NHK 10 Years After 未来への分岐点/感想

2020年1月1日(水) 午後9時00分~10時15分

これからの10年が人類の未来を決める”いま、世界の様々な分野の研究者が口をそろえる。地球温暖化食糧や水の問題、そしてAIや生命工学など進化し続けるテクノロジー…。こうした難題に、これからの10年どう向き合っていくのか。それが人類にとって、大きな“分岐点”になるというのだ。もしも対応を誤れば、世界は後戻りできない“ディストピア”となってしまうかもしれない…。番組は、深刻化し始めている問題の最前線をルポするとともに、最先端のコンピューターグラフィックスで未来の姿を映像化する。番組MCは、武田真一アナウンサーと、いま注目の若手俳優・淸原果耶さん。豪華ゲストとともに、世界の“知の巨人”たちや、未来を切り開こうと奮闘する若者たちの言葉にも耳を傾ける。そして、次の世代に確かな未来をつないでいくためにわたしたちに何ができるのか、考えていく。

出典 NHK SP 10 Years After 未来への分岐点

【司会】武田真一,清原果耶【ゲスト】毛利衛,土田晃之,スプツニ子!,南谷真鈴,谷口怜央

2030年に分岐点を迎える 温暖化・人口爆発・食糧水不足・ テクノロジー
国連・アントニオグテーレス事務総長は、「2020年からの10年は、行動と変革の時代にしなければならない」といいます。

重要視しているのが気候変動

現在、地球の平均気温は人類が出した二酸化炭素などの温室効果ガスによって産業革命前から既に1℃上昇。
2030年に地球の平均気温が+1.5℃を超えてしまうかどうかで人類の未来が大きく変わってくる。

日本の面積の40倍地上の氷の9割を占める南極
これまで南極の氷は大規模に解けることがないとされていた。
陸から海にせり出した棚氷と呼ばれる氷の塊。
棚氷の下の海水が氷が解ける温度まで上昇。
棚氷が下から解かされることで、内陸の氷も次々と流れ出し、融解が一気に進んでしまう可能性がある。

世界中の人々の暮らしに深刻な影響を与え始めている。
国土の半分が海抜7m以下にあるバングラデシュは、サイクロンに襲われる度に、高潮の被害を受け海岸が削り取られている。
クトゥプディア島はおよそ50年間で大幅に面積が縮小。
人が住める場所が年々狭まっている。
国連は温暖化が想定を上回るスピードで進んでいると警告。
+1.5℃の分岐点に早ければ2030年にも達する勢い。
気候変動研究の世界的権威ヨハンロックストローム博士は2018年、「ホットハウスアース理論」という衝撃の研究を発表。
平均気温が+1.5℃に達したあと更に上昇すると、いつ温暖化が暴走し始めるのか分からなくなるという。
暴走のシナリオ
北極をを覆う氷が大量に融け始める。
太陽光を反射して、気温の上昇を防ぐ機能が、急速に低下。
海水が太陽に熱せられ、温暖化が加速。
その影響は、アマゾン
2酸化炭素を吸収していた熱帯雨林では、高温や乾燥によって、立ち枯れや火災が頻発
大部分が荒れた高原に、さらに温暖化が進む。
シベリアやアラスカでは、永久凍土が溶け、地下に蓄えられていた、メタンガスが爆発。
2酸化炭素 の25倍の温室効果を持つメタンガスが大量に放出される。
連鎖的に発生することで、今世紀末に平均気温が4°C以上上昇、灼熱地球

灼熱地球と化した日本はどうなるのか?

京都大学防災研究所・森信人教授は、これまで100年に一度と言われていた災害が毎年のように起きると警告する。
その要因の一つが海面上昇
地球上の氷が大量に解けることで今世紀末に1m以上上昇するといわれている。
強力な台風が高潮5mに達し、堤防が決壊し、今まで以上の浸水被害が発生。
スカイツリー付近は3m近い浸水、東京オリンピックパラリンピック会場も水没、都市機能は麻痺。

+1.5℃という分岐点を超えないために 2030年までに何をすればいいのか。

国立環境研究所・江守さんの解説。
+1.5℃という分岐点を超えないために2030年までに何をすればいいのか。
2050年には世界のCO2排出量を正味ゼロにする必要がある。
そのためには2030年には半分にしなければならない。
そのためには今年2020年には、まずCO2が減り始めなくてはならない。
国連が真っ先に取り組むべきものとして挙げているのが、石炭火力発電所の新設の中止
資源が乏しい日本はエネルギー政策上、必要としているが、二酸化炭素を大量に排出するとして国際社会から非難されている。
そして今年11月に開かれる国連の会議COP26で、温室効果ガス削減の目標を2050年ゼロにまで引き上げること。
日本もそれに合意できるか問われてくる。
更に風力や太陽光など再生可能エネルギーの拡大や、製造時に二酸化炭素を発生させる、プラスチックの削減。
そしてそれらを可能にするイノベーション。
その上で最も必要なことは常識の変化。

