あしたも晴れ!人生レシピ「これから誰とどこで暮らす?」▽こんな話

Eテレ 2022.8.12
どこで暮らす: 誰と どんな暮らしをしたいのかよく考える。 2段階移住屋マルチワークも考慮する。
誰と暮らす:友達と一緒に生活、お互いの両親の介護まで意識。夫と別々に暮らして11年 楽しく暮らす女性
【ゲスト】財前直見【講師】NPO法人ふるさと回帰支援センター 嵩和雄
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄

どこで暮らす: 誰と どんな暮らしをしたいのかよく考える 2段階移住・マルチワーク

ゲスト 女優の財前直見さんです。
財前さんは 15年前に東京から 実家のある大分に移住され、NHK大分放送局の「おおいた暮らし彩彩」
という番組に ご出演なさっています。
大分県の北東部 杵築市、自然豊かな この場所が 財前さんのふるさとで ここで生まれました。
父・紘二さん 母・カツ子さん そして長男・凛太郎さんと4人暮らしです。
移住のきっかけは凛太郎さんが生まれたこと。自分が育った豊かな自然を 味わわせてあげたいと考えたからです。移住して15年 家族で管理する畑や山で野菜や作物を育てています。
畑の手入れは 父・紘二さんの日課。財前さんと2人で育てているんです。
山では原木から しいたけを栽培。たくさん取れるので食べるのも大変なんだそうです。
料理は 調理師免許を持つ母カツ子さんの担当です。
保存方法や考えたレシピ その数なんと 80種類以上。財前さんは イラストを添えて 記録に残していこうと考えています。かわいいイラストですね。
この日 取った しいたけはすぐに冷凍保存。 母・カツ子さんの知恵でかたくり粉を適当に入れる。
冷凍に入れるとスカスカになるのを 水で洗うだけで 元どおり普通の生しいたけのようになります。
(賀来)本当に すてき。 羨ましいですね。私は何か 大分でね のんびり ゆっくり ご両親とね ゆったりした時間をお過ごしかと思ったら こんなに…。
(財前)やること いっぱい ありますよ 草取りとか。もうほとんど 父がやってくれてるので 私は ちょっとした手伝いしかしないんですけど。
専門家 長年 地方移住の支援に携わり ご自身も地方移住の経験がある 嵩 和雄さんです。
(嵩)財前さんは いわゆるUターンという形で移住では一般的な形なんですね。基本的には自分が生まれ育った所ですので その地域のことを よく知ってるので 移住の相談とか支援も要らずに戻れる。
地方移住の相談件数はここ10年で増加傾向にあります。リーマンショックや災害また コロナ禍などで
都市部から離れる人が 増えているそうです。 2014年以降で地方創生が始まって 移住者を受け入れる自治体が 増えた。積極的に外から人を入れていくという意識になった自治体が多いので PRも当然しましたし 移住の窓口が でき移住相談しやすくなった。
圧倒的に多いのがIターンというその地域に ゆかりのない方が 知らないとこに移住する場合は やはり誰かに相談が必要になります
移住相談ができる窓口は かなり増えてますし インターネットでも 個々の自治体とオンラインで移住相談できるようになっています。
どんな暮らしをしたいのかという イメージを ちょっとずつ クリアにしていくほうが いいんじゃないかなと思います。ある程度 インフラが 整ってる所でないと しっかり暮らしていくのは 難しいんじゃないかなと思います。
(財前)やっぱり本当の田舎だと 本当に この家 ポツンみたいなことになってしまうので すごい寂しいと思う。だから だから例えば大分だったら大分市内とか 別府市内とか から始まって ちょっと田舎を探してみるほうがいいんじゃないかなって思いますけどね。
(嵩)やはり最近では 二段階移住あるいは ステップ移住という呼び方するんですけれど、一度 地方都市に住んでもらって そこから自分が ちゃんと暮らせるような 田舎を探していくというスタイルでも
いいんじゃないかなという気がします。
田舎暮らしで 生活コスト下がるのは住居費 だけです。それ以外 食費とかは そんなに下がらない。光熱水費 特に暖房代とか ガス代 プロパンガスも結構高い。そういったお金の話は 事前に シミュレーションしたほうがいいと思う。
田舎の場合はですね 結構 水路掃除とか 草刈りとか そういった行事かなりある ので そういった地域の決まり事を きちんと守れるかどうかが かなり重要なポイントだと思います。
どちらかというと 自分から飛び込んでいける性格の 人のほうが向いてると思います。
(財前)大分では温泉で毎日 顔を合わせる。そこでのおばちゃんたちと会話すると どんどん物々交換「うちで イモが取れたのよ」とか もらったら お返しする。そうやってコミュニケーション取っていく
という形もありますよね。
(嵩)やはり職場というのはそんなに多くはないけども、ただ 募集はしてないけれど 人間関係が できてくる中で 「この人だったら うちで雇いたい」という 声も よく聞きます。
やはり そういった まず コミュニケーション取りながら そこで雇ってもらうとか あると思います。
あと マルチワークで やはり一つの仕事では なかなか収入も得られないのでいくつかの仕事を掛け持ちして。例えば島根県なんかでは 半農半Xの支援をやってる、半分 農業をしながら 半Xの部分を 例えば酒蔵で杜氏をするとか 保育士をやるとか マルチワークをして収入を稼いでいく。
最初は賃貸から始めてほしいと思います。そこに自分が 定住できるかというのも まだ分からないですか 賃貸から入ってもらって そこで人間関係が でき もっと いい家があるよと。
(財前)地方で暮らす魅力、私は 朝 小鳥のさえずりが聞こえ、コーヒー飲みながら山見て「あ~ いいな」とか、夜は「あ~ 星が きれいだな」とか そういう自然に癒やされるっていうのは 私の中では
すごく合ってる。
(嵩)誰と どんな暮らしをしたいのか そのイメージをクリアにしていかないと 行ってこんなはずじゃなかったというふうになってしまいがちです。いろんな方に相談しながら 自分が 本当に そんな暮らしをしたいのか というところをしっかり考えてほしいなと思います。

