NHK総合 2022.5.11
志望先が絞れない就活生 合同企業説明会「企業発見ツアー」☆
若手対象上手な叱られ方研修 自分自身のメンタル守る☆
ほめた上で叱ることが大事 怒りではない。みんなの前で注意もほめてもダメ☆
ハリー・ポッターの舞台が若い女性に人気 若者SNSを気にし遠慮して生きている
【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック数馬
【出演】尾木直樹、牛窪恵、久保駿貴(起業家)【語り】吉田鋼太郎
志望先が絞れない就活生に 合同企業説明会で「企業発見ツアー」
就活生むけの関東最大級の合同企業説明会。500を超える企業が参加し 3日間で1万3,000もの就活生が集まるという。その中で黄色い旗を持った「企業発見ツアー」を発見。会場のあちこちに 黄色い旗が。見ていると 旗を持ったガイドのあとを就活生たちがついていく。
ガイドが案内するのは業種も勤務地もばらばらな企業。1つの企業ブースを2~3分見学した後、隣へ隣へと次々ブースを見て回る。
(所)ずっと聞かなくても要所要所 言ってくれるんだ。
ツアーを開催する担当者 川田一枝さんは「こちらで決めた企業を案内し、企業の説明を簡単にさせていただく という趣旨のツアーです」と話してくれた。
ツアーは1日20回ほど行われ、ガイドに連れられ就活生6~8人が 職種も勤務地もバラバラな企業ブースを巡る。
就活生に参加理由を尋ねたところ「業界が絞れていないので視野が広がるかな・少しの時間で廻れ効率がいい・志望職種も決められていない」という答えが返ってきた。
ある学生は 志望動機は今なくてもいい という看板の企業に心引かれた様子で、「何か仕事に就きたいとは思っているのでちゃんと内定をもらいたい」と話す。
やりたい仕事は決まっていないと答える学生は ほかにも複数いた。
就活生たちを 長年調査している企業 マイナビ キュアリアリサーチラボ 東郷こずえ主任研究員の話。
現在の就活生は2000年頃に生まれ、日本の景気が低迷した 2008年のリーマンショック、小学生だった2011年の東日本大震災、2020年からの新型コロナで不自由な大学生活を強いられた。
その結果 ずっと安定していると思える会社、絶対がなくなった。東日本大震災・新型コロナで これまで できていたビジネスが急にできなくなった。安定した状態が続く保証はない。そうしたことから志望先が絞れない。
大手であれば安泰っていう考え方なくなり 新卒募集企業数多くある
NHKでは この5月5日から12日まで子どもや若者の幸せを考える「君の声が聴きたい」プロジェクトに取り組んでいます。
(起業家の久保駿貴) 就きたい仕事が見つからないのは、大手であれば安泰っていう考え方は 今ほとんどいない。航空業界 旅行業界 これだけ 打撃 受けるっていうのは想像してなかった。
ほかにも 今新卒募集している企業 3万社以上あって なかなか選ぶのが難しい。理系とかだと研究のほうに 進むことできると思うが、文系総合職となると 無数にあり 選べない。おすすめツアーでおすすめされた それこそがご縁 と感じる学生さんもいるのかなと思いますね。
(尾木)僕の立場から言うと 新型コロナ今の大学生に与えているダメージものすごく大きい。入学式もまともにやってもらえず、授業はオンラインでばっかり、実習も行けなかった。経験がほとんどなく 社会に押し出された。就きたい仕事が見つからないというのは ものすごく分かる。社会全体が認めてあげる必要がある。僕も ずっと やりたい仕事 なかなか見つからなかった。35になるぐらいまでは毎日 新聞の求人欄を見てました。若いうちに見つからなくてもそんなに卑下したり 自信なくさなくても大丈夫。
上手な叱られ方研修 身につけ 自分自身のメンタル守る
上の世代から見たら 何でこんなことをと疑問に感じるであろうもの 企業発見ツアーだけではありません。企業に就職したあと若手の社員を対象に不思議な研修が行われていた。
訪ねたのは千葉県袖ケ浦市 大手化学メーカーの研究施設。
講師は公認心理師 宮本剛史さんで、 「子供の頃大人に叱られた経験がある人 いらっしゃったら手を挙げていただけますか?」と尋ねると、手を挙げたのは半数。逆にいえば 半数がこれまでの人生でほとんど叱られたことがないという。
さまざまな企業で 若手社員のカウンセリングを行ってきた宮本さんは、上司や先輩から叱られることに免疫のない若者が増えたことに気付き 5年前から 上手な叱られ方研修を始めたという。
では 私上司になりますよ。皆さん 叱られてるつもりになってください。
「もっと丁寧に仕事しろよ。おいおい 大丈夫かよ」
(木村)はい すいません!
すると 若手社員の反応は「……」言葉を失っていた。
受講者は「心臓がきゅっとなります・何のことか 分からなくて 心当たりがない何のことだろう」
(宮本)叱られて頭が真っ白になる、これは自然なことです。ちゃんと受け止めようとしている証です。上手な叱られ方身につけ 自分自身のメンタル守りましょう。
それにしても 一体 なぜ 企業はこの研修を行うことにしたのか?
