Eテレ 2023年2月10日
にしおかすみこさん 肌の シワや毛穴や水分量の診断受ける。皮膚の乾燥の原因 加齢や不規則な生活。乾燥肌対策 スキンケア・泡洗顔・腸内環境を考えたヨーグルト 卵。にしおかさん 2週間で効果現れる。街の皆さんの スキンケアについての疑問に答える。肌のかゆみ対策 効果的な入浴法とボディーケア
【ゲスト】にしおかすみこ【講師】大阪大学特任准教授・皮膚科医 日比野佐和子
【司会】賀来千香子,小澤康喬【語り】堀内賢雄
にしおかすみこさん 肌の シワや毛穴や水分量の診断受ける
ゲスト にしおかすみこさんです。
(にしおか)私も乾燥肌ですごい悩んでるんですよ。なので 今48歳で 年齢相応なんだろうと思って諦めている。
にしおかさんに皮膚科医の日比野佐和子さんの診察を受けてもらいました。アンチエイジングを中心に再生医療なども研究。乾燥肌対策にも詳しいエキスパートです。
■生活習慣 聞き取り
Q:ふだんのスキンケア?
A:メークをしてる時は目元が濃いのでシートで落とし、ば〜っとやって落とします。乾燥がひどい時は 普通の洗顔フォームだけにする時あります。目元はシワと逆に 化粧水を付け肌をこすっている。
▶肌に強い摩擦が加わると 肌が刺激をされて乾燥したり 肌荒れを起こす。
Q:食生活。
A:甘い物が大好きで 1日1個は必ず食べます。あと揚げ物も好きでフライドチキンも食べます。
▶肌にとってはあまりよくない。糖分や油をとり過ぎると腸内の悪玉菌が優勢になる。肌と腸の関係ってすごく重要視されており 腸内環境を整えると肌の改善が促され 乾燥予防にもつながる。
Q:睡眠時間とか 何時間ぐらい寝られてます?
A:4〜5時間 寝れてはいます。だけどトイレで1回か2回は起きたりするんですよ。
▶それは恐らく睡眠の質が低いからだと思います。寝てる時 加湿器をつけておらず 睡眠の質や寝室の乾燥も乾燥肌に影響している。
■肌画像診断器で肌の状態診察
目では見えない肌内部のしわや毛穴の開き具合などを可視化します。一番 目立つのは目元のしわ。薄い緑は浅い小じわ。濃い部分は深く目立つ しわ。その数は 144本にも。目立つ毛穴は 344個でした。
もともと皮膚には 乾燥を防ぐためのバリア機能が備わっています。皮膚の一番外側 角質層は紫外線などから皮膚を守る働きと水分の蒸発を防ぐ役割などがあります。ところが加齢や睡眠不足などでバリア機能が低下。水分を保持する力も弱まります。
にしおかさんの場合 特に目元の水分を保てず しわとなっている。また水分の蒸発を防ごうと皮脂が過剰に分泌され毛穴が開いてしまったと考えられます。例えば フルーツとかでも水分が減って乾燥しちゃうと しわしわになりますよね。ああいう形で 水分量が減ると しわ たるみの原因にもなります。ターンオーバー(肌が生まれ変わる)がやっぱり遅れてしまうので 水分量が減ることで毛穴が特に目立っている。
さらに水分量を調べてみたところ、14で 目元 額も同じくらいでした。理想的な水分量の30〜50%よりかなり低い結果に。目の周りとか口の周りは皮膚の厚みが薄いので 特に乾燥が目立ちやすい。今 冬で 湿度も低いですから さらに乾燥を促進してると思います。
にしおかさんは 「先生 マスク越しですけどお肌めちゃくちゃ きれいじゃないですか。マスクを取ってください。失礼ついでで申し訳ないんですけどおいくつでいらっしゃるんですか?」
日比野先生は52才ですが 肌年齢は 28歳。年齢より マイナス24歳の状態をキープしています。10年くらい前 食生活をリセットしたそうです。
皮膚の乾燥の原因 気をつけたい食生活
(小澤)年を重ねると乾燥を強く感じるというのはどうしてなんでしょうか?
