NHK総合 2023.11.9
納骨堂が経営破綻して遺骨引き取る人がいた。こうしたトラブル 地方の墓を手軽に身近にと 少子高齢化・家族形態の変化で墓を守ることが困難になり起きた。
オランダでは苔で自然に還る墓地、樹木葬が注目される。墓じまいし合祀する村 地域外の人も加わり墓を守る。生前個人墓・介護施設の墓「みんな墓友」
【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】如来寺住職・相愛大学学長 釈徹宗, 葬送コンサルタント・社会福祉士 吉川美津子,お笑い芸人・納棺師 おくりびと青木【語り】吉田鋼太郎
納骨堂が経営破綻
「納骨堂」とは 遺骨を納められる屋内施設のことで 近年 こうしたお墓が増えている。
コンパクトなロッカー式や参拝スペースに遺骨が運ばれてくる自動搬送式まで。お墓を建てる費用は 東京都内の場合 平均およそ180万円とされるが 納骨堂であれば 半額の86万円で済むという。
遺族や子孫に代わって供養してくれる 永代供養のサービスも受けられるとあって 都会に住む人を中心に人気を集めている。
北海道のとある町で 2年前母親を亡くしたAさんは、実家の墓が遠方にあったため自宅に近い場所の納骨堂を探し 契約、納骨堂を使用できる権利や管理費として 120万円ほど支払った。
契約から1年後 納骨堂の前を通ると閉鎖されていた。窓口に問い合わせても何も分からない。ようやく 説明の場が持たれたのは1か月後、運営する宗教法人の代表が3億円の借金を返せなくなり経営破綻し、納骨堂の土地と建物は差し押さえられ すでに別の会社に売却されていた。その後 宗教法人の代表は行方をくらました。
ディレクターが電話をかけてみるが 連絡が取れない。納骨堂を監督する地元自治体の担当者によれば 自治体が宗教法人の経営を 事細かに指導することはできないという。
Aさんが支払った120万円の契約料は返還されないまま、引き取った母親の遺骨を今も自宅で保管している。
お墓をめぐるトラブル 地方の墓を手軽に身近に
調べてみると 新しいタイプのお墓が増える中で、さまざまなトラブルが起きていた。無許可で納骨堂を設立し販売した件、永代供養を相談した寺に高額な費用を請求された件など。
国民生活センターによれば 去年の お墓の相談件数 1000件 以上、納骨堂や 新しいタイプのお墓に関するトラブルが目立つという。
なぜこうしたトラブルが相次ぐのか、葬送ジャーナリスト 碑文谷創さん によれば安くて手軽なお墓を求める人が 増えてきた。納骨堂や霊園の設立には自治体の許可が必要で、許可されているのはほとんどが非営利団体だという。営利目的の民間企業が簡単に参入することはできないはずだが。
「デベロッパーがいったん土地や建物を確保したものを お寺に寄付することがある。デベロッパーが主体で寺の名前を使い経営をすることがある」
納骨堂をめぐるトラブルの背景には 地方にある実家のお墓を 維持するのが大変になって 自分の住まいの近くに遺骨を移す人が増えている状況があって、厚生労働省の調査で 10年前に比べて 1.66倍以上に増えている。
葬送コンサルタント・社会福祉士 吉川美津子
納骨堂という新しいお墓の形 がトラブルが多いのは 大型や自動搬送式の納骨堂になると 億単位の 投資が必要で その運転資金の回転がうまくいかなくなって破綻することが多い。
如来寺住職・相愛大学学長 釈徹宗 さん
お墓を維持するには ある程度の規模の共同体が必要。今の家族形態は少人数で営まれ お墓の維持は難しい。生まれたところで そのまま生涯を送る人はごくわずかで、進学・就職・結婚で 社会の流動性が上がると 動かないお墓は少々やっかいな存在になっている。
お笑い芸人として活動しながら実家が葬儀会社で納棺師の おくりびと青木さん
東京とか都心部になると お通夜を省いて告別式だけを行う 一日葬があったり、直葬といって火葬のみ行う。病院で亡くなったら そのまま火葬場。家族の方も 時間が惜しくて ちょっと忙しい方もいらして 費用をできるだけ抑えたい。
(所)何か 早く納めたい費用を少なくしたいって…、悲しい
オランダの樹木葬のような自然に還る墓地
オランダの3年前にオープンした墓地を訪ねた。墓石は一切見当たらない。墓地管理会社のヤッコさんが棺の展示場に案内してくれた。
この墓地で埋葬する際に使われる お棺は 木・布でできた ハンモック風・天蓋付き・小舟など どれもエコな素材でできている。人気なのがコケが敷かれ 外側はキノコを形づくる菌糸体で出来ている。
菌糸体は土や木の中に糸状に伸びて栄養を吸収、植物や動物の遺体など あらゆる有機物を分解し「森の掃除屋」とも呼ばれている。この棺に遺体を入れると たちまち分解される。自然に完全にかえることを目的とした墓地で墓石がない。
