所さん!事件ですよ☆鳥取砂丘がピンチ!?人類VS侵略者 終わりなき戦い▽こんな話

NHK総合 2023.11.30
雑草で鳥取砂丘が消える恐れ。 原因は防風林&外来生物。
放生会で猿沢池 メダカに似た「外来生物」があふれる。
稲作収量ゼロになる雑草、アライグマは凶暴。ペットは最後まで飼う責任。
厄介者をおいしく食べる 庄内のウシガエルとアメリカザリガニ&千葉 キョン。
ワカメ オーストラリア メルボルンで やっかい者に。

【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】五箇公一、山口もえ【語り】吉田鋼太郎

雑草で鳥取砂丘が消える 原因は防風林&外来生物

鳥取砂丘 現在2割ほどが雑草で覆われている。「一面砂の風景を期待してきたのに ちょっと残念」との声も。厄介者の雑草 一番多いのは チガヤ 「万葉集」にも数多く登場する 日本古来の植物です。
実は チガヤが 繁茂すると 砂が動くことでできる 風紋・砂柱が作られず 鳥取砂丘特有の景観が作られなくなる。そして 砂丘固有の植物や昆虫が減少し 生態系に大きな影響が出ているという。
75年前。強風で飛び散る砂から街を守るため保安林を植えた。すると風向きが変わり 砂丘特有の景観が出来にくくなってしまったとので、景観を取り戻そうと 保安林の一部を伐採したが、林の根元 にあった種が飛んで 雑草が広がってしまったという。
鳥取砂丘は国立公園なので除草剤や重機の使用は原則禁止。チガヤの駆除はボランティアによる人力に頼るしかない。

国立環境研究所の五箇公一さん 日本古来の植物が 砂丘では侵略者になってしまた?
(五箇)人間の活動のよって 本来住んでいたところから 全然違うところに運ばれてきたものが「外来生物」で、日本の場合 島国なんで外来というイメージがつきやすいんですけど、国内であろうとも本来 生えていなかった所に 人の活動で入ってきたとなれば「外来生物」です。
愛玩動物飼養管理士・ペットケアアドバイザー山口もえさん
今 ペットとして 猫とか犬とかだけではなく 小鳥とか は虫類とか、海外からカミツキガメとか 自分が欲しいものを飼う。 だけれど 正しい飼い方を知らない、懐かないといった理由で ペットを手放してしまう 。そうすることによって 野生化して 生態系を変えてしまうのも問題になっているんです。

放生会で猿沢池 メダカに似た「外来生物」

1300年の都 奈良 興福寺のたもとに広がる猿沢池
近畿大学農学部 北川忠生教授の元で 多くの学生が捕っていたのは 「特定外来生物」「カダヤシ」
特定外来生物とは 生態系などへの悪影響が懸念される動植物のこと。現在 159種類が指定され 許可なく飼育や販売を行うと 最高で3年以下の懲役 もしくは300万円以下の罰金に処せられる。
カダヤシはメダカによく似ているため 飼育してしまう人が多く 生態系への影響が心配され、2006年特定外来生物に指定された。カダヤシは すごく攻撃的で かなり凶暴で 在来のメダカなどを攻撃 ヒレがボロボロになり そこから病気になったり なかなか繁殖できなくなる。カダヤシが増えたことが一因で 在来生物のミナミメダカは減少し絶滅危惧種になってしまった。
さらに 非常に繁殖力が強く、卵をお腹の中でかえしてから産む。カダヤシがいることで生態系が全部狂ってしまう 恐ろしい生き物です。
猿沢池でカダヤシが繁殖してしまったのは、戦後 興福寺により 金魚などを放流する放生会が 毎年行われてきた。目的は殺生を戒め 命の大切さを諭す行事だが あだとなった可能性がある。これを見て いろいろな人達が 飼えなくなった生き物を この池に放流してしまった。生態系への悪影響を懸念する北川さんたち専門家の 指摘を受け 興福寺は3年前に金魚の放流を中止した。

稲作収量ゼロになる雑草 アライグマは凶暴 ペットは最後まで飼う責任

千葉県 印西市 で大問題になっている、特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」30年ほど前に観賞用の浮き草として日本に持ち込まれ 河川で大繁殖し 田んぼに入り込み 農家は怒り心頭に。
農家 佐藤昭夫さん「すごく繁殖力が強く どうしようもない。除草剤をかけても 表面が枯れても根が残り来年また出る。また かけて しばらくするとまた出てくる。」
特別な許可を得て 差し水をしてみると2~3日ほどで2つの節から 根が出てくる。この節が問題で、ちぎっても ちぎっても それぞれの節からあ っという間に根を生やし 繁殖し ナガエツルノゲイトウが 史上最強と呼ばれる。
ナガエツルノゲイトウのせいで壊滅的な被害を受けたという農家 周郷文雄さん「稲の上から重なって 覆ってしまって もうダメだと諦めて 収穫をやめた。怒りをどこにぶつけたらいいか判らない」

(五箇)多様性がなくなると 最終的にはそれまで培われてきた 生態系機能が狂い始め、ずっとバタフライ効果のように回り回って、きれいな空気やきれいな水を作るといった 生態系の維持ができなくなる。きれいな水や きれいな空気 あるいは食べ物が 必要とする 人間社会 そのものの持続性が損なわれるだろう。

(五箇)外来生物の有名な例は、アライグマ、昔 放映された某有名なアニメ番組がきっかけで ブームになり 原産地の北米から ペットとして輸入された。ところが実際は 見た目のかわいらしさとは違って、 凶暴で 全く人に懐かない。飼いきれなくなった飼い主さんたちが 逃がしてしまって増えてしまい、現在 特に都内の空き家に巣を作ったり、増えて 街の中に出没して大騒ぎになり、ニュースになったりしてるという状態です。
原産地の北米では 噛まれたら 狂犬病を媒介することが問題になっていて、子どもたちに 野生のアライグマには近づいてはいけませんという教育をするほど 危険な動物とされてる。