(日比野)加齢とともに皮膚の水分保持量といって 生まれた時の赤ちゃんの時の数値を100とすると 30代で出生時の約65%。50代になると 20代の時の半分まで下がるといわれてる。角質層というのが一番表層にあり 表面に皮脂膜といって 脂の膜で水分を蒸散するのを防いでいる層があります。天然保湿因子というのは アミノ酸とか尿素といったような水分を 吸収して保持してくれる働きがあります。そして角質細胞間脂質 その中の約50%以上が セラミドから できてる。セラミドが水分を外に逃さないよう働いています。加齢によって こういった皮脂とか 水分量を保つ物質が減っていくことで 乾燥がどんどん進んでいきやすくなる。角質層は 4週間をかけて形成する肌のターンオーバーにも すごく関係し 年齢とともにどんどん延びていく。ですので 若い人ほど傷とかも治りやすいですし やっぱり年取ってくると ターンオーバーが遅れてしまうことで 本来 しみにならない メラニンの色素が そこにとどまってしまうことで しみとして残ってしまう。
(小澤)加齢によって まず水分を保つための物質が減っていく。さらにターンオーバーの周期が延びてくる。老化現象ですね。他にも バリア機能が低下する要因というのは ありますか?
(日比野)不規則な生活を送っていることも 非常に関係しやすくなります。例えば睡眠不足であったり 食事が不規則であったり 加工食品をたくさんとるとか、喫煙・飲酒とかも 肌への影響は非常に大きいと思います。
糖化(身体に中でタンパク質と余分な糖が結びついて、タンパク質が変性、劣化してAGEs(蛋白糖化最終生成物)という名の老化物質(悪玉物質)を生成)して、皮膚の弾力性が低下するとか起こります。
油分も実は いい油と悪い油があり、悪い油は 例えばショートニングとかスナック菓子とか加工食品とかに多く 入っているトランス脂肪酸は人工的に作られたもので 腸内環境を悪化させる原因になる。悪い油をとりすぎると肌に良くない。
腸内環境はすごく重要で 悪玉菌が優勢になると 基礎代謝も下がり 血液の循環も悪くなることによってそれが肌の状態に直結する。肌荒れを起こしたり 肌の水分量も低下しやすくなることが分かっています。
腸内環境を整えると睡眠の質も上がり、腸と皮膚と脳という 3つの軸がつながってるって言われてるんです。メンタルから皮膚にも症状が出ますけども 腸と脳もすごく関係しており、腸の中で セロトニンと呼ばれる幸せホルモンが95%作られてるんです。
腸は第2の脳とも言われていて このセロトニンがメラトニンという睡眠のホルモンに変わるので、腸内環境を整えてあげるということは 睡眠の質を上げることにもなり 非常に重要だと思います。
乾燥肌対策 スキンケア・泡洗顔・腸内環境を考えたヨーグルト 卵
日比野さんオススメの乾燥肌対策です。
■スキンケア
日比野さんも実践している方法で バリア機能を落とさず向上することがポイントです。
スキンケア用品を選ぶ際にチェックしたい成分が セラミドで 角質層の中にある角質細胞間脂質の主成分です。水分を保持する機能があります。
角質層の厚みは 僅か0.02ミリ。ごく薄い層なので 洗顔などでも傷つき 水分を保持する力が肌から失われて乾燥肌に。セラミドは 20代後半頃から減少し50代には ピーク時の半分にまで減ってしまいます。そこで スキンケアでセラミド成分を補うことが大切です。
また乾燥対策では洗浄力が強い 界面活性剤(ラウレス-6,ラウリル酸と成分標記されている)が入っていない洗顔料がオススメです。
泡洗顔で洗うと こすらず洗顔できます。逆さにしても落ちないくらい弾力性のあるきめが細かい泡を作ります。実は きめ細かい泡には驚きの洗浄パワーがあります。細かさが異なる2つの泡にそれぞれ 油汚れをつけてみると、細かいほうはみるみる油汚れを吸収します。細かい泡ほど洗浄力が高いうえ泡で洗うため肌の負担を減らすことができるんです。
◎泡洗顔 泡立て方
・手をよく洗う皮脂汚れ落とす
・洗顔料を適量出す
・手のひらを少しくぼませ こすり合わせる
・円を描くようにして 空気を含ませる
・2分ほどすると レモン1個分の泡ができる。
手で泡立てるのは面倒という方は泡立てネットで泡を作る方法です。ポイントは ネットをこすり合わせる時両手の間に空間を作ること、30秒ほどできめが細かい泡ができます。
◎洗顔方法
泡を乗せ 肌に直接触れないようように 引きのばすというのではなく 転がす感じで、要は泡の上で直接 皮膚を摩擦せずに洗顔していくというのが 一番 肌に負担がかからないんです。特に目の周りは注意が必要です。最も皮膚が薄いので 中指か薬指の腹で優しく円を描くように泡を転がします。またすすぐ際の水温も重要で 皮脂を落としすぎないように冬は32度〜34度。夏は 37度〜38度くらいがよいそうです。顔は水で洗い流す(手でこすらない)。生え際やあごの縁などのすすぎ残しに注意。タオルは肌への刺激が少なく吸水性にすぐれた木綿100%のガーゼがオススメです。