オランダは国土が狭く日本の面積のおよそ1/9で 九州と同じぐらいの広さだ。土葬が一般的で墓地不足が深刻化して、政府はおよそ30年前に 墓地を永久に使用できる権利を廃した。
墓地を永久に使用したい人は 年間3万円を支払うのが一般的で、契約期間が終われば お墓は遺体ごと掘り返され 次の利用者へと明け渡されてしまうのだ。この墓地であれば契約期間はなく永久に使用できる。ちなみに遺体が骨になるまで 土葬であればおよそ10年、キノコの棺ならば僅か3年ほど。
ある見学者「ここは自由に場所を選べ 永遠に自分の物になるのが魅力」という。
オランダではこうした 墓地が 30か所オープン。現在7か所が増設されている。
(所)お墓っていうよりも分解して なくなるってことですよね。
お二人の机の中に同じ素材のもの 入っております。
(木村)ニオイがしない。紙粘土みたい 軽い。自然にかえる感じでいいなと思いました。樹木葬みたい。
(吉川) あるアンケート調査「どんなお墓のタイプを選びましたか?」で
樹木葬が半数以上の51.8%、納骨堂 20.2%、一般葬 19.1% というデータもあります。
(釈)もっとも日本は世界一 火葬をする国で99.9%、灰になるまで焼くのが火葬だが、日本では骨だけ残して火葬し埋葬する。火葬と土葬の合わせ技で独特です。
(所)お話聞くと 面白いですね。灰にまでしない。骨として残して それを土葬的に埋めたりとか 何か 置いたりするっていうね。
アメリカの会社が行っている アルカリ加水分解葬、アルカリ性の液体で満たされた 専用の機械に遺体を入れて 圧力を加えて 約150度で4~6時間加熱すれば 骨以外はすべて溶けてしまいます。火葬よりも環境への負担が少ないと いわれている。全米20州で合法化、カナダや南アフリカなどでも実施されている。
墓じまいし合祀する村 地域外の人も加わり墓を守る
京都 南丹市 山あいの100人程暮らす集落の お寺を訪ねると お墓に行列が出来ていた。これは合祀墓で集落の住民とその家族 全員が入れる共同のお墓。
15年前 曹洞宗佛名寺 住職 森屋徹全さんは 長年 放置され 連絡すらつかないお墓があって 守る人がいなければ さらに増えるのではと危惧、共同墓地を墓じまいして、合祀墓を建てることを1年かけて住民を説得して回った。集落以外の人にも開放していこうと説明した。契約費用は納骨代や永代供養費などを含め およそ16万円。ほかにも 独り身の人や 嫁ぎ先のお墓に入りたくない女性など 集落以外から納骨をした家族は30以上あり、今年のお盆の法要には 内外から80人ほどが詰めかけた。お墓で繋がるコミュニティまで生まれつつあった。
「お彼岸では地域でとれた米をふるまう。米の販売もしようと考えている。一緒に歩みながら 地域の活性化を目指すのがこの取り組みの最終ゴール」
生前個人墓・介護施設の墓「みんな墓友」
(所)この村の方だけじゃなくていろんな所からも。そうすると ずっと続けられるっていうね。
(釈)大阪の住職が 生前個人墓を作っている、生きている間に 自分のお墓を購入するんですけど、購入者は ふだんから集まって 食事会や 旅行をしたり 亡くなる前から 付き合いが始まる。もう20年以上 続けておられる。一家族で供養を続けるのは 難しい。みんな同じお墓に入るのも尊い。
(吉川)最近 介護施設などで 入居者さん向けの墓地を作っている。病院と違い介護施設は暮らしの場で 生活を共にして 食事をして 笑いがあり そこで亡くなる
(所)墓友 お墓を通して生きている人たちが仲間になって 死んだあとに知り合いの感じで拝んでくれるって いいですよね。
(青木)経験したお話なんですけども、 若い女性がお亡くなりになって故人の友人がメークを手伝ってくれた。最初はすごく悲しみ深い感じだったんですが、そのうち アイラインどうする? アイシャドー入れちゃう? 髪巻いちゃう? ‥どんどん テンション上がって、フワちゃんさんをもっとド派手にしたような感じの仕上がりになった。そのメークにかかったお時間が5時間。
ちなみに 所さんは こんなお墓がいいっていう希望とかは?
(所)普通でいいですよ 普通で。死んじゃったら 何でもいい。
▽まとめ&感想
納骨堂が経営破綻・差し押さえ 遺骨戻らない なんてニュースがありましたね。
確かに 皆嫁に行った。都会に出て 墓守する人がいなくなったところ 多くありますね。
私が子どもの頃は おじんちゃ・おばんちゃ 土葬でした。納骨できる墓になって 代々一緒に祀るようになりましたね。樹木葬「死後は自然に還りたい」いいですね。好きなところに埋めてもらえるかな。土地はあるけど 墓地でないところダメなようです。