NHK総合 2024.6.1
鍋料理に欠かせない土鍋、製造に欠かせないペタライトが手に入らない。EVのリチウム争奪に巻き込まれ鉱山が中国企業に買収されたため。日本のEV 現状は振るわず 充電環境整わず デメリットも多い。EV走行中の ワイヤレス充電 公道で実証実験進む。
【司会】所ジョージ 木村佳乃 ホルコムジャック和馬
【出演】藤本美貴、牛窪恵、自動車ジャーナリスト 桃田健史【語り】吉田鋼太郎
土鍋の製造に欠かせないペタライト、EVのリチウム争奪に巻き込まれる
三重県四日市市の 「 萬古焼 」 原料の鉱石「ペタライト」が手に入らなくなったという。トップシェアを誇る土鍋メーカーの熊本哲弥社長に話を聞く。
年末、5月の連休、お盆 以外 火を止めずに年中土鍋を作っている。高度経済成長期に 一般家庭にガスが普及すると火力の強さから、土鍋が次々と割れる事態になった。そこで粘土にペタライトを半分ほど混ぜると熱に強くなることが判明。国内土鍋のシェアの8割を占めるまでになった。
しかし 6年前に1kg 100円ほどだったペタライトが 現在は 7〜8倍にまで上昇している。ジンバブエからの輸入がストップしている。
ジンバブエはアフリカ大陸南部に位置し、世界三大瀑布の一つで 幅1.7kmにわたるビクトリアの滝があり、たくさんの野生動物が生息する自然豊かな国。アフリカの現地スタッフに連絡を取った。
実はジンバブエはアフリカ大陸でも有数の 鉱物資源が豊かな国。調べると ビキタ鉱山で ペタライトが採れるのだが、2年前にペタライトにわずかに含まれるリチウム目当てに鉱山が中国企業に買収され、日本への輸出が止まったようだ。
リチウムは電気自動車(EV)のバッテリーの原料として 欠かせないもの、国際エネルギー機関の予測によれば 2050年には 現在の10倍以上の量が必要になると見込まれている。
そうした中、中国企業によるリチウムの囲い込みが アルゼンチンなど 世界各地で進められている。
(藤本)土鍋 ひび入りそうなんで 買い直そうかなって思ってるぐらいです。
土鍋メーカーの方に伺うと「ペタライト 今年度分は確保しているが、来年度以降 外務省などを通じて ジンバブエ政府に輸入再開を求めているものの まだ見通しは立っていない」ということです。
(牛窪)リチウムは これまで含有量 7%のスポジュメンが使われてきた。ペタライトは4%ほどですが 需要の増加が見込まれ 今から 中国が買い占めている状況です。
現状はEV振るわず 充電環境整わず デメリットも多い
電気自動車(EV)、国によっては EV化を強力に進めるところもあり シェアは年々 伸びている。北欧 ノルウェーでは新車販売におけるEVのシェアは 88%(2022年)。中国でも 政府が国策としてEV化を推し進め38%(2023年)。
日本では どうか 大手自動車メーカーの販売店を訪ねた。
「ソーラーとつなげて 、電気を蓄電する 蓄電池代わりにEVが使えるので、蓄電器が高いので車が代わりになる。災害に備え、電気代も高いので検討している」という客がいた。
実際の売り上げは、2015年ごろから脚光を浴びるようになったEVだが 去年の新車販売台数の割合ハイブリッドが55.1%で断トツ1位、2位のガソリン車と3位のディーゼル車は 合わせて4割ちょっと。EVは 僅か3.6%にとどまった。
街行く人に 買いたい車とその理由を聞いてみると、ハイブリッドが多く、ガソリン車の価格にひかれる人も多い。50人に聞いたところEVを選んだ人は 僅か9人。
EVを選んだも男性も マンションで 充電環境が一番のネックになっているようだ。出先の 充電も不安だった。
公共の場所に設置されている充電設備の数は 統計を取り始めた2013年から急増したものの 2017年以降は横ばいで減っている年さえある。
利用者が少なく 充電設備 撤去したところがあった。その和歌山県田辺市、 2016年 民間事業者が補助金で 40分で8割ほど充電できる急速充電タイプ 1台 およそ300万円。当時は 補助金で全額 賄うことができた。電気代やメンテナンス費用などを考えると 1台当たり およそ1日10回利用されないと 採算がとれない。現実は多いところで 1.5回、これ以上 続けても赤字が かさむばかりなので設置から僅か6年で撤去された。
気候変動対策の有力な手段として 温室効果ガスを発生しない EVの普及が推し進められている、だが 充電スポットが少ないからEVを買うのを躊躇する。EVが売れないから充電スポットが増えない。
(木村)やっぱり充電の問題は大きいのと、エアコンとかも 全部 電池でばんばん ばんばん…、途中で止まっちゃったら どうしようってちょっと心配になりますよね。