◎洗顔後のスキンケア
できるだけ早く保水成分をつけてあげるということが重要で、洗顔後5分以内に化粧水を。肌の水分は すぐに蒸発してしまいます。塗り残しがないよう数回に分けて重ね付けします。目の周りは刺激をしないよう中指と薬指の腹で軽くなじませます。
化粧水が顔全体になじんだら、ハンドプレス(手のひらを合わせて少し温めてから優しく肌を包み込む)をします。ハンドプレスをすることによって血流がよくなり 栄養素が十分に皮膚の表層まで行き渡り 水分保持量もキープされ 乾燥の予防につながります。
化粧水のあとは必ず乳液・クリームをつけてください。ランゲルラインと呼ばれる皮膚割線に沿って のばすのがよいそう。ランゲルラインとは細胞分裂により生じた目には見えない跡のことで 浸透することが期待できます。また塗る順番 まず目元から始め あとは上から順に肌をこすらないように優しく塗ります。
◎腸内環境を改善する食事
日比野さんのオススメはヨーグルト。ヨーグルトは乳酸菌が活性化する 38度ほどに温めて食べるのがよく、食べる時間は夜。腸の活動が最も活発になるゴールデンタイムは 起床から15〜19時間後の睡眠中。逆算すると朝7時に起床する場合は前日の夜10時に食べるのが効果的。
睡眠の質を上げて 肌の水分保持力を上げるのは 卵で 朝に2個オススメです。卵のたんぱく質 トリプトファンからセロトニンが生成され 夜になると睡眠の質を上げるメラトニンに変わるためです。卵が食べられない方は豆腐など植物性たんぱく質でも代用できます。
にしおかさん 2週間で効果現れる
日比野さんに改めて肌画像診断を行って頂きました。2週間前のビフォーと実践したアフター、目元のしわの数が 144から108とかなり減っています。しかも画像でもわかるよう 緑の濃い深いしわ 黄緑の細かいしわ 減ってますね。さらに目立っていた毛穴も 344個から132個へとかなり減少しました。また 乾燥が気になっていた目元の水分量は 12%から23%まで改善しました。
(にしおか)正直2週間でそんなに何が変わるんだろう というのがあったんですよ。でも始めて4日目か5日目ぐらいに 夜 顔洗ったら ガサガサしてないって思って。ちょっと何かあっ違ってきたってなると やる気も出るじゃないですか。
(賀来)ご自分で一番 努力なさった部分 力を入れたのは何だったんですか?
(にしおか)やっぱり食事ですかね。すっごい頑張って見え張ったんですよ。テレビだから ちゃんとしなきゃと思って卵2個プラス。いつも あんなお皿とか出さないんですよ。でも頑張って出して そしたら、いつも あんまりバランス考えないんですけど、何かちょっと野菜もいるかな。みそ汁もいるかな。ちょっと魚 足そうかなって、結果何となくバランスよくなったんですよね。見えを張るって悪いもんじゃないと思って。
(日比野)本当に見さして頂いたら おみそ汁のおみそは発酵食品ですから 腸内環境を整える善玉菌がとれますし、卵というのは ビタミンCと食物繊維以外をとれる 完全食と言われていて やっぱり朝からたんぱく質をしっかりとることで 睡眠の質を上げることにつながるんですね。
(にしおか)そうなんですよ。何か1週間 過ぎたぐらいから、朝 起きた時に すっきりしてたんですよ。目覚めがいいというか。あれ これが ぐっすり寝てるということかって思ったんですよね。でも いろんなヨーグルトがあって 乾燥対策としては何が よかったのかなと思って。
(日比野)同じものばっかりにするよりも、たくさんの種類のヨーグルトを食べ いろいろな乳酸菌をとることで 腸内環境がより整う。善玉菌も いろいろ 増やしてあげることがよりいいと最近 研究報告では言われています。私は これって決めるんじゃなくて いろいろ試してみて自分に合ったものを 最終的には選んで頂いたらいいと思います。
街の皆さんの スキンケアについての疑問
Q:シートマスクの使用時間 長めにすると効果が増すか?
A:皮脂の必要な成分が流れ出てしまうので 推奨の時間守る。
Q:休日のメークはしなくていい?
A:家の中にいても 紫外線を受けるので 日焼け止めとか含めた ベースメークはしたほうがいいです。
Q:朝の洗顔 水洗いは?
A:洗顔料を使って。酸化した皮脂が残った状態でスキンケアをしてしまうと 日焼けをした時にしみの原因になったり 肌の老化を促進させてしまう。特に脂っぽい方はTゾーンとかを 洗顔料を使ってしっかり洗って欲しい。
Q:就寝時 メークを落としてそのまま/メークをしたまま?
