所さん!事件ですよ★8cmで600万!身長を買った男▽こんな話 美容整形を巡る本音とリスク

NHK総合 2023.1.26 OA
骨を折って身長を伸ばす 骨延長手術をした人がいた。海外で手術を割安に受ける人もいるがこの手術 リスクあり、修正手術難しく 高価になっている。男性は身長を求められ 3Y(容姿・優しさ・経済的ゆとり)が重要視される。コロナ禍で中高年男性のイメージアップの美容整形増加していた。

【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック数馬
【出演】日本美容外科学会 武田啓、文化人類学者 松蔭大学教授 川添裕子、芝浦工業大学教授 原田曜平【語り】吉田鋼太郎

骨を折って身長を伸ばす 骨延長手術をした人がいた

番組に「身長を買った」という情報が入った。会ってみると 600万を投じ 身長167cmから175cmに8cm伸ばしたという24歳の男性だった。「でかい人になって 自信を付けたかったので 骨を切って脚を伸ばした」という。
話を聞くために向かったのは 鹿児島県 喜界島の徳州会病院骨延長手術を700件以上行ってきた整形外科医 吉野宏一さんに話を聞いた。
骨をわざと折って1日1mmずつ伸ばしていく 壮絶な外科手術をだった。元々は旧ソビエト連邦の整形外科医ガブリル・イリザロフが行った 複雑骨折や骨の変形などを治療するための手術だった。

骨の模型を使って解説してもらった。まず皮膚や筋肉の上からドリルで骨に穴を開け ワイヤーを通す。さらに骨に太いピンを刺し金属製の器具と連結し ノミツチを用いて骨を折っていきます。
骨折すると折れた部分には「仮骨」と呼ばれる新たな骨が徐々に形成され 折れた骨をつなぐ。時間の経過とともに仮骨は強度を増し骨は元に戻る。
人体の治癒力を利用して 身長を伸ばすのが骨延長手術
骨を伸ばすために器具を装着 折れた骨と骨の間隔を一日1mmずつ広げていく。保険が利かない自由診療なので 高額の費用がかかる。
(所)両方するんだね。
吉野医師は「延長すると筋肉や関節が硬くなる。硬くなる部分をストレッチで伸ばすのが過酷で リハビリで つえなしで歩けるようになるまで 1年程度はかかる」という。
これまで 多くの骨延長手術を手がけてきた吉野医師だが、わざわざ運動能力を下げる美容的な骨延長手術は止めた。

海外で骨延長手術を割安に受ける

身長を伸ばす手術を盛んに行っている国があると聞きトルコ イスタンブールへ。ここに骨延長手術を受けた患者専門のリハビリ施設があって 創設者セダットゥ・イルハンさんにあった。彼は身長177cmで3度の骨延長手術によって 157cmから20cmも伸ばした。
現在 世界各国から来た40人の患者がリハビリに励んでいる。筋肉の硬直を防ぐための柔軟体操・体の代謝を高め骨の再生を促すための有酸素運動。理学療法士とマンツーマンで毎日リハビリを続ける。
(木村)これ お金と時間がないとできないですね。
手術代と3か月の滞在費などを含めた基本料金は およそ500万円。どのくらい伸びるかは個人差が大きいという。脚に器具を取り付けない最新の治療法だと3か月で900万円かかる。
コントローラーから強力な磁力が発生し 脚の骨の中に入れた金属の棒を引っ張って伸ばす。患者がカウンターを見ながら 一日 1mmずつ伸ばしていく。ドイツ人男性は1800万をかけ174cm→190cm目指し「理由はそれぞれだけど もっといい気分になりたいからだよ」
俳優のトルコ人男性「役がもらえなかった 将来のための投資です」166cm→176cm。
日本人男性「背が高い人と話すとを顔を見上げる。やはりちょっと悔しい気分になる」164cm→171cm
日本人女性「戸棚の調理器具出したり 洗濯物を干すとき身長がないと厳しかったのでとても幸せですい」148cm→162cm
開業から1年半 この施設でリハビリを受けた人数は400人に上り 予約は8か月先までいっぱいだという。「うちの医師は これまで4390人骨延長手術し、うち61人に合併症が起きた。1.36%で一般的な外科手術と同じ程度。 幸いなことに これまで1人も障害者や死者でていません。」

(所)すごいですね。人が目標を持って目標を達成させるためには 痛くも何ともないんだろうね。もう 何かわくわくするんだろうね毎日毎日。

骨延長手術 リスクあり、修正手術難しく 高価に

日本美容外科学会の武田啓さん
当然 体への負担は非常に大きい。ふくらはぎの下の腱は伸びにくいので 運動機能がマイナスになる。リスクの危険の説明を十分受けて理解した上で手術を行うか判断すべきです。
骨延長手術に失敗した人を取材した。50代の男性は 158cm→165cmに伸ばした。海外のサイトで身長を伸ばす手術の記事を読み「あのときはとりつかれたように いいことだけを想像してやりたいと思った」最も安く180万円ほどで 手術が受けられるという理由でヨルダンに向かい手術を受けた。しかしリハビリを始めてまもなく 膝がまっすぐ伸びなくなっていた。医者に「なんの問題もない。もう帰国して大丈夫」といわれ帰国しリハビリを続けた。
かかとがつけられない。バランスが取れない。膝が曲がってぐらぐらして まともに歩行できない。ヨルダンの医師に連絡しても 埓が明かなかった。
国内の整形外科では「この骨の付き方だとリハビリをしてもまっすぐにはならない。健康な骨を折って審美目的で手術した人に対して手を差し伸べることはできない」と門前払いされた。
それから2年、あちこちの病院に断られ 先ほどの鹿児島の整形外科医の吉野さんが応じてくれた。吉野さんによると 関節面 膝が弓状に曲がってまっすぐ伸ばせない状態だった。この男性のように安価な海外で手術を受ける人が多いが 失敗例も多いのだという。
吉野医師は海外で失敗した人の修正手術をこれまでに6回行った。先ほどの男性は日常生活に支障がない程度まで回復したが これまでに1000万円超かかり 浅はかだったと反省している。

