あしたも晴れ!人生レシピ★どうする?脂肪対策 カギは筋肉▽こんな話

Eテレ 2023.4.14
50代女性 BMIが普通でも 体脂肪率が高く 筋肉が少ない人が増えている。中高年になって 脂肪がつきやすくなるのは基礎代謝の低下と運動不足。日常生活の中で活動量を上げる 週23メッツ時以上行う。筋トレ 運動習慣をつけよう。高たんぱく低脂質 レシピ

【ゲスト】黒沢かず子 【講師】 順天堂大学大学院 医学研究科 田村好史 准教授
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

50代女性 BMIが普通でも 体脂肪率が高く 筋肉が少ない人が増えている

都内に暮らす 渡邊晃子さん(50歳)。数年ほど前から脂肪のつき方が気になるようになったといいます。20代のころは161cm 51kgで スポーツもしていてスリムな体形でしたが、今は およそ10キロほど増えて61キロ。50代女性の平均は156.9cm 55.2kgなので 特別太っているわけではありません。
(渡邊)お腹周りが やはりどうしても この時期はゆったりした服を着るので、自分ではごまかしてるつもりでも 子供達には ごまかせてないといわれる。脂肪が下の方につくので腰回りに しぶとい肉がつく。若い時よく はいていたジーンズ 太ももまでは 入りますが… 絶対無理でした。
渡邊さんは 学習塾に勤めていますが、リモートワークが増え 座ったまま過ごすことが多くなり、体を動かすのは 職場に行く時 片道15分 自転車に乗ることぐらいだそう。
一方 食生活は バランスよいメニューを心がけていいますが お米が大好物ついつい食べすぎてしまいます。体力面でも以前と比べて 階段の上り下りの時に わりとすぐ息切れしたりとか。
以前のような体重に戻したいという気持ちはあるのですが、徐々に進行して止められない感じです。体形の変化や体力の低下にどうすればよいのでしょうか?

文京区の順天堂大学のスポートロジーセンター(運動習慣と生活習慣病などの研究)で 糖尿病や運動療法などが専門の田村好史さんです。
まず 体組成(筋肉や脂肪の量)を調べます。体に微弱な電流を流すことでその割合を測ることができる。
続いて MRI検査。磁石と電磁波を利用し 筋肉や内臓 脂肪のつき方などが分かります。
BMIとは体重と身長から算出される肥満度を表す指標。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。22.7で 日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」で、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。体脂肪率は 32.6 でした。体格は標準的ですけど 中身は脂肪がちょっと多い。つまり体形的には太っていないのに脂肪の割合が多く、筋肉量が少ない。
渡邊さんは階段の上り下りや 疲れが残るなど 体力の衰えを感じています。
ロコモティブシンドローム(足腰の衰え)の度合いをチェック
立ち上がりテスト 40cm片足
座った状態から片足で立ち上がれるか 台を徐々に低くしながらテストします。まずは一番高い 40センチに挑戦。片足で40センチの台から立ち上がれないと ロコモと判定されます。
渡邊さんどうにか立ち上がることができ 危機感を持ったようです。練習というか 鍛えてできるようになるのが目標ですね。
さらに MRI検査の輪切りの写真、 背中の赤い部分は いわゆる つまめる 皮下脂肪で 主に皮膚のすぐ下にある皮下組織に蓄積で悪さはしません。渡邊さんは やや多めだということでした。
おなかまわりを中心に胃や腸を覆う膜についた脂肪が 内臓脂肪で、増えるとメタボリックシンドロームになり生活習慣病のリスクが高まる。食事などから摂取した栄養(糖や脂質)が消費できずに余ってしまうと、それらは脂肪となって蓄積されます。
渡邊さんも気になっていたおなかまわりの肉 増えないように注意が必要です。ちょうど50歳代ホルモンバランスが変わって来る時期です。