(藤本)でも私 EVに乗っているんです。2年前EVに乗って、本当にす〜って感じです。全然 車の音がしないです。EVにしたので 太陽光パネルを付けて 家で充電しているので楽!。ガソリンスタンドに行く必要がなくて 寝ている間に充電してくれるのはすごく便利。結構 電池残量が20%になっても走れちゃう。ここから ここまでだと走れるか計算してくれる。
(所)まだ数年しか乗ってないからじゃない?これが 中古になってくるとああ あと20%あるから大丈夫のつもりが あっ!ないよ!っていうようなことあるからね。
確かに スマートフォンとかも 長年 使ってると20%あったのが急に切れちゃったり…。
自動車ジャーナリスト 桃田健史さん
「大きなスマホ」と良くEVのことをいう。充電を考えると、大きな家電 持って歩るかない。スマホで日頃やっている充電を 車でやろうと切り替えられる者だけ乗る。
充電スポットの数、もう 1回 補助金をドカンとかけて 今絶賛補助金中で、2030年までに 10倍の30万口にする。
(牛窪)充電ステーションに行けば楽しいことがあるという コンテンツ レジャー的なものがないと。待っている間ボーッとしている。単に 充電ステーション 増やしただけでは 「車を買おう」という気にならない。
(所)EV車は車体が重たい。電池の重さ分 が100kg、200kg。結局 ブレーキとかタイヤが減るのが早いんですよ。例えば 4人満席で乗っかってるのと1人で運転してるのだと 1人のほうが 全然 軽快に車は走るのね。4人乗ってると すごい重たくなるしブレーキも止まらない。その状態で走ってるんだよ。電池積んで。
(牛窪)EVってタイヤが摩耗しやすくて、摩耗したタイヤがマイクロブラスチックゴミとして 海洋に蓄積されて地球環境を汚す。実は EVって、地球環境 CO2 の部分ではメリット いっぱいあるんですけれども、逆に デメリットもあることも含めて、じゃあ どうする? って考えなきゃいけないんですけれども。
EV走行中の ワイヤレス充電 公道で実証
千葉 柏 で東京大学大学院 藤本博志教授に伺った。
一見 何の変哲もないワンボックスカーに見えるが、通り過ぎただけで電気自動車に充電できる。
仕組みは 送電コイルが道の中に埋まっています。同じような受信コイルが車軸の横に2つ付いています。
この充電してないグレーの状態が 緑になると充電している。。スマホの置くだけ充電と同じ ワイヤレスで電気を送れる。車側のコイルと道路側のコイルが重なると、電気が送られ 車のバッテリーに充電される仕組みで、1秒間 重なれば 100m走るだけの電力を得ることができる。
ちなみにスマホを置いても充電されない。特定のコイルが来た時しか電流が流れない仕組み。
藤本教授が研究を始めたのは 10年前。すでに 公道でも実証実験が進められている。
道路全部にコイルを敷くわけでなく、交差点の手前30mに走行中給田コイルを埋めれば 事足りるという。研究によれば 全走行時間の約4分の1は 信号手前の30mの範囲にいる。
教授の分析によれば市街地を走る車は 全走行時間の およそ4分の1は 信号手前30mの範囲にいるという。その 信号手前30mの範囲にコイルを設置すれば 充電量は減ることなく 充電スポットに立ち寄るどころか 家で充電する必要すら なくなるという。こうなれば バッテリーの容量すら気にならなくなる。
大事なところは ものすごく小さいバッテリーで EVを走らせることができるので 軽くなった分だけ 燃費ならぬ 電費がものすごく良くなる。これから急速充電器が増えていく ごく一部を交差点の手前に回すだけで お家で充電しなくて良くなるという世界が来る。
2028年には大阪市内で実用化を目指しており 来年開催される 大坂・関西万博でもこのシステムを取り入れた来場者輸送バスが 会場で運行される予定となっている。
開発した藤本教授に話を聞いたところ 定額制で徴収する方式で考えている。月いくらか払ったら コイルを付けられる。
(藤本)めちゃうれしい。定額制で直ぐ申し込みたいです。
(桃田)今 「EV踊り場」に差し掛かっていて、ヨーロッパ、アメリカ、中国 政治的な政策誘導で どんどん投資を呼び込もうとしている。投資が冷めるということで販売台数が少し減っている。社会の現実とマッチしないのをみんな認識してくる。だから さっきの 非接触充電もそう、いろんな技術と生活を みんなが真剣に議論しなければいけないと思う。
▽まとめ&感想
土鍋が作れないが、EVのリチウム電池のため中国企業に買収されたためでした。
日本は買い負けしてリチウム電池作れるか心配です。それよりも 自然災害や紛争で発電できなくなったら、車くらいガソリンで動ける方が ばーちゃんは保険として残しておきたい気持ちが。
EV走行中の ワイヤレス充電 夢がありますね。でも田舎道ばかりの信号の少ないこの辺は??