誰と暮らす:友達と一緒に生活

21年間 友達と一緒に暮らしているという 女性2人。コンビのイラストレーター として活動する
ひよささんと うにささん。お顔は描いて頂きました。
2人は今 50代。 この家は2軒目。一緒に暮らし始めて 21年になります。今 暮らすのは2階建ての一軒家。家賃は 13万円で 部屋は4つ。 共有スペースは台所 居間 お風呂に洗面所など。それぞれ1階と2階に
個室があります。
コミックエッセーをはじめ 手拭いのデザインなども手がけています。
同居を始めた きっかけは 美術大学の学生時代に遡ります。地方出身で同級生の2人。もともとは うにささんが ひよささんの家で過ごすことが多くほぼ 居候状態に。
美大では制作のため 友人の部屋に 泊まり込むなど 行き来が多く 人が家にいるのに 抵抗感がなかったそうです。同居を持ちかけたのは うにささん。ひよささんは断り続けていましたが体調を崩し同居が スタート。
(ひよさ)家で倒れて 救急車を呼ばなきゃいけない時に すぐに救急車を呼んでくれて 実家にも連絡してくれるなど全部やってくれて 人がいる安心感を感じ 一緒に暮らしてもいいかなという引き金になった。
2人で暮らす中で 徐々に必要なルールが作られていきました。
お金専用口座を作り それぞれが同じ金額を貯金し、家賃や光熱費のほか 家電などの大きな買い物は ここから支払います。ちょっと今月は お金の余裕がないという時2万ずつ バックしようとかありました。日用品や食料品などは折半。それぞれ買ったものの総額を出し数か月に1回 精算。レシートの確認などは なし。互いに「言い値」で細かすぎない気楽さを優先しています。
冷蔵庫の中は共有で どちらが買ったかは関係なく 入っているものは勝手に食べてよし としています。物に名前を書いておくことも ありません。
最も大切にしているのは 対等にしなくてはと ルールを作らないこと。 無理せず よい関係で いられることが大切なのです。
この日は ひよささんが台所に立っています。台所が狭いこともあり 料理もそれぞれで することにしています。とはいえ夕飯は一緒が多いので 先に おなかがすいたほうが ついでに2人分 作ることが多いそうです。
友達同居の楽しさは1人暮らしなら 手を出さないものを思い切って買い 使って楽しめることです。
例えば大きなすり鉢ひよささんが 2人なら楽しんで 使えるだろうと購入したものです。
ちなみに作ったのは 大量のゆずこしょう 深夜まで作り続けたそうです。
また家族以外の人と 会いにくくなったコロナ禍 2人で暮らす安心も 改めて感じるようになりました。
うにささんの母・知子さんが 交通事故で入院した時は ひよささんに支えられたそうです。
50代になった今 互いの4人の親の介護も話題に上るようになりました。かつては持ち物の共有はしませんでした今は共有し 減らすことも。暮らしも緩やかに変化しています。
(財前)私も 息子がもうすぐ16歳なんですけど 18で成人になり もう手放すみたいなことになると
今まで息子がいたから頑張ってきたけど いざ 成長しちゃったら 今度 私1人になっちゃうなって
思った時に 仲のいい友達と一緒に住むとか 近所に住むでも いいんですけど 支え合える仲の人が いてくれたらなと思います。
誰かと一緒に暮らすコツが全て詰まってるような感じがしますね。