中高年になって 脂肪がつきやすくなるのは基礎代謝の低下と運動不足

(黒沢)標準体形なのに。実際 見たらあんなん なってるんですね。
(田村)脂肪は すごい悪いものというようなイメージがありますが そもそもはエネルギーを体に蓄えるために絶対必要なもので、例えば昔でいうと 1週間とか2週間食べれなくても 脂肪があるおかげで生きながらえることができます。
・皮下脂肪触ってつまめるところは全部皮下脂肪です。お尻から おなかの辺りにホルモンバランスの影響で女性は結構つきやすいです。
・内蔵脂肪は つまめない内臓の周りにあるもので だんだんたまってくると いよいよ悪さをするフェーズになってきます。そうすると全身に脂肪が漏れ出て 肝臓とか筋肉にどんどん流れ込んでいく。そうすると脂肪肝・脂肪筋になって、メタボリックシンドロームという状態に。
中高年になって 脂肪がつきやすくなるのは、1つは基礎代謝の問題です。基礎代謝 一番高い時期というのは大体 10代の中ぐらいで 50過ぎるとぐっと下がってくる。つまり今までと同じように食べてたら 普通に体重は増えていく。
もう一つは やっぱり年取ってくるとあんまり動かなくなってくる。一日で大体1万歩ぐらい歩くと300~400キロカロリーぐらい消費するが 3,000歩ぐらいになると本当に毎日毎日 おにぎり1個分ぐらいカロリーが たまっていくような計算になり 当然太っていくだろうと。
気になったのが渡邊さんの体脂肪率の高さなんですけれども。
見た目は普通なんだけども脂肪が多いプラス筋肉が少ない
筋肉は いろんなものを代謝して燃やすような臓器で、細いと血糖値が上がりやすくなったり 糖尿病になったり メタボリックシンドロームになったりとか いろんな問題を引き起こしてきます。
研究によれば 糖尿病になるリスクは肥満の人だけではなく やせた人も高いことが分かりました。筋肉には ブドウ糖を貯蔵する働きがあり、少ないと食事をしたあと ブドウ糖をしっかり取り込めず 血中の糖度が上がると考えられる。
研究によれば 筋肉と脂肪のバランスが悪くなり おなかが出ていて 脚がすごい細い方とか たまにいらっしゃる。そういうのを今 サルコペニア肥満と呼び始めています。

日常生活の中で活動量を上げる 週23メッツ時以上行う

肥満の人は 実は筋肉太いはずなのに 細いというのはすごいバランスが悪い。そういう方は将来ひざの関節に負担がかかって 変形性膝しつ関節症になって、歩いてると ちょっと転び 骨を折ってしまうとか 介護のリスクが上がる。ダイエットばっかり頑張る方も多いと思うが、実際には結構 バランスが悪くなって むしろ健康を損なうような結果になることがある。
筋肉を維持する 鍛えるということが大事だということが分かりました。
渡邊さんがどのように活動すればいいのか運動指導を受けました。
指導をしてくれたのはスポートロジーセンター健康運動指導士 田端宏樹さん
厚生労働省が健康づくりのために取り入れている「メッツ」という単位。運動や ふだんの生活の動きの強度を数値で表したものです。
・安静時座っている… 1メッツ
・普通の速さで歩く… 3メッツ
・掃除機をかける … 3メッツ

・自転車… 3.5~6.5メッツ
・早歩き… 4.3~5.0メッツ
・子供と1しょに歩く…5.8メッツ
・農作業 … 7.8メッツ
・階段を速く上がる …8.8メッツ

動きの種類や強度によって数値が設定されています。これに行った時間をかけた値「メッツ時」が活動量になります。ガイドラインによると強度3メッツ以上の活動を 週に合計23メッツ時行うことが推奨されています。
渡邊さんの日常の活動を数値化してみると、料理や洗濯など3メッツ未満の活動は強度が高い活動とは見なされません。対象となったのは 自転車と掃除機。1週間分 計算すると活動量は12.31メッツ
ガイドラインの半分ほどでした。
そこで田端さんが提案するのが日常生活の中で活動量を上げていくこと。渡邊さんが行っている活動に 強度を加えたり時間を長くしようというもの。まず自転車通勤を週に一度、徒歩に変え 図書館や買い物などの移動も徒歩にすることで メッツ時を増やすプランに。