日本美容外科学会 武田啓さんは 見た目を改善する目的だけで 自費診療で手術を受けた。それが失敗して直すのも原則として自費診療になる。修正手術は最初の手術より難しいと話した。

男性は身長を求められ 3Y(容姿・優しさ・経済的ゆとり)が重要視

文化人類学者 松蔭大学教授 川添裕子さん 美容整形は特別視されがちだが そもそも人間は加工する動物で、ヘアスタイル・カラーリング・ひげ・ムダ毛を処理・歯の矯正インプラントなど 理想のイメージに合わせて加工をしている。

芝浦工業大学教授の原田曜平さん 結婚相手の条件として男性の容姿を重視すると回答した割合が2021年に過去最高となった。
リスクがあるにもかかわらず 168cm→178cmの骨延長手術に 1300万円以上かけた 30代の男性は、就職や重要なポストなど身長が平均以下だとはじかれてしまう風潮があり、それに耐えられなくなってきたと話した。いちばん大きかったのは 恋愛面のマッチングアプリでは自分のプロフィールを入力する際に年齢の次に「身長」職種や年収よりも上にあって 女性が男性を検索するとき 平均身長の170cm以上とすると はじかれてしまう。
「背が低い時点で 出会うチャンスすらない。伸ばして 10倍ぐらいマッチしやすくなった」
178cmの身長を手に入れたことで 自信を持って女性と話せるようになり トータルで考えたら たいした金額でないといいます。

(原田)2022年に結婚した夫婦の出会いのキッカケの1位がマッチングアプリだった。特に コロナ禍で出会いの場が減って よりそういう傾向になった。昔は3高(高学歴・高収入・高身長)だったが 今は3Y(容姿・優しさ・経済的ゆとり)が重要視される。

中高年男性のイメージアップの美容整形増加

ビジネスパーソンの街 新橋で 美容整形について聞いてみた。
「自信が付くし 人生が楽しくなる。実際に昼休みにシミを取った。まわりにも結構いますね。SNSのは発達でみんなの意識がそっちに向いている」の声があった。
インタビューに応じてくれた30代から60代の男性のうち半数が 美容整形に興味があった。
実際に美容整形を受けた男性(45歳、営業職)を取材した。
クマの原因となる目の下の余分な脂肪を皮膚に穴を開けて摘出する施術。その後ヒアルロン酸を注入し張りを出す。この間15分程度。皮膚にメスを入れない いわゆるプチ整形で 目の下のクマをきれいにした。コロナ禍でリモートワークが増え、在宅勤務で運動不足になり太ってしまった男性が健康のためジムに通い始め 鏡を見て目の下のクマに気付いた。結構老けて見え 一度そこが気になると 結構気になり、さらに リモート会議で日々 自分の顔を見る機会が増えた。
他のメンバーが若かったりすると 初老の男が混ざっていると感じた。蒸しタオルを当ててみたりマッサージをしたり あれこれ試したが効果は見られない。8万円をかけた男性は さらなるプチ整形 ほほに糸を通して引き上げる手術を13万円かけて受けるつもりだという。

(原田)コロナ禍のリモートワークが男性の意識に与えた影響は大きい、コロナ禍で女性の化粧品市場は縮小したが男性の方は拡大した。気になっちゃう男性が 増えた。基礎化粧品だけでなく コンシーラー(シミやくまを隠す)とか 血色良くなる色つきリップがすごく伸びている。

(武田)リモート会議で 自分の顔を見てショックを受けたのでよく分かります。プチ整形でも ヒアルロン酸を注入し 血管に入って詰まることで 皮膚が壊死したり 非常にまれですが失明するなどのリスクがある。
(川添)歴史を振り返ると 例えば ルイ14世の写真 とても派手なお衣装で フランス革命前 男性美は脚線美だった。男性が地味になったのはここ200年ほどの話で 日本でも 明治時代以前 公家・貴族の男性は薄化粧していた。

(原田)世の中の風潮とか教育現場では ルッキズム(外見至上主義)がいけないとされる。就職活動でも外見の写真を 履歴書に載せさせないところとか 増えてきたり 世の中全体はそうなってる。
一方で、SNS上では写真を加工することが流行り 美容整形も増えるなど 真逆の動きができている。
(所)ほどよいところがないよね。両極端になってきてる。
所さん。 見た目で 何かこだわっているところってあります?
(所)芸能界ですから ステキに写らないと
(木村)私ちっちゃいときから所さんのことテレビで拝見してますけど 年を取られた今のほうが かっこいいですよね。

▽まとめ&感想

骨を折り身長を伸ばす 骨延長手術なんてあるんですね。驚きました。
今は3Y(容姿・優しさ・経済的ゆとり)が重要視 納得です。
コロナ禍で中高年男性のイメージアップの美容整形…これも驚きましたけど、私もたまにスマホのカメラに反転して写った姿を見て 現実を感じています。