(山口)ドイツでは犬の殺処分ゼロになっていて、 なぜかというと ドイツでは ペットを飼うことは 家族を増やすこと と考えている。ただ お金を出せば飼えるわけではなくて、ちゃんと 飼ってくれるかっていう厳しい審査があって、そして飼える。なので、飼えなくなったからとか、ちょっと餌代高いからとか、懐かないからみたいな 簡単な理由で手放すことは 考えられない。

厄介者をおいしく食べる 庄内のウシガエルとアメリカザリガニ&千葉 キョン

山形 鶴岡市ラーメン店「晴天の風」追いしそうに食べている「ざりっ粉パイタンらーめん」アメリカザリガニがのったラーメンで、ウシガエルの足も入っている。
フレンチレストラン「ビストロ・デ・ポン」では「ウシガエルのソテー ブルゴーニュ風」「アメリカザリガニのビスク」が出され こちらもおいしそうに食べる 客。
実はこの地域では ウシガエルとアメリカザリガニを食べる取り組みを続けてきたという。食材として使用されるアメリカザリガニとウシガエルは 地域にある都沢湿地の保全活動のために駆除されたもの。湿地に生息する貴重な在来生物を保護するため、小学生たちにも協力してもらい 合わせて2万以上のウシガエルとアメリカザリガニを 毎年 駆除し、その一部を地域の飲食店に提供し活用してもらっている。

フレンチレストランのシェフ 佐藤啓志さん「声をかけてもらって ありがたかった。フランス産のアメリカザリガニ あるけど オマールエビとキロ単価は一緒で、食材として 使うことで 環境保護に役立つなら こんなうれしいことはない」

千葉県 勝浦 でも増え続ける やっかい者のキョンを おいしく食べようという取り組みが始まっている。
勝浦猟友会 横山境さんの車に同乗し 住宅街を走ること5分。キョンとは体長1mほどの小型のシカの仲間で 中国東南部・台湾が原産で、近くの観光施設で飼われていたものが野生化し 増えてしまったそうだ。逃げ出した僅かな数のキョンが今では 7万頭に増加してしまったという。
実はこのキョン、原産地の中国や台湾では保護の対象となっており 現地のレストランでしか食べることができない貴重な 珍味なのだとか。
千葉県 君津市 このキョンを料理してくれるお店 「猟師工房ランド」がある。素材そのものの味を楽しめる キョンロース肉の串焼き や 千葉県産のしょうゆを使用した キョンのアヒージョが 出されお客は
「柔くておいしい」「クセがなくてうまいよ」と評判。
代表の原田祐介さんは 7年前から 駆除したキョンの有効活用を続けてきたが、キョンの肉を加工できる施設を確保しづらいことなどもあり キョンの消費は なかなか伸びない。
そこで、子どもなんかにも大人気のガチャガチャの中にキョンの背骨のキーホルダーを入れたりして、まずはキョンに興味を持ってもらいたいと さまざまな商品の開発を行っている。
年間5000頭のキョンが千葉で捕らえられ、 そのほとんどが ゴミとして処分されている。生き物をあやめている以上 きちんと2次利用すべきと考えている。

(山口)キョンからしてみれば 日本では 駆除の対象ですけれど、中国とか台湾に行ったら大切にされている動物なので、人間の勝手で良い物になったり 悪者になったり 本当に可愛そう。

千葉県では今年から キョンの肉や革製品をふるさと納税として 活用する取り組みが始まった。対象となるのは駆除されたキョンの肉や革製品で 寄付金は 1万円から30万円。一方で千葉県の自然保護課の市原さんによりますと「産業として定着すると 根絶の妨げになる。キョンを根絶しなければいけないという啓発も合わせて行っていく」そうです。

(五箇)キョンという生き物が本当に有効でお肉がおいしいならば、なおさら 商売として恒久的にその外来種を温存しておいたほうが いいんじゃないかといったような ジレンマも はらんでしまう。生き物の存在が 人間の価値観で左右されてしまうのは 人間の勝手でエゴ。

ワカメ オーストラリア メルボルンで やっかい者に

実は 私たち日本人にとって ソウルフードともいうべき「ワカメ」、日本から およそ8000km。オーストラリア南東部のメルボルンで 日本からやってきた やっかい者になっている。ワカメは魚のエサになる海藻を追い出してしまい 魚の数も減ってしまった。オーストラリア人はワカメを食べる習慣が ほとんどないという。 
大型船舶が航行時のバランスをとるために 日本を出港する船舶がくみ上げたバラスト水の中に ワカメの胞子が混ざっており、オーストラリアの海に放出されてしまったという。
しかもメルボルンは 日本と環境がよく似ていて 拡大された。
モニークさんたちレンジャーは、定期的にワカメの駆除を行っているが、定着してしまったワカメを完全に とりきることは難しいという。しかもオーストラリア人はワカメを食べない。そこで 考え出したのが化粧品やサプリメント さらには 調味料として活用することだという。

(五箇)有効活用も、一つの道ではあるが 大事なのは いずれ 外来生物経済に関わる問題になってくる。2018年に 実は日本から輸出した自動車にクサギカメムシという日本にすんでるカメムシが 付いていた。農業害虫にもなるし 家の中入ったりすると においもする 非常にやっかいな害虫が ニュージーランドの政府が検疫のときに クサギカメムシがついてるってことで タンカーで運ばれてきた日本車を全部 突き返してきたんです。ですから 外来生物の管理 今からしっかりしておかないといけない。

▽まとめ&感想