所さん!事件ですよ★盗まれたのは 砂!背景に世界「砂」戦争 ▽こんな話

NHK総合 2023.7.13
国内の砂不足 陸砂が取り合いに★砂がないと作れない ガラス・半導体・歯磨き粉・洗剤・化粧品★
世界的な砂不足 インドネシアでは島が消えた★月の砂をレンジで熱し建材を作り 基地建設、野菜栽培

【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】田畑勇一、鈴木麻里子(神戸大学助教)、下村靖樹(ジャーナリスト)【語り】吉田鋼太郎

国内の砂不足 陸砂が取り合いに

愛知県愛西市 建設会社 代表取締役 水谷晴美さんを訪ねた。
防犯カメラに砂泥棒の姿があった。午前5時 1台の車が敷地内に入り 鳴り響く警報システムのサイレンを気にするふうもなく 男がトランクからスコップをとりだし バケツ1杯分の砂をすくって立ち去っていく。
この砂は左官砂で 床や壁の表面を滑らかに仕上げるために使われる。ふるいにかけて 粒の大きさをそろえてあり 良質なものは バケツ1杯1000円ほど。砂泥棒は ちょくちょくある。砂が採れなくなって 取り合いになってきていると教えてくれた。

青森県六ヶ所村で砂の採取と販売を行う会社の 代表取締役 原田路子さん を訪ねた。
砂の採取地 広さは東京ドーム8個分あって 年間20万トンの砂を採取し全国各地に出荷しているという。昔海だったところが隆起して出来た 陸砂 です。
砂の最大の用途はコンクリートで 最も適しているのは 川砂、しかし高度経済成長期に取り過ぎが問題となり 現在採取できる場所は厳しく制限されている。
一方 瀬戸内海などで採取されてきた海砂も 環境保護の観点から年々規制が強まっている。
陸砂は 含まれている泥を洗い落とす必要があり 出荷できるのは採取した量の7割ほどになる。
思いのほか 時間 手間 コストもかかっていて このままのコストで行くのは難しいと思われる。

砂がないと作れない ガラス・半導体・歯磨き粉・洗剤・化粧品

全世界的に砂の不足 が言われている。大きな工事があちこちで行われ コンクリートに欠かせない「砂」の消費量は ここ25年で3倍以上になり 年間の消費量は 500億トンに迫ると推計されている。
特に 消費量が伸びているのが中国で、アメリカが20世紀の100年間に使った量を 僅か3年ほどで上回ったというデータもある。

物質・材料研究機構 特別研究員 打越哲郎さんが教えてくれた。
私たちの身の回りの さまざまな日用品 砂がないと作れないものが数多くあって、携帯電話のディスプレーに使われるガラスけい砂などを高温で溶かして作る。電子回路に欠かせない半導体は 砂の成分であるシリコンがなければ作れない。
ほかにも 歯磨き粉洗剤・化粧品・軟こう・乾燥剤に至るまで 砂は使われている。
天然の砂を混ぜたスクラブ効果のある石けん、シャンプーやリンスに含まれている髪のとおりを滑らかにする成分 シリコンにも砂が含まれている。「金は砂にも勝る」とも言われる。

(神戸大学助教 鈴木麻里子)
土と砂の違い:土には有機物が含まれていて、砂は岩石を砕いたものです。
砂 不足に 砕砂と言って 岩石を砕いて砂を作る。ダイナマイトで岩石を爆破させ、運搬し 砕いて ふるいにかけて 5mm以下のものが砕砂として使われます。コンクリートに使われる砂の7割といわれ 手間とコストがかかっている。砂漠の砂は非常に粒が小さくて 丸いのでコンクリートには使われない。

(木村)ちょっとサハラ砂漠を登ったら ずぼずぼずぼって膝まで入りました。上れず さらっさらで 四つんばいになって… 行きました。

(ジャーナリスト 下村靖樹) 中国や韓国が砂の輸出を辞めてしまったので、違う国から輸入しなければいけない。阪神甲子園球場の 選手が持ち帰る砂、以前は 中国の福建省から持ってきていたが2007年中国の輸出が禁止され 国内の砂に戻っている。

世界的な砂不足 インドネシアでは島が消えた

都市化が急速に進む 人口2億7千万のインドネシアは 。2019年 ジャカルタからカリマンタン島への首都移転計画が発表され さらなる建設ラッシュが予想される。
ジャカルタ近郊 スパンの砂の採取場では 採取量が去年より7割も増える見込みだという。採取場には 警察官が2時間に1回 パトロールにやって来る。
インドネシアでは「島が消えた」と言われる。船に乗り 沖合20キロに もともと パリ島があった場所まで行ってみると 陸地だった所は水面が緑がかって見える。
東京ドームの半分ほど 2haの大きさだったという カランジョン島は 現在では 水面下に消えてしまって島があった場所には 浅瀬で船が座礁しないよう立てられたポールがあるのみ。
地元漁師は「何回か大きな船がやってきて 大勢で砂を持っていった」と語った。
周辺では砂の違法採取に加え 温暖化による海面上昇の影響もあり 5つの島が姿を消したという。
NGO環境団体によると 都市部の開発のため 小さな島々が影響を受け ジャカルタ周辺の110の島のうち23の島が消えかけているという。
ジャカルタにある環境NGOで政策部長を務めるムルダニさんは 砂の違法採取に反対し 環境保護活動を続けてきた。2019年2月 砂マフィアに 車や家に4カ所放火され 家族ともども 命からがら逃げ出した。以前から 殺害予告の脅迫電話や たび重なる嫌がらせを受けていたという。
砂マフィアが狙っているのは リゾート地として知られるロンボク島の砂。ムルダニさんが暮らす集落の すぐ近く 240haの土地から 砂を違法に採取しようとしていた。土地の値段は 1haあたり1800万円、そこから砂を採取すれば 1ha当たり 1億4000万円もの売り上げが見込めるという。
力ずくで 砂の違法採取を行う砂マフィアが暗躍し始めたのは20年ほど前。インドネシアでは近年 深刻な社会問題になっている。人が生き埋めになる事故や 違法採取反対を訴えた人が殺害されたこともあった。早く法整備が必要と訴える

