所さん!事件ですよ☆猫に保険金!超高齢化時代のペット事情▽こんな話

NHK総合 2023.12.14
高齢者が飼いきれなくなったペット増加している。飼い主の万が一に備える保険で長寿のペットを守る。犬や猫と一緒に暮らす特別養護老人ホーム。ペットと同じ空間で働ける企業も・ペットと暮らし 健康寿命を延ばそう。
猫の腎臓病を治す薬 AIMの開発進む、人間にも使えるように
【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】亜生、佐々木伸雄(獣医師)、片野ゆか(ノンフィクション作家)【語り】吉田鋼太郎

高齢者が飼いきれなくなったペット増加

佐賀県のある動物愛護団体では、170匹を超える犬猫が保護されている。その7割が高齢者が飼い主だった。飼い主のおじいさんが急に亡くなり野原に置かれた犬小屋につながれたままの犬。病気になって猫が心配で入院できなくて 引き取ってもらった高齢のおばあさん。引き取りの依頼は 1日10件もあるときも。
1人で暮らしている80代女性、中へ入ると傍らには数匹の猫たちがいた。女性は捨てられたネコたちを拾って飼うようになった。夫と死別し 家族とは疎遠だといい 寂しさを埋めてくれる猫たち。しかし猫が増え過ぎてしまった。女性は年金で暮らしており 1匹当たり数万円という避妊・去勢手術代を負担するのは難しく 引き取ってもらった。
この動物愛護団体では 高齢者が飼いきれなくなったペットの 譲渡会を開催。自治体と協力して避妊・去勢手術を行うための資金を集める活動もしている。
今 日本で飼われているペットの数は 約1600万匹、コロナ禍をきっかけに再び飼う人が増えている。一方 高齢化が進み1人暮らしの世帯も増加、ペットを手放さざるをえない飼い主が 増えてる。

飼い主の万が一に備えた保険で長寿のペットを守る

猫のにゃあちゃんと暮らす 50代の久保さん夫婦 子供はいない。新型コロナの感染拡大で命を落とす人が急増し 不安に駆られ 残されたペットのために 月々3500円からの掛け金で 500万円 の保険金を使える生命保険に加入した。 飼い主が亡くなるなど ペットを飼えない状態になると 保険会社から信託銀行などを通じて 動物愛護のNPOに保険金が支払われ、預かったペットを提携施設で最期まで看取る。
NPOの藤野善孝理事長は、老後をペットと一緒に過ごしたいが ペットが残されたときを考えると不安だという飼い主が多いことに注目しサービスを始めた。

兄弟漫才コンビ ミキの弟 亜生さんは 愛猫家として知られていて 猫を5匹飼っているそうです。
(亜生)家の猫を 救急で病院に連れて行って「3日間 入院になると思います。お金 覚悟してくださいね」って先生から言われて、MRIとか酸素室とか精密検査をいっぱい受け 約78万円でした。
(木村)高いですね!
獣医師の佐々木さん ペットを手放してしまう高齢者が 増えていますが?
(佐々木)ペット自体も高齢化。昔は犬でも8・9歳でしたが フィラリアの予防ができるようになって 飛躍的に寿命が延びた。ペットフード協会調べ 2022年 犬14.76歳/猫15.62歳。飼ってる方も いわば 老老介護の時代に入ってます。
(所)本当 長生きだよね。うちの猫 20年以上生きた。
ノンフィクション作家の片野さん 高齢者が手放してしまう理由 どんなことが考えられるんでしょうか?
(片野)犬も猫もすごい長寿になってますが、高齢者が子猫や子犬を飼ってしまう。子犬信仰って個人的に言ってるんですけど、犬は子犬から飼わないと懐かないとかって、これ思い込みなんです。子犬・子猫はお世話が大変で しつけとか 真っ白のところから 一個一個教えてあげなきゃいけない。高齢の方は エネルギーをつぎ込めるかっていうと なかなか皆さん 難しいんですね。お世話ができずに 途中で手放してしまう。

犬や猫と一緒に暮らす特別養護老人ホーム

横須賀市にある特別養護老人ホーム 理事長 若山三千彦さん
現在 17匹の犬と猫が入居者と一緒に暮らしている。こちらの野澤さんは御年96歳、愛犬 ミックと一緒に暮らせるならと この施設に入所。ミックは おばあちゃんを守っているつもりで 片ときも離れない。
一方 猫と一緒に入居してきた絵が得意な澤田さん、部屋には おととし看取った猫の絵が飾られている。飼い主に先立たれたペットたちをそのまま引き取り、ペットを亡くした入居者の心を癒やしてくれる。
11年前 ある入居者がペットを置いてきて 深い罪悪感にさいなまれる姿を見て、一緒に入居させることにしたという。
介護士 出田さん「犬の存在は大きい。入居者のすごい生命力と、笑顔が見られ 職員もみんな驚いている」
さらに 捨てられた犬や猫も保健所などから引き取り 入居者と一緒に暮らしている。11年前にやって来た保護犬の文福は不思議な行動を取る。入居者が旅立つ数日前から部屋の前に座り込むのだという。あるおじいちゃんが治療の手だてがないという理由で病院から戻ってきた。文福はベッドによじ登り おじいちゃんに体をこすりつけ慈しむように寄り添った。人間がペットを看取り ペットが人間を看取る。そんな終の住みかとなっている。
(所)やっぱ 犬 猫に構われると、何か こう まだ必要とされてるとかさ。
(亜生)うちの猫は 漫才の大会とかに僕ら まだ出させてもらってて 予選落ちとかになったときに、ぼ〜っと テレビつけながらソファー座ってて 気付いたら 5匹に囲まれてるときが…。収録でめっちゃすべったときとかも めっちゃ寄ってくるんですよ。
(片野)今 北海道の 保護団体で実際にやってる 永年預かり制度というものがあって、所有者はあくまで 団体であって それを責任を持って高齢の方が預かって、ご自分の体力の限界とか何かあったときには 戻すという制度です。

