入ると、中から佐々木道誉の笑い声が聞こえてきた。道誉は親房を「自分が茶や花を教えた都いちのお弟子」と紹介するが、親房は「うるさき判官よ、とく帰れ」と追い払う。
親房は「どうにも分からん男じゃ、朝廷に同心すると申しては鎌倉に浸りきり、鎌倉方かと思えば、こうして何の前触れも無しにこちらの顔色を見に来る。およそ節操がない」と。(テーブルとイスの、素敵な親房の屋敷でした。)
 高氏顕家のことを「不思議なお方でござりまするな」と言うと、親房も「帝もそう申され、おそばに久しく置かれたことがある」と語る。それから親房は本題に入った。後醍醐天皇を暗殺しようとする動きが、幕府内にあると聞いた。そして「足利殿のお力でのお命、お守りいただけまいか」と 。高氏が「なぜそれがしに?」と問うと親房は笠置の戦いで、足利軍が戦うそぶりをみせなかったからだ、と答えた。
高氏は 他意は無いと言いつつ、仮に暗殺などということがないよう、指触れさせないと約束する。親房は「かたじけない!」と頭を下げるのだった。

高氏が出てくると、道誉は「日野俊基の次は北畠親房か?どうも御辺は怪しい」と声をかけてくる。北畠と何を話したと、しつこく道誉が聞くが、高氏は答えない。道誉高氏に「このわしと戦うことになるかもしれんぞ」と忠告する。

赤坂城で死闘 五百の楠木勢が善戦

10月半ば、2万を超える幕府軍、京から大軍は四隊に分かれ、赤坂城目指して向かった。
高氏は伊賀の反乱軍を押さえ、赤坂城を目指す第四軍を率いることになった。出陣に当たって高氏直義に都に残って、鎌倉の処断が出るまでは、ゆゆしきお方だった、後醍醐帝を守れと頼んだ。直義は不満げであった。
 
そのころ、楠木正成の立て籠もる河内の赤坂城では、わずか五百の楠木勢が死闘を繰り広げていた。険しい崖を登ってくる幕府軍に向けて、丸太や大石を転がし、混乱している敵に矢の雨を降らせる。それでも近づいてくる兵がいると石(柳葉敏郎)も加わり、鍋で沸かした熱湯を頭から浴びせかける。敵をひるませたとみると、正季(赤井英和)率いる部隊が、城門から出撃して敵に直接攻撃をかける。このようなゲ リラ戦を展開してわずか五百の楠木勢が、一ヶ月も幕府の大軍を相手に善戦を続けていた。

石から藤夜叉に文、柳斎へ伝え、花夜叉に兄・正成の助命された

赤坂城に入って戦うは、戦いの様子を文で伊賀の藤夜叉(宮沢りえ)に伝えていた。その文を訪ねてきた柳斎(大地康雄)に教えてた。
赤坂城には秘密の抜け穴があって、伊賀などと人の出入りがあったので文が届いた。
柳斎が石は誰に字を教わったのだと聞くと、「花夜叉さまよ」と外から、人形遣いの木斎だった。
花夜叉(樋口可南子)が一座来ていた。藤夜叉は戦遊びに熱中している子の不知哉丸(いざやまる)に一座の皆へ挨拶させる。藤夜叉は柳斎を花夜叉に紹介し、礼を述べる。
花夜叉は藤夜叉に赤坂城が落ちるのも間近、抜け穴もふさがれてしまい、城の者は皆殺しだ、石に字を教えた甲斐がない 柳斎殿。そして「藤夜叉、石を助けたいか?ならば柳斎どのに頼むがよい」と言い出す。柳斎を通して、伊賀から、攻める高氏に頼むのだと。ここを通る高氏に。柳斎殿は道案内役だ。

柳斎は飛び出して逃げようとするが、花夜叉一座の者に取り囲まれてしまう。観念して座り込んだ柳斎に、花夜叉が頭を下げ「足利家の忍び、一色右馬介どの。ようやく見参かないました」と挨拶する。そして、無礼を謝り、「楠木一族をお助け願えませんでしょうか。…… 足利殿にお見逃し願いたい。楠木正成は今お助けいただければ、いずれ必ず足利殿のお力になります」と右馬介に頼み込む。
「おもとは一体何者じゃ?」と問うと、花夜叉は答える。「楠木正成の妹でござります。名を卯木(うつぎ)と申します」

赤坂城落城・正成と石は伊賀に向かう

落城迫る赤坂城では護良親王らが落ち延びていた。すでに矢も尽き、食糧も尽き兵は3日も食べていない。
正成が「これまでよう戦うた。…落ちたい者は落ちてくれ。別れてもとどまっても、ここまで信じ合うた者同士、二心とは思わん。どこへでも落ちてくれい」と呼びかけると、兵士達はすすり泣く。
正成は正季に、ここに大穴を掘り、これまでの屍を埋めて弔ってやるように命じる。
「風が強うなってきた。これは有り難い。天の助けじゃ!」と正成は叫ぶ。
は命じられて、油を城中の建物にまき、火を放った。幕府軍が押し寄せ、ついに城の中へ突入してくる。

変装した正成が「わしはこれから伊賀まで突っ走る!敵にはここでわしが死んだように見せる。逃げるぞ」と 言う。正季正成を伊賀まで案内を頼み、床板を上げて床下へ石と正成を入らせる。床下を這うように進み、隙を見て城から脱出する。

10月21日、ついに赤坂城は炎上。楠軍が敗れ去った。一月余りの戦であった。正成は死んだ兵士達の冥福を祈るように手を合わせていた。

翌朝、高氏は兵を率いて伊賀にさしかかっていた。
高氏が近づいてくることに藤夜叉は思いを募らせていた。

▽まとめ&感想

高氏は都で北畠親房・顕家親子、に会い先帝の命を守る約束。
赤坂城で死闘 五百の山岳ゲリラ戦術の楠木勢が善戦。
石から藤夜叉に文が届き、柳斎へ伝えた。花夜叉一座が現れ、兄・正成の助命された。
赤坂城落城・正成と石は伊賀に向かう。

ゴクミの北畠顕家はかわいらしく、少年に見えました。
北畠親房の公家、この間光秀だった近藤正臣で、不思議な感じです。
赤坂城での昔の戦い、崖を登る兵士、落ちてくる石、材木。大変な撮影だったでしょうね。
楠正成はすぐに命を捨てない。 逃げる決断もしっかりで、これからも期待しています。