筋トレ 運動習慣をつけよう

大切なのが筋トレ。筋肉の量を増やせば代謝も上がるといいますまずは
インナーマッスルを鍛えるトレーニング
・仰向けになり 膝を90度になるよう曲げる。背中の少し隙間がある部分に息をふ〜っと吐く。だんだん背中を押してください。おなかを真下に引っ込め 呼吸をしながら10秒キープ
・もう少し強度の高い腹筋運動。インナーマッスルを意識して 手を太ももからひざまでスライド。手で逆のひざを触るようにひねりを加えると 腹斜筋を鍛えることにもなります。
■足腰の筋肉を鍛えるトレーニング
立ったままインナーマッスルを意識し他の筋群をエクササイズします。
軽い負荷のスクワットから。足を肩幅に開き 手をももからひざまでスライド。この時も ドローインと同じく、インナーマッスルを意識して 腰を落とすときは お尻を引くように ひざがつま先から出ないように。
※注意事項大事なポイントとしてひざとつま先のこの向きがですね 同じになるように ドローインを意識しながら10回を目標に頑張りましょう。
体を支える下半身には 大きな筋肉があるので 筋力アップには効果的です。
・さらに強い負荷のスクワットが「ランジ」。椅子に手をつき 片足を引き 前のひざを90度まで曲げ ゆっくり戻す。前足の太ももが床と平行になるように ひざがつま先よりでないように。
— 股関節や膝の曲げ伸ばしを行なう筋トレ「ランジ」。スクワット同様、下半身にある複数の筋肉を同時に鍛えることができます。

(黒沢)私みたいに脂肪がついてる方 ひざの負担とか腰の負担かかるんじゃないですか?
(田村)やっぱり人に合わせて負荷量というのをコントロールする必要がある。スクワットも 腰の落とす深結構 コントロールする必要がある。腹筋とかも 勢いでやると腰 痛めたりするので。勢いじゃなくて ゆっくり。へそをのぞき込むぐらいでやるのでも 結構 おなかプルプルと来ると思います。腹筋 勢いでやるとやっぱり腰 痛めたりするので。50歳ぐらいから筋肉ってだんだん落ち始めて高齢者になると1歳で大体1%ぐらいずつ筋肉量 落ちていくということが 知られている。
筋肉を太くするというよりは毎日の積み重ねで落ちないようにするというのが すごい大事になってきます。

散歩は ブラブラ歩くだけよりも、インターバルを挟んだ早歩き、 ゆっくりした歩きと早歩きを数分ずつ交互に行うと効果的
松本大学の根本賢一教授らの研究によると この歩き方をしたグループは 普通のウォーキングだけを行ったグループに比べて 4か月後太ももの筋肉のつき方が大きかったことが分かりました。

高たんぱく低脂質 レシピ

料理研究家で栄養士の牛尾理恵さん。筋トレと食事の管理に取り組みスパルタンレースと呼ばれる 過酷な障害物レースに出場できるほどの肉体の持ち主。
10キロのダンベルを両手にトレーニングも日々 行っています。10年前からこうしたトレーニングを行った結果 体重も落ち身体が引き締まってきました。その結果 疲れにくくなった、動くことが楽しくなった。