(所)砂を持っていくのって 泥棒感がない。本格的に重機でやるじゃない。そうすると 工事が始まったと思う。

(下村)ベトナムもですねメコンデルタといわれる所の 入り口辺りがかなり掘られてしまって、海水が川に流れ込んで 塩害・ 農作物もやられたり 川岸が壊れて50万人避難した。
インドでは 砂が掘られ 橋げたが弱くなって 橋が崩落する事件も起きている

月の砂をレンジで熱し建材を作り 基地建設

はやぶさ2号が持ち帰った砂が 生命の起源を解き明かす鍵に。
昨年11月 NASAのアルテミス計画が始動、2025年に宇宙飛行士の月面着陸を再び実現し 月面基地を建設し 火星を目指すという壮大な計画。課題となるのは住居と食料。地球から 物を運ぶには1kg当たり1億円と 莫大な費用がかかるため、「地産地消」ならぬ「月産月消」が欠かせない。

東京清瀬市の月面で使う建設資材の研究をしている 建築会社 上席研究員 田島孝敏さんを訪ねた。
持ち帰った砂と ほぼ同じ成分になるよう作ったという 月の模擬砂、触らせてもらうと サラサラで小麦粉に近い感じ
月の模擬砂をレンジの熱を増幅する容器に入れ 電子レンジで20分加熱すると、内部の温度は1050度にもなる。砂の焼結物 が出来て3時間ほど冷やすと かちかちに固まる
実際には 部品を運搬し 電子レンジと同じような マイクロ波による加熱装置を月面で組み立てるという。月の模擬砂から作ったレンガ状の建設材料は、なんとコンクリートの10倍もの衝撃に耐えられるという。
居住施設のパネル材、ロケットの着陸場、道路の舗装材のブロック に利用できます。ほかにもレーザーとともに月の砂を噴射して 瞬時に焼き固め ミルフィーユ状に重ねて成型する技術も開発したという。
同社の新村亮さんは「ちゃんと強度があって使えるものを作っていくのは日本の得意分野で 世界を引っ張っていけると 思う」と語った。

宇宙で人工土壌を使って野菜栽培

愛知県刈谷市西田宏平・亮也兄弟は 人類が宇宙で長期滞在するために「高機能ソイル」という人工土壌を利用して 月面で野菜を生産する技術を研究している。現在 世界中 ここだけ 小松菜の栽培 が出来ている。
鍵になるのは小松菜を植えた土、月の模擬砂に水を吹きかけ 粒状にして電気炉で焼き固める。すると 砂の粒に0.2mmほどの無数の穴が開いて。砂の中に住まわせた微生物が 生ごみや ふん尿など有機物を分解し 農作物に必要な栄養素を 供給してくれる。
リアル「宇宙兄弟」は この技術で特許を取得、今後 トマトやイチゴ・キュウリやナス イモ類など➡栽培する作物を増やしていくという。
国も2040年に月面で1000人が暮らすことを前提に 食料生産に関する研究を進めようとしている。

スタジオに特別に月の砂と同じ成分で作られた模擬砂と それから作った建設資材ご用意しました。
(木村)灰みたい
(田畑) 初めて触りましたけどちょっと興奮してます。噂では細かすぎて 服とかに入って大変と、本で読んでたんですけど

(鈴木)月の砂を活用できる技術が進むと 地球上の砂にも応用できるといわれてまして。砂漠の細かい砂に使えるようになる。
(木村)ぴかぴかだよ 断面。 これでできた家に月で住むようになるんですよね。
(田畑)月にはほとんど大気がないので 太陽からのエネルギー 直に放射線を喰らってしまうので 住むなら地下で 植物栽培したりして 酸素を生成し 地球と同じような環境で暮らせるようにする。
(所)宇宙に行ったら食べるもの チューブでいいんじゃない。
(田畑)やっぱり イモ食いたいという話でているらしい。月面だと重力6分の1なので 野球 ホームランは地球の30倍飛ぶらしい。変化球は大気がないので回転しない。
(所)日本なんだから 行って餅つきして 月で その月を見るって。
(田畑)「月見」じゃなくて「地球見」です。あの青いマーブルの地球が見れるということで。歩き方は 地球と同じように出来ない。蹴る力が強すぎて浮いちゃうんですよ。 ふわって全然 前へ進めないんで スケートのように アポロのアームストロング船長が実際に月でやった歩き方 これが一番いいです。

▽まとめ&感想

国内の砂不足 陸砂が取り合いに そういえばこのあたりにも 山を削っているところがあります。
砂がないと作れないものばかり、 ガラス・半導体・歯磨き粉・洗剤・化粧品 驚きました
月の砂をレンジで熱し建材を作り 基地建設、野菜栽培は夢物語ですが、砂漠の砂 利用できるようになればいいですね。