ペットと同じ空間で働ける企業も・ペットと暮らし 健康寿命を延ばそう

新しい取り組みがあるます。目黒区 バイオフェリア はペットと一緒に出社して 同じ空間で働くことができる会社です。実は ここペットフードの会社です。実際に 犬たちは開発中のペットフードを試食して レシピの開発にも貢献しています。
さらに 大手企業 川崎市 の富士通では福利厚生の一環として 設置されたそうです。
皆さん ワンちゃん傍らに働いていました。ちなみに 去年の7月からこの制度を導入していて なんと 会議室を改良して ドッグランまで作ったそうです。

(佐々木)ペットと暮らすことにより 健康寿命を延ばすというデータがかなりあります。心臓病で死ぬリスクっていうのが 犬を飼ってる人は65%低い。 散歩によって 健康が維持されている。東京都の健康長寿医療センターの調査で、介護の利用料を調べてみると 月々 (676円/1420円)で ペットを飼っていれば 少ないということが分かったんですね。ですから 本当は もう少し国も 高齢者に動物やペット飼わせるというような 仕組みを考えてくれるとうれしいなと思っています。
(木村)高齢者施設で 犬と猫ちゃんと一緒に入居できる あの施設 ああいうのが もっと増えればいいなってすごく思いました。

猫の腎臓病を治す薬 AIMの開発進む、人間にも使えるように

猫の寿命は平均で16歳、それを30歳まで 延ばせる可能性がある薬が注目を集めています。
AIM医学研究所 代表理事 宮﨑 徹さん
マイナス80度の冷凍庫から取り出したのは AIMというタンパク質が入った薬。多くの猫は 年を取ると 腎臓の働きが弱まり 体内に老廃物がたまり 命を落とす。腎臓病は猫の宿命とされ 抜本的に治す薬はないと言われてきた。宮﨑さんは獣医師の協力を得てこの薬を慢性腎臓病の猫に対して試験的に投与している。
(木村)若々しいですね。
慢性腎臓病にかかった6匹の猫に AIMを投与したところ 個体差はあるが腎臓の機能が改善した。投与しなかった猫の 腎臓の機能は 軒並み低下したという。
AIMは腎臓にたまった老廃物にくっつくと それを目印に 体内の「マクロファージ」と呼ばれる細胞が 老廃物を食べてくれる。AIMは 約2年前に宮﨑さんが発見した血液中のタンパク質。細胞にたまった脂肪を分解することが分かり マウスを使って研究を続けていた。
その話を耳にした獣医師が 猫の腎臓病の治療にどうかと開発話を持ち込んできた。猫の薬として開発スタート したが 2020年夏 新型コロナの感染拡大で 開発をサポートしていた企業の資金提供が打ち切られた。ニュースで研究打ち切りの危機が取り上げられ 愛猫家から 一晩で2000件を超える寄付が大学に寄せられた。寄付金の総額は 数か月でおよそ3億円にもなった。研究を再スタートし 臨床試験に使う薬のめどが立った。この薬が実用化された暁には 人の腎臓病や がんなどの多くの病気に応用したいと宮﨑さんは意気込んでいる。

スタジオに宮﨑徹さんにお越しいただきました。
そもそもAIMというタンパク質を 猫は先天的に持ってるが働いてない。AIMを注射してやるとゴミを掃除してきれいになるという簡単な原理です。
(佐々木)猫の腎不全 非常に多いですから それがある程度コントロールできることは 相当大きい意味があるってことですね。ただ30歳まで生きるかは なんともいえない。
(所)これ 猫が元気になるじゃないですか。今度 また 研究が進むと人まで元気になるわけでしょ。

(宮﨑)そうですね。ただAIMは逆に ゴミを掃除するので ゴミは いろんな所にたまります。それが どのくらい早く終わるかによると思います。腎臓だけじゃなくていろんな病気 治しちゃうんですね。
結局 足りてない分を足してやると病気は治る。
創薬研究が終わって 非臨床試験というところに入るところです。承認の前の申請 審査 が最後にあります。本当に 2~3年前後でやりたい。これはできるだけやすくするというのを今 我々のチームでやっています。

▽まとめ&感想

高齢者が飼いきれなくなったペット増加している。飼い主の万が一に備える保険で長寿のペットを守る。犬や猫と一緒に暮らす特別養護老人ホーム。ペットと同じ空間で働ける企業も・ペットと暮らし 健康寿命を延ばそう。