たんぱく質の一日の摂取基準は成人で50〜65グラム。たんぱく質は身体にためておけないので 3食に分けてとるのが大事です。
しかも 食品によって含まれる 必須アミノ酸が異なるので摂取するタンパク質は偏らずバランス良く
肉料理のポイントは脂質の少ない部位を選ぶこと。鶏肉なら むね肉ささみ。牛肉や豚肉ならヒレ肉もも肉が おすすめだそう。しかし脂質が少ないと肉を加熱した時に パサついてしまうもの。塩こうじの酵素の力で鶏肉をしっとりやわらかく仕上げていきます。ヨーグルトも同じ働きをします。

塩こうじトマトチキン

■材料(2人分)
・鶏むね肉:1枚250g
・塩こうじ:大さじ4
・トマト(小さめ):1個
・にんにく:1かけ
・オリーブ油:小さじ2
・酒:大さじ1/2
■作り方
1)鶏むね肉は皮を取り除きトマトは1㎝角に切ります。
2)塩こうじを加え、揉んで30分ほど漬けておきます。
3)フライパンにオリーブ油とにんにくを入れて中火にかけ 漬けダレを軽くぬぐった鶏肉をしっかり焼きます。
4)焼き色がついたら裏返し、フタをして4分蒸し焼きにします。
5)漬けダレに酒を加えてひと煮立ちさせソースをつくる。

かつおステーキ サルサソース

魚はかつおやマグロのような赤身の脂質の少ないものがオススメです。脂質をおさえるためソースにドレッシングを使わず こしょうや唐辛子などの調味料で味にアクセントつける。
■材料(2人分)
・かつお:1節250g
・塩:少々
・こしょう:少々
・すりおろしにんにく:小さじ1/2
・オリーブ油:小さじ1
・トマト:1個
・紫玉ねぎ:1/8個
・ピーマン:1個
■作り方
1)トマト、紫玉ねぎ、ピーマンはみじん切り、レモン汁、ホットペッパーソース、塩、こしょうを加えて混ぜる。
2)かつおは塩、こしょう、にんにくをすり込む。
3)刺身でも食べられますが オリーブ油で、かつおの各面を軽く1分ずつ焼きます。
4)器に盛り付け、ソースをかければ完成です。

小松菜とツナのチャンプルー

メインの食材は木綿豆腐、ツナや卵を使うことでタンパク質がバランス良く取れます。
■材料(2人分)
・木綿豆腐:200g
・小松菜:150g
・ツナ缶(ノンオイル):1缶
・溶き卵:2個分
・ごま油:小さじ2
・塩:小さじ1/3
・こしょう:少々
・しょう油:小さじ1
■作り方
1)ごま油を熱し、水切りした豆腐をちぎって入れ、焼き色をつける。
2)小松菜とノンオイルのツナを加えて1分ほど炒め、豆腐を戻し入れる。
3)卵を回し入れて炒め合わせ、塩、こしょう、しょう油で味付けすれば完成です。
年を重ねると肉をたくさん食べられないとき 大豆製品や卵、乳製品は有効です。
主菜の肉や魚のボリュームが少なければ 副菜に大豆製品を持ってくる。

(田村)特に不足しがちな朝に どうやって食べるかというのも結構 大事なんですね。朝も何か 乳製品でもいいですし さっきみたいな肉とか魚でもいいですし。牛乳に溶かしたプロテインとかを飲んで頂くと 液体のものって結構 吸収が早いので 次の夜ごはん食べる時もちゃんと おなかがすいて食べれます。
実際に私 糖尿病の患者さんを拝見することが一番多いんですけれども どうしても間食して血糖値上がる方すごい多い。間食する時に必ず ほとんどの方が食べるのは炭水化物のせんべい・クッキーなど甘い物は血糖値上がりやすくて どうしても脂肪になってしまいます。 それであれば少し たんぱく源を食べるということも おすすめしています。
ちゃんとエネルギーを廻す。少なく食べて動かないのは一番不健康になりやすい。

▽まとめ&感想

60代の私も動かなければと思いながらも運動不足です。そしてついつい目についたものを食べてしまい コロコロしています。是非 ゆっくりした歩きと早歩きを交互に行いがんばってみます。