A:究極な選択ではあるんですけど、メークをしたままの方が まだ少しマシ。推奨してるわけではないんですが、落としたままではなく ちゃんと保湿をしっかりしなければ 逆に乾燥が進みやすくなるということです。
肌のかゆみ対策 効果的な入浴法とボディーケア
毎年 冬になると中高年の皆さんを悩ませるのが かゆみ。水分が保たれ潤った肌は 知覚神経が深いところに とどまっているので 外部から多少の刺激を受けても ほとんどかゆみは感じません。
ところが乾燥で バリア機能が低下すると 衣服との摩擦など ささいな刺激でもヒスタミンを放出し 知覚神経が角質層近くまで伸び かゆみを感じてしまうのです。逆に乾燥が進みやすくなるということです。さらに ひどく乾燥すると 皮膚にひび割れができたり 白い粉が出る状態に。悪化すると炎症を起こし発疹が出ることもあります。
◎入浴
タオルでゴシゴシ洗わず 手のひらで泡洗い。角質層を傷つけてバリア機能を低下させないように体を石けんの泡を滑らせながら優しく手洗いを。皮脂が多い背中は 綿100%のタオルなどを使って 汚れを落とします。そして一番 重要なのが温度で 大体38度から40度ぐらい入浴時間は20分以内が目安です。熱いお風呂や長湯で体を温めすぎるとかゆみが増すことがあります。
◎ボディーケア
入浴後はすぐ保湿。尿素入りの保湿剤がオススメです。皮膚が自ら生まれ変わるターンオーバーは年齢とともに周期が長くなります。古くなった角質が剥がれないまま外から保湿をしても しっとり潤った肌にはなりません。尿素は かたくなった古い角質をやわらかくして剥がし 肌のターンオーバーを助けます。また体内にある水分を 皮膚の表面に保持する働きもあるため 全身が しっとりします。
・保湿剤の塗り方
結構 中心部から塗る方 多いんですが、血流の悪いところから皮膚は乾燥しやすいので、保湿剤は まだらにならないように 足先など末端から細く横向きに塗ってください。また くるぶし かかと ひざ ひじなど皮脂がなく 特に乾燥しやすいところは円を描くように しっかり塗ります。
(賀来)縦にやってました。クリームとか オイルを塗るのを。
(日比野)塗りムラができてしまうと やはり保湿が十分にされないので 細かく塗っていくのと 末梢のが冷えていて 血流も悪いので乾燥しやすいわけですから 末梢から しっかり塗っていくということが重要です。
(にしおか)お風呂の温度が 冬は私 寒いので42度ぐらいにしてたんですよ。良くないんですよね。
(日比野)短い時間だったらいいんですけど、別の意味で ヒートショックプロテインが出て 肌を活性化させるといった、高い温度に長くつかっていると 体で必要な皮脂成分までが溶け出てしまうので。
(小澤)この季節 背中が乾燥で かゆくて 皮膚科に かゆみによってかかったほうがいい 診察を受けたほうがいいという目安ってどんな状態なんでしょうか
(日比野)乾燥から来てる かゆみが出てる段階で すごく白く粉がふいた状態とか 肌が ちょっと白くなってきてるというような状態であれば 保湿クリームをしっかり塗って保湿をしてあげることでかゆみを予防することは できるんですが、かゆみの悪循環というのがありまして ひっかくことで さらに脳に知覚神経からかゆみが伝わることで ヒスタミンという物質が出るとさらに炎症を引き起こしてしまうので どんどん どんどん それでひっかいてしまうということが起こるんですよね。ですので実際 赤みが出たりしたら病院に行って しっかり皮膚科の先生に診てもらうということが重要です。
(小澤)今回 乾燥肌対策ということで見てまいりました。
(にしおか)乾燥しちゃった〜だけじゃなくて 乾燥したということは どっか体の不調があるのかなとか 生活習慣が乱れてるのかなという 見直すきっかけでもあるかなって思いました。
(賀来)私も自分に伸びしろがあるのではないかと。卵2つとか ヨーグルトを温めるとか全く思いがけないことが多かったので これから改善してってルーティンを楽しもうと思います。
(日比野)「肌は1日にして成らず」ですので三日坊主になりやすいと思うんですが 今回の結果からも分かるように2週間でも効果が出るということは これを日々 1か月 3か月 1年さらには 10年って続けていくと より いい結果が出ると思いますので 皆さん まずは できることから始めて毎日 続けて頂ければと思います。
▽まとめ&感想
私は元々 肌ケアに無頓着で、コロナや仕事にも出なくなってますます 何もせずにいました。泡洗顔や
腸内環境を考えたヨーグルト 卵。この辺からやってみようと思います。
肌のかゆみ 毎日風呂に入らなくなった 母がよく訴えていました。