これまで、国家間の枠組みではなかなか進まなかった対策が、個人や民間組織が動くことで国際社会を大きく動かすという新たなステージに入っている。
海の上で温暖化対策に取り組む若者がいる。 オランダ人のボイヤンスラット、25歳。
世界中で急増している海のプラスチックごみは、生態系に大きなダメージを与えるだけでなく、海に漂い劣化していく間にも強い温室効果ガスを発生させる。

ボイヤンがこの活動を始めたのは、高校生の時のギリシャへの家族旅行がきっかけ。
「魚よりもプラスチックゴミの数のほうが多くて」愕然とした。
以来、ボイヤンは友人とごみの回収方法を研究しながらNPOを設立。
17歳の時、そのアイデアを、世界規模のプレゼンテーションの場で訴えかけた。
一見無謀とも言える計画に、1000万円を超える寄付が寄せられる。
更に世界各地から専門的な知識を持つ人が、「自分にもできることがある」と協力を申し出てきた。
メンバーは試行錯誤を重ねながら、ごみを回収する専用のシステムを開発。
企業などからも寄付が集まり、その資金は実に44億円を超えるまでになった。
世界で最も大量の、プラスチックごみが漂う、太平洋の海域。
独自に開発した巨大なパイプを使って、去年ついに世界で初めて、プラスチックの大量回収に道筋をつけた。

自分が変わらなければ未来は変えられない。

そうした変化はビジネスの世界でも起きている。
今、注目を集めているのが、再生可能エネルギー100%のビジネスを目指す、RE100という取り組み。
世界で221社、日本でも30社が参加。
RE100を宣言した企業の一つ流通最大手のイオン
グループで消費する電力は日本の電力量の1%。
原発1基分にも相当するばく大な量を全て再エネに替えることを目指している。
実はイオンも近年の異常気象による災害で大きな被害を受けた。
温暖化対策を経営の大きな課題と位置づけている。
イオンでは店舗の屋上や壁に、太陽光パネルを敷き詰めたり、家庭で発電された電気を、買い取ったりするなど再エネをかき集めている。

持続可能な開発目標(SDGs)

この先、どういう社会を実現していくのか地球レベルで考え、世界中の国々で合意したもの。
いわば「21世紀の国際社会の憲法」ともいわれている。
気候変動を食い止めるという目標など、10年後の2030年までに、達成すべき17の目標が掲げられている。

SDGsでは、2030年までに世界中に安全な水を行き渡らせるということを目指している。
なぜ国連は水不足と格差の解消を急ぐのか。
この問題を放置すると人口が急増する10年後、各地で紛争が多発すると考えられているから。
その危機が迫っているのがアフリカ南部。
今、この地域では人口の4割、4億人以上が安全な水を得ることができていない。
南アフリカの経済都市ケープタウンでは、水を巡る格差が広がっている。
富裕層が暮らす高級住宅街のすぐ横では、バラックが立ち並ぶスラム街が急拡大。
そこに暮らす人々は常に水不足に苦しんでいる。

更に水を巡る格差を深刻にしているのが経済のグローバル化。
南アフリカの主要産業の一つワイン。
この老舗メーカーでは年間50万リットルを生産し、4割を海外へ輸出。
ワインの生産に必要な水を確保するためいくつもため池をつくっている。
実はワインを造るのには大量の水が必要。
遠いアフリカの水を巡る格差に、世界全体が関わっている

更に水を巡る格差は、国と国との間でも広がっている。
南アフリカの隣国、最貧国のモザンビークでは、安全な水どころか農業用水すら欠乏し、深刻な食糧危機にも陥り始めている。
今、国連の機関はモザンビークで、水や食料の支援をしている。
支援対象者は急増し、250万人に上っている。
モザンビークの人々は今、次々と隣国南アフリカに移り住み始めている。
そして、 南アフリカの人と移民との間で憎悪が拡大し、 暴動や殺人事件が相次ぐ事態に。
世界の人口が85億人に達する2030年までに格差を解消しなければ、国際社会は深刻なダメージを受ける。
こうした状況は米国とメキシコの国境やインドとパキスタンの国境でも起きている。
ただ、2030年の世界の人口に対して、淡水の全部の量は足りている計算。
つまり偏っていることが問題。