(財前)ルールって決めちゃうと 縛られちゃう 「しなければならない」ってなると 窮屈な思いをすると思うんで まあまあみたいなところで おさえとくのが いい関係が できるのかもしれないですよね。
全国のシェアハウス物件数の推移です。2013年には 2, 700件余りだったんですが 2020年はおよそ2倍
5, 000件を超えている。
こんなケースもあります。フリーライターの 藤谷さん 一人暮らしの不安から SNSで10年以上交流のあったオタク友達に声をかけ4人で同居を開始。物件を契約するまでお互いの本名を知らなかった。
住まいは5LDKの一軒家。共有スペースは「趣味部屋」としてグッズを置いてそれぞれの「推し」を楽しんでいるそうです。
楽しい時は いいんですけれども トラブルが起きたらちょっと大変そうですね?
住まいの在り方に詳しい 日本女子大学の篠原聡子学長に伺いました。
金銭面生活費の分担の割合
部屋にいる時間、使っている場所の面積、日用品の消耗料など差があると たくさん使っているほうに
多く支払ってほしいといった トラブルに発展しがちだということです。
家事分担誰かに偏る
料理 掃除 洗濯 ごみ出しなどその時に できるほうがやるという あいまいな決め方をして 結局 どちらか一方に偏ってしまってもめるということが ありうるそうです。
生活スタイル来客の頻度・時間
家族や友達を部屋に呼ぶタイミング、人を呼ぶ時間帯や頻度 騒音などでトラブルになってしまいがち
だそうです。
ですからルール作りは やはり大切で 感覚のすり合わせをしておくことも 大切だということでした。

夫と別々に暮らして11年 楽しく暮らす女性

千葉県にある 美容室を経営している岡本香里さん(49歳)、この場所で美容室を開業して 22年。
香里さんの技術を気に入り長年 通っている お客さんもいます。
現在 香里さんは愛犬のオレオくんと 自宅兼店舗で1人暮らしをしています。子どもはいません。
実は11年前 車のディーラーとして働く 夫の健吾さんと話し合い 仕事のため 別々に暮らす選択をしました。夫 健吾さんは週に一度自宅に帰って過ごす生活を送っています。いないと困るんですけど
岡本さん夫婦が 別々に暮らすようになったのは 健吾さんが職場を変わりたいと 相談したのが きっかけでした。希望の職場は自宅から車で 2時間半かかる場所で通勤するには難しいと 健吾さんは考えました。当時 香里さんは開業した 念願の美容室の経営が順調で健吾さんについていくことは考えられませんでした。
希望をかなえるため 健吾さんが提案したのは 別々に暮らし 週に1回 健吾さんが自宅に戻ることでした。この提案 香里さんには意外なことではなく そこの会社に決まったらきっとそうなると感じていた。
岡本さん夫婦は別々に暮らすにあたり2人で ルールを決めました。
まず金銭面。 自宅のローンは健吾さんが支払い 生活費は それぞれで。美容室の経営費も香里さんが賄います。
そして連絡を絶やさないようにすること。毎朝 香里さんから モーニングコールをすることにしました。
朝5時45分に かけて ひと言 ふた言 話して終わりです。「おはよう。 45分だよ」って言うと 主人が大体「おはよう」って言ってくるんで 「大丈夫?」って聞くと「大丈夫 ありがとう」って言うんで 「じゃ また あした電話するね」って言って 切る感じです。用事がある時は用事を話します。