(化学メーカー 楠本保健師) 健康管理室で 産業医や看護職が面談する仕組みがある。その中で若い人と話をすると チューターさん 上司が厳しい言い方をしてくるので 傷つくとか、どうしたらいいのか悩んでしまうと 結構引きずってしまう子が結構いる。実際に そういう場に遭遇したときに 対処する力がつけられればいい。
(木村)私もよく先生・親から叱られましたけど、でも叱ってくれる大人を見てると もう血管出しながらうわ~って言ってくるじゃないですか。怖いですけど すごい自分に一生懸命向かってきてくれていて今考えると うれしかった。
(所)子どものとき 感じないよね それね。
ほめた上で叱ることが大事 怒りではない。みんなの前で注意もほめてもダメ
番組をご覧になっている親御さんたちの中には叱るべきか迷っている方も多いと思います。
文部科学省所管の独立行政法人が5,000人を対象に行った調査です。
國學院大学 青木康太朗准教授が「子供のころ 親にほめられた・厳しく叱られた経験」を分析。
大人になって自己肯定感が高いと感じているグループは子どものころ よくほめられていただけでなく よく叱られてもいたことが分かった。へこたれない力が強いと感じているグループも 子どものころよくほめられ よく叱られていたという結果に。予想外の結果だった。
(尾木)僕も正直言って 一瞬びっくりして驚いたんですけど。ほめられることが前提で ほめた上で叱ることが大事。叱ることは大事なんですよ。だけれども 怒るのは自己満足で違う、叱るは理性を通して 相手に知的に伝わるように教育的な営みとして伝える、つまり叱るとは説明すること。
(所)「怒る」と「叱る」とは違うんだと。
(牛窪)実は 今 中高年の管理職の中には 若手社員とどう接したらいいかわからない ことが多い。例えば 所さんが上司で 部下のホルコムさんが仕事で成果を上げたとします。所さんはどんな場所で どうやって ホルコムさんを ほめようと思いますか?
(所)怒るのは みんなの前で怒るのは かわいそうな感じするじゃない。ほめるほうも全く同じだと思うよ。
(牛窪)一番大事なのは みんなの前でほめてはダメ。今の子たちって「悪目立ち」っていう言葉をよく使うんですけれども。怒られる 叱られることももちろん 嫌なんですけれど、ほめられる一人だけ あいつ 何だよ!っていう それも仲間の中ではやっぱり浮いちゃうんですよ。繊細なんです。
ハリー・ポッターの舞台が若い女性に人気 若者SNSを気にし遠慮して生きている
あるヒーローに救われているという意見もありました。
ヒーローに会えるのは 港区にある劇場の舞台で ハリー・ポッター 「エクスペクト・パトローナム!」。物語の舞台は最後の映画作品から19年後の世界。ハリー・ポッターと息子が再び 闇の魔法使いと戦う物語。1年前に公開されると一般の舞台の常識を覆す現象が起きました。それは 観客の多くが若者で 20代の女性が全体の3分の1ほどという結果になりました。一般の舞台が50代以上の割合が多いのに対し 異例のことです。中には 救われたという人がいます。
「中学時代 別の世界に夢を抱くことで救われた」
「就活で悩んだときハリーだったら自分の力を信じて戦うよな。コロナ世代でたいへんだったけど元気もらいました」
「うまくいかなかったこともハリー・ポッターにもあるが 乗り越えてハリーが成長していく。私もこうなりたいと心に刺さる。明日からも頑張ろうみたいには思うので」などです。
(尾木)ハリー・ポッターは そこまで 若者たちをひきつける。今の若者は自己主張することで SNSで炎上して騒がれる。それを恐れ自分の心をストレートに表現する場所や機会がなく いつも遠慮の世界で生きている。だからハリー・ポッターの映画の世界や舞台では 感情をむき出しに ぶつけ合って友達関係を作っていくとか 信頼関係が出来ていくことに憧れている。
(久保)SNSの弊害大きく、今の世代 失敗したとき SNSで批判されると 人格を否定されると捉えてしまう。承認欲求が他の世代より強い。僕もそろそろSNSにつかれている。
一方でSNSがきっかけで救われたっていう「ハリー・ポッター」ファンもいる。
ファン歴20年の梨紗子さん。部屋を埋め尽くす「ハリー・ポッター」グッズ。その数 なんと1000位。全部が宝物。大好きなモノに囲まれていると充実感・満足感がある。大切なパワースポットのような感じ。こうしたグッズやハリーへの思いをSNSに投稿したところ 世界中に友達が出来たといいます。学校生活や恋愛に悩んだときSNSで知り合った友人に相談したり、嫌なことがあっても「ハリー・ポッター」の世界に友達がたくさんいると思えるのが自分の中で強くいられた理由に 助けられた。
(所)あの人は あれで いいんですけどね。あの人は満足してるわけですからね。
(木村)何か いろいろ考えさせられますね。今はコロナだったり、ウクライナとロシアの戦争。何か 不安になる要素は多いのかなと思うので、今回プロジェクトの一員とならせていただいたので、もっと 若い人の話を聴いて理解を深めたいと思います。
▽まとめ&感想
今時の子供 かなり前とは変わってきてます。ババは小さな孫にどう対応するか悩みの種です。
YouTubeに集中する余り、何を言っても聞こえず。停めると 反発されます。
がんばって ほめて叱ってあげたいと思います。