バーチャルウォーターという考え方

コーヒー1杯 の為に風呂1杯の水(約200リットル)が必要
牛肉1kg の為に 風呂103杯分の水が必要
日々の生活が、関わっている。
紙の生産には多くの水が必要。水をあまり使わない方法を開発した人がいる。
「100の診療所より用水路」
アフガニスタンで銃撃されて亡くなった中村哲さんが医療から灌漑(かんがい)・農業支援へと活動を広げた。

新たなテクノロジー、人間の脅威に

2018 国連軍縮アジェンダの「私たちの共通の未来を守る」
AI人工知能 は急速に発展、自動運転、物流、医療の現場などで、幅広く浸透。生活を変えてきている。
2030年に大国が AI兵器の実戦配備を打ち出している。
ロシアの軍需企業が開発した最新のAI兵器、通称カミカゼドローン。
AIを搭載したドローンが自動で敵を識別。
人間の判断を介さず自律的に自爆攻撃を仕掛ける。
10年後の2030年、米国は有人機とAIを搭載した無人機による新たな航空部隊の展開を発表。
中国は同じく2030年にAIの軍事利用と民間利用双方で世界の頂点に立つと宣言した。

世界の軍関係者は、AI兵器は戦いの効率を上げ戦闘によるリスクを減らせるとしている。
去年、米国で開かれた兵器の展示会で、ある戦闘車両が注目を集めた。
車両に搭載された45台のセンサーやカメラによってAIが周囲をくまなく識別。
これまでばく大な犠牲者を出してきた地上戦も担えると関係者は自負。

しかし人間がAIに敵の情報を学習させたあと、どのように攻撃対象を決めるのかは誰にも分からない。
その危うさを突きつけたのが米国・国家安全保障局から流出したとされる「キルリスト」と呼ばれる機密ファイル。
携帯電話の通話記録や位置情報の解析からAIがテロ組織とつながりがあると判断した人物を抽出。
このリストを米国が攻撃に利用した疑いがもたれている。
被害にあったと主張するシリア国内で活動する米国国籍のジャーナリスト・ビラルカリームは、取材行為が原因でキルリストに載せられたと主張し米国政府を相手に裁判を起こしている。
米国政府はキルリストの存在を認めず、去年9月、裁判所は国家機密の保護を理由にカリームらの訴えを棄却。
ジャーナリストをキルリスト に加えられる恐れ、
開発の為の熟議がない。軍事という機密性の高いものなのでそのままになっている。
AIに情報を学習させた為、 AIによる差別の危険性がある。
人類の害になるようなものは、早いうちから外していくことが重要。

遺伝子操作


2030年に分岐点を迎えるもう一つのテクノロジーが、生命の設計図を自在に操る遺伝子操作の技術。
2018年、中国の科学者がネット上に公開した映像が世界に衝撃を与えた。
受精卵の遺伝情報ゲノムをエイズウイルスに感染しないよう書き換え
双子を誕生させた。
ヒトへの遺伝子操作は倫理的に許されるのか。
この科学者が出席した国際会議では参加者から厳しい意見が投げかけられた。
生命の設計図であるゲノム。
今、その解析技術が急速に進化。
ヒト1人分およそ30億ものゲノムの解析は僅か1日で可能になった。
解析のコストは2030年には限りなくゼロに近づくといわれている。
10年後、あらゆる生命のデータが誰でも手軽に手に入るようになる。

ある生物を人工的に作り上げる 酵母2.0 を完成させた。
A.T.G.Cの分子を自由に配列し、人工的にゲノムを作り出した。
私のチームは生殖に関することは、行わないと決めている。
人間を簡単に作られてしまう。
研究者だけの倫理に任せずに、市民の常識に合っているか、情報交換の場が必要

まとめ&感想

2030年に分岐点を迎える 温暖化・人口爆発・食糧水不足・ テクノロジー 。
持続可能な開発目標(SDGs)、バーチャルウォーターの考え、新たなテクノロジーが、人間の脅威に(AI兵器・遺伝子操作)がありました。
自分が変わらなければ未来は変えられない。
地球温暖化は、よく耳にします。
バーチャルウォーターの問題、なにげに、格安と海外産を購入していました。
大事な水を、摂取してしまっていました。
AI兵器の問題、反応が早いので、いつ知らないうちに、起きてもおかしくありませんね。
首都圏大地震でもありましたが、知らないでいては、いけませんね。

リンク:気候クライシス~IPCC /感想