帰宅した健吾さんに 今の暮らし方について聞くと「 遅く帰ってきてとか 不満はあったと思うんですけど 今は そういうのが まずないのと 気にせず仕事ができてる。自分としては距離感はいい と思っている。今の仕事投げ出せないので 個巨悪もいるので」
別々に暮らすことで 香里さんには自由な時間ができ 趣味として オカリナを始めることができました。
息抜きができ楽しく仕事ができると思っています。
1人の暮らしを満喫する一方で 夫 健吾さんの存在 精神的に頼りになると考えています。
コロナ禍 一時的に美容院を 休業せざるをえなかった時 先行きが不安で 店の経営について 相談をした時のことです。「普通に給料もらえているから大丈夫だよ。お金のことは心配いらない」と聞いて 精神的もおおらかな気持ちになれて すごくありがたかった。
香里さんは離れて暮らしていてもお互いを気遣えることに変わりはないと考えています。
私は結構 別々に暮らすのもいいもんだよって たぶん言っちゃうと思いますけど。同じでしょ?
そうですね。干渉しないで やっぱり文句を言わない というのが いいかもしれないです。
この先のことは正直 何も考えてないです。たぶん帰ってくるって言えば 一緒に暮らすんだと思うんですけど 何もなければ 別に希望もないですね。のびのびと暮らしていく予定なので。一度きりの人生なので夫も悔いなく生きて欲しいなと思う。

(賀来)こういうご夫婦の形も あるんですね。自分が こうしたいって 自分の希望を すごく伝えきってることがすてきだなと思いました。
(財前)そういう関係性が ちゃんと お互いを認め合っていれば すごい成立しますよね。また支え合って 何かあった時には相談し合ってっていう何か ある意味 親友みたいな。

岡本さんに伺いますと 離れて別々に暮らしてることで 互いに仕事に専念できて かつ 相手に求めすぎないということが そういった関係を築くことが できている ということなんですよね。

婚姻関係を続ける別居という暮らしを選ぶ際に注意することもあります。
弁護士の 山下環さんにうかがうと、片方から離婚の申し出があったときに「婚姻関係が破綻していた」と判断され離婚が成立することもあるので 連絡を取ったり 会うなど 適宜 コミュニケーションを取り続けることが 大切だということです。
ですから岡本さんのように 毎朝 モーニングコールとか コミュニケーション 取っておくというのは
万が一の場合には とても大事なことだということです。

財前さん 今回は これから誰と どこで暮らしていくかということで 見てまいりましたけど
どんなことを感じますか?
(財前) これは 自分が さあ どうしたいんだっていうのを 一番 自分が気付かなきゃいけないんだ と思いましたね。

財前さんはじめ 拝見して思ったのは皆さん 暮らしを楽しんでらっしゃるんですよね。
人生が長くなってる中で 結果的に 楽しむことに つながる選択をしていく というのは すごく 大事なことなんだろうなと思って。

(賀来)家って基盤だし その基盤の上に 暮らしが成り立って やっぱり本当 自分が どうしたいか
どうすることが自分の幸せか。私も ちょっと本当に楽しく仲良く 頑張っていきたいと思います。

まとめ&感想

田舎で 3世代生活をしていても のんびり日々自然を味わう余裕は出てきません。毎日暑すぎて雑草に負けています。コロナもあって 思うように友人達にも会えず暮らしています。